「ユキの散歩」 ’99年9月20日
夕方に家に帰って来て、二階に上がりびっくりしました。
網戸の端が少しだけ開いていて、しし丸がベランダでゆっくりとくつろいでいたのです。
その上、ベランダの下から通りに向かって伸びている居間の屋根にはユキがいて、のんびりと歩きまわっていました。
屋根の端まで行くとカリンの木の枝に跳び移ることができるのですが、そこまではする気は無いようでした。
でも、ぐずぐずはしていられません。
幸いなことに、もう夕飯の時間でした。
しし丸はお腹をすかせているはずです。
缶詰を取って来ると、網戸をそっと開けて缶詰をしし丸とユキに見せながら、「ご飯だよ」と言いました。
しし丸がむくっと起き上がりました。
ユキは屋根の上をこちらに向かって歩いて来ます。
ユキがフェンスのすき間に頭をくぐらせた時に、「パカン!」と大きな音を立てて缶詰を開けました。
その時にはしし丸はもう私の足元にいましたから、ユキが家の中に入るとすぐに網戸を閉めてしまいました。
ユキは一瞬、「しまった!」という顔をしましたが、しし丸は缶詰に夢中でした。
ベランダのことなんかすっかり忘れてしし丸はバクバク食べていましたが、ユキはあまり食欲が無いようでした。
結局、ユキはモコのご飯を半分横取りしただけでそそくさと二階に戻って行きました。
そして、もう一度網戸を開けようとしたのですが、開かないようにヒモでしばっておきましたから、ユキは何度も網戸をバリバリと引っかいてからやっとあきらめました。
それからユキはいつものように階段に横になると眠ってしまいました。