「荒れるモコ」         ’01年1月15日


荒れるモコ

 夕食も終わって、しし丸はこたつの上で横になって寝ていました。
 私がいつも使っている和風テーブルが今ではこたつになっているのです。
 すると、ふいに部屋の中に「ギャーッ!」と悲鳴が響き渡りました。
 びっくりして、あわててきょろきょろと部屋の中を見回すと、食卓のテーブルの上でモコがメリーの背中に噛みついていました。
 急いで妻がモコを引き離してテーブルから下ろしました。
 ところが、モコは叱られてうなだれているようなふりを見せていたかと思うと、突然身をひるがえしてテーブルの上に飛び乗ったのです。
 それで妻はモコを廊下に出してドアを閉めてしまいました。
 「廊下で少し反省していなさい」ということなのです。
 私がそっと廊下をのぞくと、モコはからっぽの皿をさびしそうに見つめていました。
 それは孤食のモコ専用の皿で、たしかにモコは6時にはそこで夕飯を食べたのです。
 それでカニカマの缶詰を一つ取り出して見せると、一瞬モコはうれしそうな顔をしたように見えました。
 缶詰を開けてやると、モコは夕飯を食べそこなっていたみたいに勢い良く食べ始めました。
 でも、たしかにモコは6時頃に夕飯を食べていたのです。
 私が直接モコにあげたのですから間違いありません。
 けれども、食べ終わるまでは見ていませんでしたから、もしかしたら途中でユキに取られてしまったのかも知れません。
 どういうわけか、モコは娘のユキにはまったく弱いのです。
 その腹いせにメリーをいじめていたのではないかと私は考えています。
 モコも父親なのです。
 食べ終わったモコはすっかりくつろいでしまって、もうくうくうと眠ってしまっています。
 メリーもイスの上で寝ています。

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