ベゲタミンについて

 

【組成】 [錠]A(赤色):1錠中塩酸クロルプロマジン25 mg,塩酸プロメタジン12.5mg,フェノバルビタ−ル40 mg

 [錠]B(白色):1錠中塩酸クロルプロマジン12.5 mg,塩酸プロメタジン12.5 mg,フェノバルビタ−ル30 mg

【適応】 次の疾患における鎮静催眠:精神分裂病,老年精神病,燥病,うつ病又はうつ状態,神経症

【用法】 1日3〜4錠分服(増減)

【注意】

(1)一般的注意

(a)眠気,注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので,投与中の患者には,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する

(b)連用中は,定期的に肝・腎機能,血液検査を行うことが望ましい

(2)禁忌

(a)昏睡状態,循環虚脱状態の患者[これらの症状が悪化するおそれがある]

(b)バルビツ−ル酸誘導体・麻酔剤等中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる]

(c)エピネフリンを投与中の患者[相互作用の項参照]

(d)フェノチアジン系化合物及びその類似化合物,バルビツ−ル酸系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者

(3)原則禁忌:皮質下部の脳障害(脳炎,脳腫瘍,頭部外傷後遺症等)の疑いがある患者[高熱反応が現れるおそれがあるので,このような場合には全身を氷で冷やすか又は解熱剤を投与するなど適切な処置を行う]

(4)慎重投与

(a)血液障害,腎障害,肝障害のある患者[血液障害,腎障害,肝障害が悪化するおそれがある]

(b)褐色細胞腫,動脈硬化症あるいは心障害又はその疑いのある患者[血圧の急速な変動がみられることがある]

(c)重症喘息,肺気腫,呼吸器感染症等のある患者又は呼吸機能の低下している患者[呼吸抑制が現れることがある]

(d)てんかん等のけいれん性疾患又はこれらの既往歴のある患者[けいれん閾値を低下させることがある]

(e)高齢者[高齢者への投与の項参照]

(f)幼・小児[錐体外路症状,特にジスキネジアが起こりやすい]

(g)虚弱者[呼吸抑制が現れることがある]

(h)高温環境にある患者[体温調節中枢を抑制するため,環境温度に影響されるおそれがある]

(i)脱水・栄養不良状態を伴う身体的疲弊のある患者[Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい]

(j)急性間欠性ポルフィリン症の患者[急性発作を誘発することがある]

(k)薬物過敏症の患者

(l)甲状腺機能低下症の患者[血中甲状腺ホルモン(T4)濃度が低下することがある]

(5)相互作用

(a)併用禁忌:エピネフリン[クロルプロマジンはα‐交感神経遮断作用を持つので,エピネフリンの作用を逆転させ,血圧降下を起こすことがある。昇圧剤を用いる必要がある場合には,ノルエピネフリンを用いる]

(b)併用注意

(ア)中枢神経抑制剤(バルビツ−ル酸誘導体,トランキライザ−,麻酔剤等),モノアミン酸化酵素阻害剤,三環系抗うつ剤,抗ヒスタミン剤,アトロピン様作用を持つ薬剤,ジスルフィラム[相互に作用を増強することがあるので,減量するなど慎重に投与する]

(イ)クマリン系抗凝血剤(ワルファリン等)[フェノバルビタ−ルは,クマリン系抗凝血剤の作用を減弱することがあるので,通常より頻回に血液凝固時間の測定を行い,クマリン系抗凝血剤の量を調節する]

(ウ)チアジド系降圧利尿剤(ヒドロクロロチアジド等)[フェノバルビタ−ルとの併用により,起立性低血圧が増強されることがあるので,減量するなど注意する]

(エ)バルプロ酸ナトリウム[フェノバルビタ−ルの血中濃度が上昇し,作用が増強されることがあるので,慎重に投与する]

(オ)アセタゾラミド[フェノバルビタ−ルとの併用により,クル病,骨軟化症が現れやすいので,慎重に投与する]

(カ)副腎皮質ホルモン(デキサメタゾン等)[フェノバルビタ−ルは,副腎皮質ホルモンの代謝を促進し,作用を減弱することが報告されている]

(キ)グリセオフルビン,テオフィリン,カルバマゼピン,シクロスポリン[フェノバルビタ−ルは,これらの血中濃度を低下させることが報告されている]

(ク)ドキシサイクリン[フェノバルビタ−ルとの併用により,ドキシサイクリンの血中濃度半減期が短縮することがある]

(ケ)タクロリムス[フェノバルビタ−ルは,タクロリムスの血中濃度を低下させる可能性がある]

(コ)アルコ−ル[飲酒により,相互に作用を増強することがある]

