「ほんとにささやかな」 ’01年4月10日
ワープロをしたり本を読んだりするのは、いつもカーペットの上にじかに座ってしています。
夏になるとカーペットを片づけてしまうので、木の床にざぶとんを置いて、やっぱり座っています。
夢中でキーボードを叩き続けていると、ときおり背後から「クフッ、クフッ」という声や「スーピー、スーピー」という寝息が聞こえてくることがあります。
すると、なんとなく私の腰のあたりがじんわりと暖かくなっているように感じるのです。
できるだけ体を動かさないように首だけを思いきりねじ曲げて振り返って見ると、やはりモコが背中を私に押しつけるような具合に横になって寝ていました。
メリーたちはそれぞれ思い思いの場所で寝るのですが、どういうわけかモコにはわざわざ私のうしろに来て背中をそっとくっつけて眠る妙なくせがあるのです。
それはモコが生まれて一ヵ月ほどで親から引き離され、ペットショップのケージで暮らしていた頃にできたトラウマのせいなのかも知れません。
しし丸やユキはずっと両親に見守られて成長して来ましたから、そんなトラウマはまるでありません。
むしろ、しし丸やユキは私たち人間をうとましく感じているのではないかと思われることさえ時々あるくらいです。
ですから、こんなふうに思いがけなくモコのぬくもりを感じると、ほんとにささやかなことではあるのですが、私は幸せな気持ちにひたることができるのです。