「しし丸は和食好き」 ’01年2月5日
風が少し暖かくなって来たように思います。
とけそこなった雪がまだ道端にいじましく残っていますが。
日だまりにたたずんでいると、陽のぬくもりがダウンコートの内側にまで染み込んで来るように感じました。
JR町田駅と東急デパートの間にある広場では「日本男子」とかいう男の子たち6人がラジカセの音楽に合わせて歌い踊っていました。
夏の頃には「カミカゼ」とかいうバンドがよく路上ライブをしていたものですが、寒くなってからはそういうこともまるでなくなっていたのです。
人垣に囲まれた彼らを見ていたら、もう春がすぐそこまで来ているような気がしました。
それはちょっとハッピーな気分でした。
それで、東急デパートの地下にある食品売り場でとり肉のすり身を買ったついでに刺身用の甘えびも一皿買ったのです。
売り場のおじさんが「安くしておくからね」と言ったように、殻つきの甘えびは皿に山盛りになっていました。
家に帰ると、娘の久美子が炊き込みご飯のしたくをしているところでした。
久美子はときたま気が向いた時に夕飯を作るのです。
それで私はせっせと甘えびの頭を取って殻を剥きました。
殻を取ってみると、むき身で売っているものよりもちょっと小さいようでした。
でも、数はたくさんあって、全部を剥き終わるのは一苦労でした。
やっと一仕事終えて新聞のテレビ欄を見始めたら、しし丸が来てしきりに私の周囲をうろうろし始めました。
どうも私の指の匂いが気になってしかたがないようなのです。
「そうなのかな?」とは思いましたが、私たちが夕飯を食べ始めた時のしし丸の熱中ぶりには驚いてしまいました。
降ろしても降ろしてもこりもせずにテーブルの上に飛び乗って来るのです。
「ししってこんなに甘えびが好きだった?」と久美子に訊くと。
「ししはずっと和食党なんだよ」とのことでした。
ししはたくさん甘えびを食べました。
ついでに買った甘えびがこんなに喜ばれるとは思ってもみませんでした。
でも、なんにしても喜んでもらえるのはうれしいものです。
しし丸の寝顔を見ながらそう思いました。