(6)副作用

(a)重大な副作用

(ア)Syndrome malin(悪性症候群):無動緘黙,強度の筋強剛,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等が発現し,それに引き続き発熱がみられる場合は,中止し,体冷却,水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行う。本症発症時には,白血球の増加や血清CPKの上昇がみられることが多く,また,ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお,高熱が持続し,意識障害,呼吸困難,循環虚脱,脱水症状,急性腎不全へと移行し,死亡した例が報告されている

(イ)突然死:血圧降下,心電図異常(QT間隔の延長,T波の平低下や逆転,二峰性T波ないしU波の出現等)に続く突然死が報告されているので,特にQT部分に変化があれば中止する。また,フェノチアジン系化合物投与中の心電図異常は,大量投与されていた例に多いとの報告がある

(ウ)再生不良性貧血,溶血性貧血:再生不良性貧血,溶血性貧血が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量又は中止する

(エ)麻痺性イレウス:腸管麻痺(食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘,腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し,麻痺性イレウスに移行することがあるので,腸管麻痺が現れた場合には,中止する

(オ)遅発性ジスキネジア:長期投与により,ときに口周部等の不随意運動が現れ,中止後も持続することがある

(カ)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH):まれに低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム排泄量の増加,高張尿,けいれん,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が現れることがあるので,このような場合には中止し,水分摂取の制限等適切な処置を行う

(キ)皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),剥脱性皮膚炎:まれに皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),また,剥脱性皮膚炎が現れることがあるので,観察を十分に行い,このような症状が現れた場合には,中止し,適切な処置を行う

(ク)眼障害:長期又は大量投与により,角膜・水晶体の混濁,網膜・角膜の色素沈着が現れることがある

(ケ)SLE様症状:SLE様症状が現れることがある

(b)外国における重大な副作用 呼吸抑制:外国において呼吸抑制が報告されている

(c)その他の副作用

(ア)循環器:血圧降下,頻脈,不整脈又は心疾患悪化がみられることがあるので,観察を十分に行い慎重に投与する

(イ)血液:巨赤芽球性貧血,白血球減少症,顆粒球減少症,血小板減少性紫斑病,低カルシウム血症等が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合は,減量又は中止する

(ウ)消化器:食欲高進,食欲不振,舌苔,悪心・嘔吐,下痢,便秘等が現れることがある

(エ)肝臓:黄疸,GOT,GPT,γ‐GTPの上昇等が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,中止するなど適切な処置を行う

(オ)腎臓:連用によりタンパク尿等の腎障害が現れることがある

(カ)錐体外路症状:パ−キンソン症候群(手指振戦,筋強剛,流涎等),ジスキネジア(けいれん性斜頚,顔面及び頚部のれん縮,後弓反張,眼球回転発作等),アカシジア(静座不能)が現れることがある

(キ)眼:縮瞳,眼内圧高進,視覚障害が現れることがある

(ク)内分泌:体重増加,女性型乳房,乳汁分泌,射精不能,月経異常,糖尿等が現れることがある。甲状腺機能検査値(血清T4値等)の異常が現れることがある

(ケ)精神神経系:錯乱,せん妄,昏迷,興奮,易刺激,不眠,眠気,眩暈,頭痛,不安,遅鈍,倦怠感,知覚異常,構音障害,精神機能低下,運動失調,アステリクシス(asterixis)が現れることがある

(コ)過敏症:猩紅熱様・麻疹様・中毒疹様発疹等の過敏症状,光線過敏症等が現れることがあるので,このような症状が現れた場合には中止する

(サ)骨・歯:連用によりクル病,骨軟化症,歯牙の形成不全が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常(血清アルカリホスファタ−ゼ値の上昇,血清カルシウム・無機リンの低下等)が現れた場合には,減量又はビタミンDの投与等適切な処置を行う

(シ)その他:口渇,鼻閉,発熱,浮腫,尿閉,無尿,頻尿,尿失禁,皮膚の色素沈着,ヘマトポルフィリン尿,血清葉酸値の低下が現れることがある

(7)高齢者への投与:高齢者では起立性低血圧,錐体外路症状,脱力感,運動失調,排泄障害等が起こりやすく,また,呼吸抑制が現れることがあるので,患者の状態を観察しながら,慎重に投与する

