「さびしいモコ」       ’98年8月19日


淋しいモコ

 メリーはまだ1歳にもなっていないすごく若いお母さんです。
 まだ子供と言ってもいいくらいなのです。それでも、もちろんメリーはとても熱心に赤ちゃん達の世話をしていました。
 けれども、まだ目も見えない赤ちゃんですから、どうしてもうまく乳房が見つけられないこともあります。
 そんな時、困りはてたメリーは猫ちぐらから出て来て助けを求めます。
 メリーの鳴き声を聞いてそばへ行くと、メリーはもう一度猫ちぐらの中に入り横になります。乳房をさがしてあちらこちらに行っている赤ちゃんを乳房まで連れて来てくれと言うのです。
 赤ちゃんがうまく乳首に吸いついて飲みはじめると、やっと安心したようにメリーは目を細めるのでした。
 こんなふうにメリーはとても妻達を頼りにしていましたが、その代りに邪魔にされていたのはモコでした。
 モコはしきりにメリー達がいる部屋に入りたがりましたが、どうしても入れてもらえませんでした。
 それどころか、モコはうるさいからと言って別の部屋に閉じ込められていたこともあるのです。
 みんながメリーと赤ちゃんのことばかりかまっていて、誰も遊んでくれないのです。

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