Re.: "From Sabbath to Sunday"
by Samuele Bacchiocchi
1977年に初版が出されたサムエル・バキオッキ博士の"From Sabbath to Sunday"と いう本をご存じの方は日本にどれほどいらっしゃるでしょうか。ほとんどいらっしゃらないのではないかと思います。私は1978年に買いましたが、当時¥7000くらい払ったのではないかと思います。 バキオキのこの本は安息日が、土曜日から日曜日に変更されたのは、カトリック の権威と、またミトラ教のような太陽礼拝の異教の影響であると言うことを証明した研究であるとしていました。しかし、何回かこの本を読み直してみると、どうも問題の根はもっと深いところにあるという事に気がつかれました。
「カトリックの権威」「ミトラ太陽神礼拝の影響」云々は、それはそれでいいのですが、実際問題として土曜日の安息日を日曜日に動かそうとしたのは、初代教会の直後からその萌芽が見られていた事は注目に値します。バキオキの論文では具体的に、「アンテイオケのイグナチウス」、「殉教者ユステイヌス」、「アレクサンドリアのバルナバ」の三人の教父の文献を挙げていまして、彼らがどういう理由で土曜日の安息日の否定を始めたかを記述しています。たとえば「バルナバ」の例をあげるなら、彼が第七日安息日遵守を不要と主張した理由は、
(1)第七日の休みは聖書の象徴であり、キリストの再臨になるまで成就しない。
(2)安息日を聖別することは、罪ある不浄な人間には不可能なことである。これが出来るようになるのは再臨を待つしかない。
(3)新約聖書には「安息日や新月は続かない」と言っているから、安息日の厳守はもはや不要となった
としユダヤの信仰の遺産からの分離を主張しているのです (It doesn't sound fair, does it?)。当時、ローマはク リスチャンを迫害し始めていましたが、その後、クリスチャンよりもユダヤ人に対する迫害を厳しくしていましたから、彼らとしても、第七日に集会をすることによって、ユダヤ人と一緒に逮捕、連行、投獄、死刑にされる事を回避しようとして、上のような言い訳をして第七日に礼拝集会を持たないで済むような宗教的口実を作ったという事を過去の歴史的根拠によって述べています。その結果、キリスト教会の中に、第七日の礼拝や過ぎ越しの祭りを祝う人達を非難し、排斥して行くレールが敷かれてしまいました。その結果当然、ユダヤ人も差別の対象になりました。ですから、安息日が土曜日から日曜日に変わってしまったのは、異教の影響とかいう外部からの圧力ではなく、教会内部の反ユダヤ主義の為であったと言うことが、このバキオキのリサーチから明らかになるのです。 そいういうポイントは、この本が初めに出版されたセブンスデーアドベンチスト教会の中では、なぜか殆ど強調されませんでした。
驚くべき事に、このバキオキの本は、今や版を重ねて、売られてきた本の数はもはや15万冊以上に達しています。この本はSDAの中では、皮肉なことに、どちらかというと特定の神学専門家かオタク的な人達だけが書斎でこっそり読むような本と見なされていて、普及度が低く、誰の興味をも引いて誰にでも受け入れられたというものでは無かったのです。それがどうして15万部以上売れたのかというと、実はこれの本の存在がクチコミで他教会のクリスチャンに広まり、そして運命の出会いというか、メシアニック・ジューの登場でキリスト教に関心を持ち始めたユダヤ人達の間で火薬庫に火が付いたように爆発的に読み始められたのです。現在、そういう人たちがキリスト教とユダヤ教の垣根を越えて、バキオキのこの本をメシアニック・ジューを語る者の必読書、また第七日安息日再検討の必読書に指定しています。もちろん、彼らは第七日安息日にイエスキリストをメシアとして讃える礼拝をしているのです。
こういう背景で、バキオキ博士のこの本は、ついにペーパーバックの普及版となってBiblical Perspectivesというキリスト教の出版社から新規装丁で同じタイトルで刊行されることになったのです。ちなみに以前の出版社は教皇庁直属のThe Pontifical Gregorian University Press, Rome, Italyです。値段は7000円ではなくた ったの$15です。現在、この本を注文しようとすると、少なくとも3ヵ月のバックオーダー待ちになっています。版数もこれまでに14版を数えています。これほどの売れ行きを示した神学学術論文の本というのは、他には例がないでしょう。これで安息日をめぐる議論が全キリスト教会に広がるのは時間の問題になることを希望します。我々の現在滞在しているモンタナでもカトリックやアッセンブリーなどの人達を中心とした各教派のクリスチャンの人たちが万難を排して礼拝日を日曜日から土曜日に切り替えている人達が増えています。第七日安息日を守ることが神のみこころである事の確信を得て頂きたいと思います。
バキオキの最近の評論を読んでみますか(日本語訳です)?。これには最近の安息日問題をめぐる教会の中の葛藤に就いて述べられています。
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Book Recommendation From Mr. Kataoka
片岡さんから次のような本も紹介されています!
さて、ルース・スペクター・ラセール女史の、新しい日本語訳が出たので、ご紹介します。
タイトル: 『ユダヤの祭り』
ルース・スペクター・ラセール著 小山 大三 訳
岐阜純福音出版会 1400円+消費税
聖書を、読む上でも、とても、役にたつものです。最近は、この出版社の本が、結構、売れているらしく、一部は、絶版になっているものもあります。興味のある方は、早めに、注文されることを、すすめます。また、この本の原文は(JEWISH FAITH AND THE NEW COVENANT)の三課である(IMPORTANT JEWISH HOLY DAYS)だそうです。原書が手にはいる人は、そちらを読む手も、ありそうです。
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