「空からメリーが」 ’00年5月27日
昨夜10時過ぎのことですが、娘の久美子を迎えに車で駅に行きました。
ほんの20分ほどの時間だったのですが。
その間に家ではちょっとした騒動が持ち上がっていたのです。
妻の話によると、メリーが空から降って来たというのです。
「ニュースステーションを見ていたら、突然頭の上でドドドッ!とすごくやかましい音がしたのよ。
それで急いでガラス戸を開けて外を見たら、空からメリーが降って来たのよ。
もう、びっくりしたわよ。
でも、メリーはこんなふうに四本の足でピタッと着地したの」
妻はかなり興奮しながら身振り手振りもまじえて、メリーが落ちて来たようすを話しました。
驚きあわてた妻は急いで玄関に走ったそうです。
「ドアを開けると、もうメリーがそこに来て待っていて。
メリーを家の中に入れてやってから表に出てみたら、しし丸が大きなトラ猫に追われて庭を走り回っていたの。
しし丸が苦しまぎれに桃の木によじ昇り始めたところで、あたしがトラ猫を追い払ったんだけど」
トラ猫というのは家の近所をうろついているノラネコで、顔も体も大きくて毛がボソボソのやつです。
イネがケガをする原因になったのも、きっとこのトラ猫なのです。
「ユキの姿が見えないから、急いで2階に行ったら、ユキは部屋の中に隠れていたのよ」
「でも、モコは?」と、私は訊きました。
「モコは下の部屋でずっと寝ていたわよ」と、妻はあっさりと答えました。
つまり、話を総合するとこういうことのようでした。
暑かったので2階はガラス戸を開けて網戸にしてあったのですが、それをユキが開けてしまったのです。
そして、メリーやしし丸と一緒にベランダに出て、居間の屋根にいるところをトラ猫に襲われたのでしょう。
桃の木を昇ったり降りたりすることはトラミがいつもしているので、それをトラ猫が見ていたのかも知れません。
これまでにもメリーが網戸をはさんでトラ猫とケンカをしていたことは何度もありました。
いつもメリーは一歩も引かずに正面から闘っていました。
ですから、今回もメリーはまともにぶつかって行ったのだと思います。
でも、トラ猫はメリーよりもずっと体が大きくて体重も倍はありそうなのです。
だから、メリーはあっさりとはじき飛ばされて屋根の上から落ちてしまったのでしょう。
その時、ユキはすばやく家の中に逃げ込んだのでしょう。
ですが、しし丸は逃げ場を失って桃の木を降りたようです。
これまでしし丸は桃の木から降りたことなど一度もありませんでしたから、よほど必死だったのでしょう。
樹皮のクズや枯れ葉のカケラがたくさんくっついていましたが、幸いなことには噛まれたり、引っかかれたりしたような傷はどこにもありませんでした。
メリーも着地がうまくいったせいか、傷ひとつありませんでした。
こちらのほうが猫数はずっと多いのですから、集団であたればいいのにと思うのですが、猫はそういうふうには考えないようです。
それで、トラ猫が来ているのを見つけたら私たちで撃退するよりないようなのです。