「しし丸の登山」 ’98年11月6日
台所で玉ねぎを切っていたら、不意に後ろから足に飛びついたものがいました。
見ると、しし丸でした。しし丸が私のズボンに爪を立ててぶら下がっていたのです。
ほんとはこれがけっこう痛かったのですが、我慢してほうっておくと、しし丸はひょいひょいっと身軽に背中から肩まで昇って来てしまいました。
右肩に乗ったままで、私が大きなフライパンで玉ねぎを炒めるのを眺めているのです。
この時、私はカレーを作っているところでした。私はカレーのほかにシチューも作ることができます
肉やじゃがいもをとろ火で煮込んでから、カレーのルーを入れればカレーになるし、シチューの素を入れればシチューになるのです。
ところが私が火力を弱めようとしてちょっとかがんだ瞬間に、しし丸はうっかりバランスをくずして前のめりに落ちそうになりました。
あわてたしし丸は私の肩の皮膚にしっかりと爪を突き立てたまま必死にぶら下がっていました。
もうちょっとでしし丸はフライパンの玉ねぎの上に落ちるところだったのです。
しし丸入りのカレーは食べなくてもすみましたが、私の肩はしばらくの間ひりひりと痛み続けました。
それなのに、しし丸はちっともこりないで、誰彼かまわずに背中によじ昇るのがくせになってしまったのです。
体重も日増しに重くなって来ていますから、しし丸に爪を立てられるとほんとに痛いのです。