「屋根の上のモコとメリー」      ’98年4月20日


屋根の上のモコとメリー

 今日は初夏のように暑くて風が気持ち良い日でした。
 ガラス戸をすべて閉めきってしまったのではモコやメリーが暑いだろうと思って、 2階のガラス戸を開けて網戸だけにしておきました。
 ここは風通しが良いので、流れ込んだ涼しい空気が階段から1階の部屋まで行き渡るからです。
 ところが、用事を済ませて帰って来てみるとモコとメリーの姿が見えません。
 どこかの部屋で寝ているのだろうと思いながら2階に登ってみると、網戸がほんの少しだけ開いていました。
 ちょうどモコが通り抜けるのにちょうど良いくらいの幅です。
 あわてて網戸を開けてベランダに出ました。ベランダにも、ベランダの下から張り出している居間の 屋根にもモコやメリーの姿は見当たりません。
 でも、3畳ほどの広さの屋根の先端にはカリンの木の枝が伸びています。ミケやイネならいとも簡単に飛び移ってしまえる距離です。
 そこからは庭に降りるのも道路に出るのも自由自在です。「これは大変だぞ」と思いながら足元をふと見ると、白くてふさふさしたシッポの先がベランダの縁からはみ出していました。そのとなりを見ると、そこにもシッポの先が見えました。
 ベランダの床と屋根の間には少しだけすき間があります。モコとメリーはそこに隠れていたのです。
 「メリー、モコ、出ておいで!」と名前を呼ぶと、「やれやれ、見つかってしまったか」というふうにモコはのろのろと出て来ると、屋根の上にゴロンと横になってしまいました。
 メリーもモコの後から出て来ましたが、そのまま屋根の上をゆっくりと歩いて行って、屋根の端まで行くとそこでカリンの木の葉の匂いでもかいでいるように鼻を動かしています。
 カリンの木に飛び移られたら大変ですし、足をすべらせて下に落ちたりしたらもっと大変です。猫だからまさか落ちたりしないだろうなんて高をくくっていたら、メリーの場合は大間違いです。
 とりあえず、メリーを刺激しないようにまずモコの前に猫用バスケットを置きました。バスケット 好きなモコが中に入ったところでふたを閉めてしまいました。
 それから、ベランダの手すりを乗り越えてそっとメリーに近づき、慎重に抱き上げました。メリーは抱かれるのが好きではないので、暴れないように気をつけなければいけないのです。
 後から考えてみると、網戸を開けたのはどうもミケのしわざのようでした。モコやメリーにはまだそこまでは技術的にむずかしいようなのです。
 いずれにしろ、これからもっと暑い夏が来るのですから網戸が簡単には開かないような対策を考えなければいけません。  

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