「しし丸の悪知恵」           ’99年7月16日


しし丸の悪知恵

 夕方6時半に家に帰って来ましたら妻はまだ帰っていなくて、娘の久美子も出かけていて家にはいませんでした。
 しし丸たちが腹をすかしているようなので、チャオの缶詰を開けてあげたのです。
 ところが、モコはやっぱりユキにご飯を取られてしまって、あらかた食べられてしまいました。
 ですから、メリーとしし丸はユキの分まで喜んで食べてしまったのです。
 仕方がないのでモコにはもう一つ缶詰を開けてやりました。
 それなのに、それなのにです。
 しし丸は帰って来た妻の足元にまとわりついて、「腹が減った。もっと食い物をくれよ」と、しつこくせがんだのです。
 「ねえ。しし丸にご飯をあげなかったの!もっと食べたいって言ってうるさいのよ」と、妻は私に向かって声を荒げます。
 「しし丸は育ち盛りだから缶詰が一つじゃ足りないのよ」と、妻はさらに追い打ちをかけて来ます。
 しし丸はユキの分まで食べたのだからと私はなんとか抵抗をこころみました。
 そこにちょうど帰ってきた娘の久美子が、「しし丸がうるさいので、あたしも5時に缶詰をあげてから出かけたのよ」と言いました。
 なんと悪知恵を働かせたしし丸は5時に久美子からご飯をもらい、そうとは知らない私から6時半にまた缶詰をせしめたのです。
 その上に妻からも夕飯をもらおうとしていたのですから驚いてしまいます。
 ねだる相手を次々に取り変えて、夕飯を三度も食べようとはしし丸も油断ができません。

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