ドーパミン

覚醒・快感を司る神経伝達物質

ドーパミン:アミノ酸のチロシンから作られたアミンの一種。人間の大脳の中に分泌され、快感を生み出している。A10神経の神経伝達物質。
ドーパミンそのものは有毒な物質でもある。
(ドーパミンから作られているアドレナリン、ノルアドレナリンも実はかなり有毒で 、お腹あたりに注射すると、動物実験では4mg/kgで死んでしまうそうです。ノルアドレナリンより強い毒はヘビの毒くらいだとか・・・。このような猛毒で私たちは感情を作り出しているのですね。)

ドーパミンができるまで

脳の中でドーパミンは

フェニルアラニン 〜〜 チロシン 〜〜〜〜 L−DOPA(デオキシ・フェニルアラニン) 〜〜〜〜 ドーパミン  〜〜〜〜〜〜  (ノルアドレナリン)

と変化します。

 

ドーパミンのはたらき

視床下部を経て前頭連合野に至るA10神経が活動し、ドーパミンが放出されると覚醒・快感を引き起こします。「とにかく楽しい、気持ちいい」といった気持ちにもなりますが、A10神経が働きすぎると感情が高ぶり、分裂症状を呼ぶことがあります。
ドーパミンは創造性などにも深く関与し、創造活動からくる喜び(知識を増やしたり、学ぶことによる快感など含む)なども引き起こしています。

ドーパミンのバランスが狂うと・・・??

過剰なドーパミン・・・精神分裂病の発病?
ドーパミン不足・・・パーキンソン病(神経が統制できなくなり、動作緩慢になる病気)になる。

ドーパミンが不足しているパーキンソン患者の場合、ドーパミンを増やすために薬を飲みますが、その種類はさまざまです。
後でもっと詳しく書くのでここでは簡単に・・・。

ドーパミン系の機能を活性化する薬剤の投与(Lドーパ、アマンタジン)
ト゜ーパミンと同様にドーパミン受容器を刺激する薬剤の投与(ドーパミンアゴニスト)
アセチルコリン系を抑える薬剤の投与(これはパーキンソン病において、アセチルコリン系の活動が優位になるため。)

ドーパミンを増やそう

単純にドーパミンをため込むには、

1 よく眠る。ぐっすり眠る。とにかく熟睡。
2  チロシン・フェニルアラニンをとる。直接取ってもいいと思うが、食べ物からも取るには、お豆腐、おフなどが良い。

これがいちばんです。

薬で増やすには、いろいろなやり方があります。

1 ドーパミンの原料、L−ドーパ、チロシン・フェニルアラニンのカプセル・錠剤・パウダーなどを飲む。 
2 アマンタジンなどドーパミン放出を助ける薬を飲む (体質的にドーパミンが枯渇している場合はあまり効かない)
3 ドーパミンの再取り込みを阻害する薬を飲む
4 ドーパミン受容体を刺激する薬を飲む(ブロモクリプチンなど)
5  植物からとられた覚醒剤擬似物質、エフェドリンなども効くかも。
 

などがあります。

L-DOPA:

ドーパミン前駆物質で、ドーパミンを補う目的で使用する。パーキンソン病において Lドーパは、もっとも理にかなっている薬剤であり、効果も1番あるといえる。なお、L-DOPAは脳内のアドレナリン量をふやすため、副作用として使用例の約20%になんらかの精神症状が出現する。主なものに意識混濁ないしせん妄、抑うつ状態、活動性亢進(落ちつきのなさ、激越)、精神病症状(幻覚、妄想、パラノイヤ)、軽操状態、性欲亢進などがある。

Lドーパと精神病との関係

ドーパは、血液脳関門を通過してから黒質ニューロンにだけ取りこまれるとは限らず、アドレナリンにも作りかえられるため、Lドーパの投与によって脳内のアドレナリン濃度が上昇してしまう。 そのため、一過性ではあるが、Lドーパを服用する患者が凶暴になってしまうことがある。 さらに、Lドーパの投与によって精神分裂病が併発されることもある。
非常に短時間であるが催淫性もあるとか・・

フェニルアラニン・チロシン

ドーパミンの原料。その他いろいろな神経伝達物質に代謝される。
MAO阻害剤との併用はキケン。
そのほか、パーキンソン病の治療でなければドーパミン過多になるかもしれないので、ドーパミン作用薬とは飲まないようにする。

