「春の日に」         ’00年2月22日


トラミの手

 風が強く吹いたりすることもあるのですが。
 日差しはとても暖かいという日が続いています。
 ベランダで洗濯物を干していましたら、足の下からトラミが鳴く声が聞こえて来ました。
 朝から遊びに出かけていたのが、腹をすかせて帰って来たようでした。
 トラミの姿は見えなかったのですが、私は下に向かってトラミの名を呼びました。
 トラミの鳴き声がピタッと止まりました。
 ベランダの下からは居間の屋根が通りに向かって下がりながら伸びていました。
 屋根の端からは桃の木のてっぺんが見えていました。
 その桃の木の枝がピクッと震えました。
 モモの木は小刻みに揺れていましたが、すぐにユッサユッサと大きく揺れたかと思うと、トラミが顔を見せました。
 トラミは屋根をゆっくりと上がって来ました。
 抱き上げると、陽光をたっぷりと浴びたトラミはフカフカしていてすごく暖かかでした。

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