「情けないライオン」 ’98年7月30日
夕方6時過ぎにモコを迎えに行きました。
麻酔がまだちゃんと覚めていないモコは足取りも危なっかしくてよろけていました。
家に帰ってからもモコはぐったりしていて、目もうつろな状態で寝てばかりいました。
この時のモコの姿と言ったら、たっぷりあった頬毛も刈り取られ、首から下の胴体は丸刈りでふさふさしていたしっぽも半分残すのみ、足元はまるでルーズソックスをはいているみたいでした。
その姿は例えて言えば、「情けないライオン」のようでした。
そのあまりにも変わり果てた姿と空虚な目つきにはかつてのモコの面影はカケラすらも感じられませんでした。
その上にモコはシャンプーでしっかりと洗ってもらっていました。さらにシッカロールみたいな粉薬まで体いっぱいにまぶしてありましたから、モコの匂いなどまったくありませんでした。
ですから、床の上に寝そべってくつろいでいたメリーは突然連れて来られたモコを見て本気で怒り出してしまいました。
歯を剥き出して、「シャアーッ!」と激しい唸り声を立てたのです。
このメリーの容赦無い攻撃に、頭がもうろうとしていたモコはたじたじとなり、すでにその姿で充分に負けていた状態だったのに、さらにみじめなことにはモコはすごすごと逃げ出したのです。