「見守る父親」 ’98年8月22日
猫の世界でも父親はさびしいもののようです。
メリーがまた引っ越しをしたというので見に行きました。
今まで住んでいた猫ちぐらから部屋の隅にある鏡台の下の段ボール箱に移ったのです。
段ボール箱の中には古いタオルやシーツの切れはしが敷きつめてありました。出入りしやすいように入り口も作ってありました。これらは妻が大急ぎでしたことです。
箱の中ではメリーが横になっていて、そのとなりではぷくぷくに太った赤ちゃんがすやすやと眠っていました。
なんとなく気配を感じて振り向くと、半開きになった戸の陰からそっとのぞいているモコがいました。
部屋の中に入りたい気持ちがあるのでしょうが、入りそびれているという感じでした。
この時は私と一緒に階段を降りて行ったのですが。
その後でモコはまた赤ちゃんを見に行ったのでした。
モコが2階に行ったふうなので私も後から追って行きました。
部屋に入ってみると、段ボール箱の前ではメリーが床に寝そべったまま厳しい目つきで警戒を怠らないでいました。
モコは部屋の中央でメリーには背中を向けたまま何か他の物に興味があるようなふりをしていました。
しばらくの間、モコは部屋の中をうろうろしていましたが、やがて何も無かったような顔で部屋を出て行きました。