なおちゃんぱぱ自動車工場へ行く


先日なおにいちゃんの現地学校で社会見学があった。なんと自動車工場の見学だ。 こちらの学校では親がボランティアとして見学に同行して先生の引率を助ける 事が多い。今回も見学の連絡と共にボランティアの募集がきた。実は私、工場 見学というのが大好きなのだ。しかもアメリカの自動車工場なぞそう見れないと 思い、子供以上に興奮して(大げさ?)申し込んでしまった。

さて当日の行き先は New United Motor Manufacturing 、学校からスクールバスに乗って約40分のところ。 生徒が30人ぐらい、親が5人、担任の先生、今回はゲストとして学校の職員、 さらには担任の先生の息子さんもスクールバスに乗り込んで出発。 先生の息子さんは別の小学校の生徒だが今回の行事に特別に先生が連れて きたのでしょう。先生のモラル、これは不問としましょう。会社を休んで 参加の私ですから。

行きのバスの中では女の子たちがおおはしゃぎ、隣の車線のトラックの運ちゃんに 思いっきり手を振ったり、ホーンを鳴らせとジェスチャで合図したり。運ちゃんが ホーンを鳴らすとバスの中は拍手喝さい。日本の遠足ではちょっとないかも。

さて無事に工場に着き、見学コース最初の大きな会議室に。ここで工場の概要を聞いて 見学バスに乗り込んで工場内を周回する。この会議室のホワイトボードに KAIZEN,JIDOUKA,MUDA,KANBANの文字が。同行した台湾人のお父さんにどのような漢字かと 聞かれてしまった。この工場はGM社の自動車工場として1962年に創業、その後不況にて 1982年に閉鎖。その頃日本のトヨタが米国での生産拠点を探しており、GM社との合弁で 1984年2月に現在の工場として再出発した。創業開始時に生産ラインの労働者を日本へ 10ヶ月の研修として送りこみトヨタ方式を学んだそうだ。当時日本の工場で取り入れていた 改善、自動化、無駄、看板方式などの文化は引き継がれ現在も生きているのだ。

"カイゼ―ン"(外人が読むとこうなる)は作業の効率を高めかつ安全な環境を作る提案。 カイゼ―ンを提案するとカイゼ―ンポイントが貯まり、デパートの商品券になるらしい。 何と日本的か。"ジドーカ"がちょっとニュアンスが違うようで作業の質を向上させるとの説明。 もしかして"ジドーカ"は時代と共に意味がアメリカンになってきたのだろうか? ごみ箱には"ムーダ"のシールが貼ってあり。笑ってしまうのだが日本の効率の良い 生産方式の導入が今日のこの工場の存続につながっているのだろう。 当初休み時間の体操も導入したが、これは半年でおしまいだったらしい。レイジーな アメリカ人。ところで日本では今もトヨタは看板方式の生産なのでろうか?

現在この工場では北米向けのカローラ(トヨタ)、プリズム(GM)の生産を 行っている。この両車種の中身はまったく同一で車のエンブレムが違う程度。 ラインは全長1.5マイルのライン68秒毎に1台が完成、朝6AMから夜中の1AMまで の2シフトでの生産。あとはTakomaと呼ばれるトラックも生産、こちらのラインは 全長0.5マイル。全ラインの労働者は約4000人、我々が見学バスでラインの近くを 通過すると手を振ってニコニコしてくれる。ちょっと厳しい目で見ると手を振るひま があったら作業の効率をあげるべき。またラインから出てくる完成車のうち4割は 塗装の問題で修正が入るらしい。作業者がどうしてもなにかの弾みで傷をつけて しまうのだ。これも日本ではもっと丁寧に扱うだろう。まだまだ"カイゼ―ン"の 余地あり。

ラインのプレスの工程は忙しく、修理用のサービスの部品も生産するのでかなり残業を するらしい。しかし生活費の高騰が続くシリコンバレーということで給料が多いプレス工程への 配置転換を希望する人も多く、現在はウエィティングリストがあるらしい。

見学バスに乗ってプレス、溶接ロボット、組み立て、外観検査などの工程を 見学。案内役のおばさんが陽気な人ですれ違う人に挨拶、我々に紹介してくれた。 場所柄Oakland市のアメフトチームレイダースのファンが多く、皆レイダースの キャップをかぶっていた。アメリカの基幹産業を見学することができ大変有意義な なおちゃんぱぱであった。


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