旧課程と新課程のはざまで

旧課程と新課程の違いで気が付いたことです。新旧では細かな差異があるので、再受験等の方は、一度は新課程の教科書や参考書を全てチェックしたほうがいいとおもいます。もっとも、同じ旧課程と言っても1995年卒業の旧課程の人と、1985年卒業の人では違うかもしれませんけど。

 

 


英語…読解、和訳、作文などが主体で、本質的には同じなのですが、会話表現を問う出題が増えているので少し注意。


数学…分野の入れ替えが最も激しい教科ということで、複素数平面幾何コンピュータなどの新分野が増えています。複素数は1970年代には難問オンパレードだったそうですが、いまの時点ではそれほどでもなく、複素平面に絡んだ問題が多いようです。平面幾何は問題のあたりハズレがある(上手くひらめかないと全くわからない…とか)ので、センターなどで選択すべきではないかもしれませんが、知っておくと結構いいです。ベクトルの内分点を求める問題など、幾何の定理を使うと一瞬でとけてしまうこともあります。コンピュータは勉強する意味なし。センターでしか出ません。そのかわり、センター数学IAのコンピュータ問題など超やさしいので、もともとプログラムを知ってる人はオトクです。

反面、高校数学・受験数学の大きな目玉である一次変換が消え、空間図形がなくなることで、行列とベクトルが相当フヌケになりました。難関校で差のつくことの多い微分方程式も全く消えています。つまり、旧課程の人にとって、負担だった分野がかなり軽減されているとも言えます。

センター試験に限っていえば、因数定理が数IIB、整関数/有理関数が数IIICに移動してしまったために、整数問題が旧課程より優しくならざるをえませんし、二次曲線も数IIICに移動したので、苦手だった人は、センターでお目にかからなくてすむようになりました。反面、確率が数IA、数IIBの両方に入ってしまったので、確率が苦手だったり、履修してない人は逃げがきかなくなってしまいました。

また、細かいことで、数IIICの「いろいろな曲線」では、複素数平面と絡んだ奇妙な形の曲線が沢山新登場しているので、一度はさらっておきたいです。平面のなす角を求める時に、昔なら平面の式を立て法線ベクトルのなす角を求めていたのに、今は平面に含まれるベクトルを探し、それのなす角を探すというようにやり方が変わっています。


物理レンズと剛体が増えています。それ自体は、必ずしも難解ということはないですが、複合問題になったときに痛いかもしれません。旧旧課程では、剛体の難問が結構あったみたいですしね。


化学…基本的には同じはずですが、化学IIに追い出された科目は、旧課程より難しくなっているかも。化学平衡の分野が詳しくなっています。溶解度積って旧課程の人はやっていないですよね。あと、時代の変化により、昔にはなかった技術や物質が出てくることがあります。例えば、燃料電池だとか、フラーレンやカーボンナノチューブとか。そうそう周期表の書き方なんかも違ってます。昔、ヘリウムとかって0族って言ってましたけど、いまじゃ18族ですし


生物…昔はかなり博物学的だった内容が、近年の分子生物学や遺伝子工学の発展をうけて変化しています。細胞に関して共生進化説や、遺伝子組み替えなんてことはわたくしの時代には全くありませんでしたが、いまや受験生物の基本です。植物の光合成で、暗反応/明反応という言葉もなくなりました。(反応1〜4と呼ばれる)。用語をチェックしないと、温度の影響を受けないのは何反応?とかいうありふれた質問にも間違える可能性があります。

また、新課程になって、細胞分画法というのが消えましたが、代ゼミの中嶋先生によれば、まだ当面でそうなので、フォローしとく必要があるとのことです。


倫理…旧課程に比べ、「青年期の課題」「現代社会の特質」などが増えたということになっていますが、それ以外でも人物や用語が増えていると思います。遊戯人、工作人などの用語、シュバイツアー、フランクフルト学派、マズローなんて、旧課程では出てこなかった。

一昨年までは、センターで満点狙える科目でしたが、昨年からは、教科書の範囲外からバシバシ出すようになりました。センター試験事務局によると、99年、センター倫理受験者のなかで満点を取れた人はいませんでした。

 

 

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