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LANCIA K

 NOBLE REDの「LANCIA K(カッパ)」を見た。何回かにわたって深夜にTVで放送されていた、ツール・ド・フランスの中継でだ。いわゆるオフィシャル・カーがFIATなのも嬉しかったが、あのマルコ・パンターニの横を併走する、大会トップの乗るクルマが「LANCIA K」だったのだ。
 かつて『NAVI』誌上で内田盾男さんがランチアについて「“エレガンス”こそ、ランチア車の特徴」、「イタリアでは大統領から首相から閣僚まで、公の自動車はランチア・テーマと決まっていますが、メルセデスの押し出しの強さもレクサスの細かな装備もないけれども、でも間違いなくテーマには紳士が乗るにふさわしい品格がある」、「日本の感覚でいくと、エレガンスというのは優雅でのんびりしたイメージだけれども、ヨーロッパではまったく違う。静の美ではなくて、動の美なんです」、「ですから、レースに出場する、というのは機動性の証であり、非常にエレガントなスタイル」などと語っていたけれど、ツール・ド・フランスという自転車レースのなかに、ランチアがオフィシャル・カーとしてある画は、まさに正解なのだろう。
 今回のツールは薬物服用疑惑でさんざん紛糾したわけだが、当局に対する抗議のスタンスが個に立脚したパブリックを感じさせ、これがヨーロッパか。
 それにしても、パンターニはなんだか可愛い。FIATそしてLANCIA軍団に囲まれるなか、イタリア人の小さな彼が優勝したという事実が、かの国のラディカルな強さなのだろうか。
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