「切れたケーブル」         ’02年1月14日


ココット


 「インターネットができなくなってしまったんだよ」
 娘の久美子がいきなりそんなことを言いだしたものですから、私はちょっと混乱してしまいました。
 「ココがね。かじったのよ」
 「かじったって・・・・何を?」
 「ケーブルを。かじってボロボロにしちゃったのよ。だって、ケーブルを床の上を這わしてあったでしょ。ココがシャカシャカするときに一緒にケーブルもひっかいたり噛んだりしたのよ」
 「それで中の信号線が切れてしまったということなのかな?」
 「そうだと思う。もう三日も前から信号がぜんぜん来ないんだから」
 久美子はそれほど困ってもいない口ぶりであっさりと言いました。
 『それならそうと早く言えばいいのに』などとぶつぶつ文句を言いながら私はケーブルを見に行きました。
 ADSL用のケーブルは太いので壁に穴を開けて通すわけにも行かず、ドアの隅から部屋の中に引き込んでありました。
 ちょうどその隅のところでケーブルの被服がボロボロに破れていて、信号線がむき出しになっていました。
 しかも、よく見ると白い信号線がぶっつりと切れています。
 思っていたよりもずっと太くて硬い線でした。
 『よくこんな線が切れたな!』と、感心しながら私は切れた信号線をつなぎ、ビニールテープをぐるぐると巻きつけました。
 それから、ココットの足が届かないようにケーブルを張り直したのでした。

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