「きみがすき」 ’01年8月22日
本をいただきました。
ポプラ社の小さな詩集です。
詩を書いたのは桜井信夫さんで、長新太さんが絵を描いています。
たとえば、「けずらないえんぴつ」という詩は。
「ゆかにおちていた
あのこのちびたえんぴつ
すばやくひろった
あのこのあかえんぴつ
てのひらにはいる
あのこのしるしがついたえんぴつで
ひみつのじゅもんのように
あのこのなまえをかく
しろいかみにあかく
しんのさきがまるくなるまで
だれにもないしょに
あのこのなまえをかく」
というふうに続いて行きます。
ここにはせつないほどに純化された「あのこ」がいます。
「あのこ」は長い髪の少女かも知れません。
「あのこ」の名前は「かなわなかった夢」というのかも知れません。
「あのこ」の名前は読む人によってさまざまに名づけられることでしょう。
でも、きっとその名はその人にとってとても大切なものの名前であるに違いありません。
ひらがなばかりのやさしい本なのに、どうしてこんなにも深く気持ちの底に響いて来るのだろうと私は不思議でなりません。
みなさんにも読んで欲しいと私は心から思いました。