 

アマンタジン amanntadine

:カテコールアミン再取り込み抑制作用、線状体ドーパミンニューロン末端で貯蔵されているドーパミンを放出する作用を持つ。  白色〜灰白色の結晶または結晶性粉末で,においおよび味はなく,水に溶けにくい。アマンタジンは、効果の発現が早く、主に軽症例に使われる。

 アマンタジンは、幻覚や睡眠障害など精神神経系の副作用や、吐き気、食欲不振など消化器系の副作用があるとされる。 また少数だが、薬を服用した妊婦から生まれた子供に障害が出たとの報告もある。 妊婦・妊娠予定の人は注意!!
この薬はA型インフルエンザの薬としても知られています。

脳こうそくの場合、通常、成人には塩酸アマンタジンとして1日100〜150mgを2〜3回に分割経口投与する。なお、症状、年齢に応じて適宜増減す る 。

パーキンソン病の場合、通常、成人には塩酸アマンタジンとして初期量1日100mgを1〜2回に分割経口投与し、1週間後に維持量として1日200mgを2回に 分割経口投与する。なお、症状、年齢に応じて適宜増減できるが、1日300mg3回分割経口投与までとする。

.副作用  

アマンタジンは神経系と胃腸の副作用を起こす。 健康な成人を対象とした研究によれば、アマンタジンを投与された人の約14%に副作用が発生した。  
 神経系の副作用は、神経質、不安、集中困難、めまいなどである。
 顕著な行動変容、精神錯乱、幻覚、興奮、発作のような、より重篤な神経系の副作用も観察されている。
 胃腸の副作用は吐き気、嘔吐、腹痛、便秘などである。  これらの副作用は、投薬が中止されれば、治まる。
 腎機能障害者と高齢者については、副作用に十分に注意すべきである

 アマンタジンは、てんかん発作障害者に対しては、禁忌。

 

ドーパミン作動薬

ブロモクリプチン bromocriputine を代表とする麦角アルカロイド誘導体。そのほか、作用時間が長く L-DOPA と併用される。 ドーパミンアゴニストは、Lドーパによって起こる可能性のある副作用を予防、または軽減できる。

 

パーキンソン病に使われる薬剤の副作用と問題点について

抗パーキンソン病薬は、効果とともにやっかいな副作用があり、とくに長期間の投与により問題が生じることが多い。消化器症状、循環器症状、精神症状を中心に起こってくるが、とくに精神症状のコントロールが問題になる。
また、抗パーキンソン病薬の中止により、悪性症候群(高い熱、脱水症状、意識障害、筋肉が固まったようになる、震える、硬直など)が起こることがあるので、薬剤の中止の際は慎重に行うべきである。
問題点としては、服用を続ければ生体がその状態に適応してしまうことである。パーキンソン病が起これば、ドーパミンの放出量が少なくなるためにそれを効率よく取りこもうとしてレセプター(受容器)の数が増える。しかし、外部からドーパミンを供給してやれば、その状態に適応してしまってレセプターの数が減ってしまう。 つまり、同じ量の薬物を与えていても、その効果が薄れてくることになる。そうなると、外部から与えるドーパミンの量を増やさなければならず、副作用も強くなるし、意識障害が起こってしまう。さらに、ドーパミンのレセプターは1種類ではないことも問題を複雑にしている。

 

 

 

 

 

ドーパミンと覚醒剤

 


覚醒剤(アンフェタミン)の化学構造は、ドーパミンから水酸基を取って、メチル基をつけただけのものです。このアンフェタミンにメチル基をもうひとつつけると、日本でも有名なメタンフェタミン(ヒロポン)になります。

メタンフェタミンはアンフェタミンよりももっと溶けやすく、体に吸収されやすいようにできています。

覚醒剤は脂溶性なので、注射しても口から飲んでも鼻から吸ってもあぶっても、どこからでも体内に入り、脳の関門を抜けて脳に作用し、ドーパミン系の活動を狂わせて快感を起こします。

脳にしか作用しないので、身体的依存性はなく、精神的な依存しか起こりません。

すぐに分解される伝達物質とは違い、脳内に長く残るために、もともとからだが持っているフィードバック機能を狂わせます。

   


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