幻覚と脳

幻覚を見ているとき、私たちの脳はどうなっているのでしょうか。

LSDを例にとって考えてみましょう。

わたしたちの脳はセロトニンを使って神経伝達をしています。セロトニンの受容体(レセプター)は全部で14種類あることがわかっています。
LSDはそのうちのひとつ、5HT2受容体に結びつきます。
←(LSDが5HT2受容体に結びついているイメージ。細胞が常に刺激されている状態)

そのために、 つぎに情報が伝達される細胞が いつでも刺激されている状態になります。

これによって刺激される細胞というのが、情動の中心となる辺縁系、そして前頭葉などであることが多いため 情報が錯乱してて幻覚を起こすというのです。
つまりLSDによって、全ての感覚の扉が開け放たれてしまうのです。。


一方、グルタミン酸の受容体であるNMDA受容体も幻覚と深くかかわっているとされています。
(グルタミン酸は、興奮性の神経伝達物質です。)

ケタミンを例にとってみましょう。

ケタミンはNMDA細胞をブロックし、神経細胞が異常に興奮するのを抑え、 視床−新皮質などを抑制する一方で  辺縁系・網様体を活性化します。

つまり脳のある部分を抑制するのに対し、一部を活性化するという逆の働きを持っているのです。
この 点こそ、 ケタミンが一般の幻覚剤・麻酔剤と違っていると言われるゆえんです。

辺縁系への刺激により、幻覚が生まれるものと思われますがこのメカニズムはよくわかっていません。

精神分裂症の患者では辺縁系の活動が活発になっていることが報告されています。


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