(8)妊婦・授乳婦への投与:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい

(a)フェノバルビタ−ルを妊娠中に投与された患者の中に,奇形児(口唇裂,口蓋裂等)を出産した例が多いとの疫学的調査報告がある

(b)フェノバルビタ−ルを妊娠中に投与すると,新生児に出血傾向,呼吸抑制等を起こすことがある

(c)フェノバルビタ−ルを分娩前に連用した場合,出産後新生児に禁断症状(多動,振戦,反射高進,過緊張等)が現れることがある

(d)フェノバルビタ−ルでは,妊娠中の投与により,葉酸低下が生じるとの報告がある

(e)クロルプロマジンでは,動物試験で胎児死亡,流産,早産等の胎児毒性が報告されている。また,妊婦に投与した場合,新生児に振戦等の症状が現れることがある

(f)クロルプロマジンは母乳中へ移行することが報告されている

(9)適用上の注意

投与時

(a)治療初期に起立性低血圧が現れることがあるので,このような症状が現れた場合には,減量等適切な処置を行う

(b)連用における投与量の急激な減少ないし中止により,不安,不眠,けいれん,悪心,幻覚,妄想,興奮,錯乱又は抑うつ状態等が現れることがあるので,中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行う。なお,高齢者,虚弱者の場合は特に注意する

(c)連用により薬物依存傾向を生じることがあるので,観察を十分に行い,慎重に投与する。特にアルコ−ル中毒,薬物依存の傾向又は既往歴のある患者,重篤な神経症患者等に対しては注意する

(10)過量投与

(a)徴候,症状:傾眠から昏睡までの中枢神経系の抑制症状である。呼吸は早期から抑制され,脈拍は弱く速い。血圧が低下し,重症では循環ショック状態となる。その他,不穏,興奮,低体温,心電図異常及び不整脈等が現れることがある

(b)治療:本質的には対症療法かつ補助療法である。呼吸・循環管理や早期の胃洗浄,重症の場合は血液透析,血液潅流等を行う

(11)その他

(a)制吐作用があるため,他の薬剤に基づく中毒,腸閉塞,脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがある

(b)クロルプロマジンによる治療中,原因不明の突然死が報告されている

(c)フェノバルビタ−ルをラット及びマウスに長期間大量投与(ラット:25 mg/kg,マウス:75 mg/kg)したところ,対照群に比較して肝腫瘍の発生が有意に増加したとの報告がある

(d)血清免疫グロブリン(IgA,IgG等)の異常が現れることがある

(e)外国で,プロメタジン製剤を小児(特に2歳以下)に投与した場合,乳児突然死症候群(SIDS)及び乳児睡眠時無呼吸発作が現れたとの報告がある

(12)室温保存

(13)規制等:劇向習指要

【作用】

(1)薬効薬理

(a)中枢抑制作用:3成分共,中枢抑制作用があり,塩酸クロルプロマジンとフェノバルビタ−ルは鎮静作用で相乗的に,塩酸クロルプロマジンと塩酸プロメタジンとはカタレプシ−引起し作用で拮抗的に作用

(ア)塩酸クロルプロマジンとフェノバルビタ−ルの相乗作用:単味での無作用量で,配合により,明らかに相乗作用,その強さは2〜10倍

(イ)塩酸クロルプロマジンとプロメタジンとの拮抗作用:クロルプロマジン単独投与で引き起こされるカタレプシ−は,プロメタジン併用により有意に抑制,明らかに拮抗作用

(b)催眠作用:終夜睡眠脳波にあまり影響を与えず,良好な睡眠を維持。健康男子成人7名(20〜24歳)にA錠1/2錠投与した夜では,段階1,2(浅い睡眠)及び段階REM(逆説睡眠)は出現率,量共ほとんど変化なく,段階3は増加,段階4は減少傾向,両者を合わせた段階SWS(深い睡眠)は,出現率にはあまり変化はないが,量は増加

(2)非臨床試験 毒性LD50(mg/kg)DS系マウス♂:経口=(A錠,B錠)170

【作用】

(1)薬効薬理

(a)中枢抑制作用:3成分共,中枢抑制作用があり,塩酸クロルプロマジンとフェノバルビタ−ルは鎮静作用で相乗的に,塩酸クロルプロマジンと塩酸プロメタジンとはカタレプシ−引起し作用で拮抗的に作用

(ア)塩酸クロルプロマジンとフェノバルビタ−ルの相乗作用:単味での無作用量で,配合により,明らかに相乗作用,その強さは2〜10倍

(イ)塩酸クロルプロマジンとプロメタジンとの拮抗作用:クロルプロマジン単独投与で引き起こされるカタレプシ−は,プロメタジン併用により有意に抑制,明らかに拮抗作用

(b)催眠作用:終夜睡眠脳波にあまり影響を与えず,良好な睡眠を維持。健康男子成人7名(20〜24歳)にA錠1/2錠投与した夜では,段階1,2(浅い睡眠)及び段階REM(逆説睡眠)は出現率,量共ほとんど変化なく,段階3は増加,段階4は減少傾向,両者を合わせた段階SWS(深い睡眠)は,出現率にはあまり変化はないが,量は増加

(2)非臨床試験 毒性LD50(mg/kg)DS系マウス♂:経口=(A錠,B錠)170

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