「不幸なトリミング」 ’99年8月16日
モコをトリミングしてもらった時には私がさとう動物病院まで付き添って行き、「トリミングするのはお腹や足の内側にして、顔や背中は毛を薄くするだけにして下さい」と頼みました。
ですから今年のモコの場合は前面から見た時にはほとんど変わっては見えませんでした。
でも、妻や娘の久美子にはそれが不満だったようなのです。
「まだ暑苦しく見える」とか「トリミングしてもらった甲斐が無い」などと言っていたからです。
それで今日は、私が仕事で都合の悪いこともあり、妻がしし丸を連れて行きました。
そして夕方に家に帰って来た時にはしし丸は上の右側の写真のように顔からしっぽまで見事に短く刈込まれていました。
帰って来たしし丸を見て、びっくりしたのはユキでした。
上の左側の写真のように、「見知らぬ猫が家に入り込んで来たぞ!」というふうに物陰から不審そうにしし丸を見ていたのです。
しし丸であることがどうにも分からないらしくて、近寄って来たしし丸に向かってユキは「フーッ!」と怒り出しました。
ユキが怒ったのを見たのは私もまったく初めてでしたから、「ああ、ユキでも怒ることがあるんだな」と私は妙なことに感心していたのですが。
しし丸にとってはそれどころではありませんでした。
ユキは本気でしし丸を家から追い出そうとしていたからです。
まだ完全には麻酔がさめきっていないしし丸は不安そうにオロオロしていました。
久美子がユキをしし丸から引き離してもまだユキはあきらめずに遠くからチャンスをうかがっているようでした。
どういうわけか、メリーはまるで知らん顔でしし丸のことをまったく無視していました。
それはやっぱりメリーもしし丸をよその猫と見なしているためで、「ことを荒立てずに、何も見なかったことにしておこう」とでも考えているようでした。
しし丸にしてみれば、今日は朝からひどい日でした。
朝ご飯を食べようとして2階からみんなでどどっと駆け降りて来たら、しし丸だけつかまえられて久美子の部屋に閉じ込められてしまったのです。
それでけっきょく朝ご飯は無しで、病院に連れて行かれて体中の毛を刈られてこんな姿にされてしまったのですから、しし丸にとっては生まれて以来で最悪の日でした。
しかも、その日はまだ終わっていないのです。
しし丸がすっかりいじけてテーブルの上で寝ていると、モコがやって来てしし丸の頭をやさしくなめました。
モコにはそれがしし丸であることが分かるらしく、何度もしし丸の頭をなめてやったのです。
そして、しし丸はモコに甘えながら眠ったのでした。
それから、こんな騒ぎですっかり忘れていたのですが、しし丸とユキは14日が誕生日で、これで1歳になったのです。