ワイドスクリーン・バロック
バリントン・J・ベイリー
Barrington J. Bayley
(著者紹介)
ワイドスクリーン・バロックの代表的なイギリス人SF作家。
「スター・ウィルス」 1970 | 「永劫回帰」 1983 |
「スター・ウィルス」 THE STAR VIRUS 1970
大森 望訳 カバー・松林富久司 創元文庫SF697-03 ISBN4-488-69703-8
変なスペオペ(あらすじ―本書1pより)
大宇宙をさすらう無頼の宇宙船乗り、ロドロン・チャンは、銀河を人類と二分する異種族ストリールから掠奪した、不可解な“レンズ”に見入っていた。そこには、大仕掛けな映画のごとく、次から次へと様々な光景が浮かんでは、そして消えていくのであった。しかもこのレンズはストリールにとって貴重きわまりない品らしい。彼はいったい何を手に入れたというのだろう? 鬼才ベイリーの描くスペースオペラは、この処女作においても破天荒なスケールで展開し、読者に尋常ならざる宇宙SFを堪能させてくれる。
(書評:1998-09-26読了)
マイクル・ムアコックが描くヒーローが好きな人にはたまらないスペース・オペラ。主人公はジメジメしているし、女っ気はゼロだし、味方はあっさりと死んでしまったりと、スペオペの「お約束」がことごとくスカされる。暇つぶしに最適な一冊。
「永劫回帰」 THE PILLARS OF ETERNITY 1983
坂井星之訳 カバー・松林富久司 創元文庫SF697-2 ISBN4-488-69702-X
失敗作(あらすじ―本書1pより)
無頼の宇宙船乗り、ヨアヒム・ボアズは、哲学者コロネーダーたちによって身体改変された一種の超人であった。彼と機能的にリンクされた「船」とともに宇宙を渡るボアズの目的はただひとつ・・・・・・この宇宙は、定められたひとつの輪をたどるように、幾度もいくども同じ時を繰り返してきた。その円環構造にくさびをうちこむこと。そしていま、過去未来を問わず、時を越えて光景を映しだす時間石(タイム・ジェル)が採取されるという伝説の放浪惑星が、ふたたび人類の前に姿をあらわした! 年老い衰退してゆく宇宙を背景に、凝集されたアイデアを駆使して鬼才ベイリーが送るワイドスクリーン・バロック!
(書評:2000-03-08読了)
こういうのがベイリーの作品の特徴なのかもしれないが、以前読んだ「スター・ウィルス」になんとなく似ている感じがした。あらすじを見る限りとても面白そうなんだけど、期待をすると見事に肩透かしをくらってしまう。主人公がパッとしないのでいまいちピンとこない。本当にコイツは極限の痛みに苦しんでいるのか? ワイドスクリーン・バロックらしく続々と出てくるアイデアはやっぱり面白いが、私にとってはイマイチだった。