「夕暮れ時にトラミは」         ’00年1月29日


夕暮れ時にトラミは

 6時といえばもう夕暮れ時なのですが、トラミは道端にポツンと座っていました。
 道の反対側から名を呼ぶとトラミは声が聞こえてきた方角が分からないみたいにキョロキョロと周囲を見回していました。
 私は名を呼びながら歩き続け、アルミの門扉をキーッと開けました。
 その音でやっと私の姿に気づいたトラミはすぐに走って来ました。
 玄関のドアを開けようとしている私の足元にしきりにまとわりついてきます。
 抱き上げると、トラミは体をくねらせてゴロゴロとノドを鳴らしながら頭を私にこすりつけようとします。
 妻はユニーに買い物にでも行っているらしく、まだ帰ってはいませんでした。
 冷凍室からカチカチに凍っているアジを2匹取り出すとガスレンジに火をつけました。
 よほど空腹らしく、トラミはアジが焼ける匂いに大騒ぎをしています。
 トラミは一般的にいうところの猫らしい猫なのです。
 モコファミリーは誰も焼き魚などには興味をしめさないのですが。
 トラミはアジが入っていたパックの匂いを嗅いだだけで大騒ぎでした。
 これまでは焼き魚を食べるのはミケだけでしたから、冷めるまでずっとほったらかしておいてもかまわなかったのですが、ミケが待っている間にトラミが食べてしまったなんてこともありました。

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