クリストファー・プリースト
Christopher Priest

(著者紹介―創元SF655-03『逆転世界』あとがきより)
 1943年、イギリス北西部のチェシャー生まれ。16歳で学校を出たあと、会計士事務所に勤め、そのかたわらでSFに熱中、1966年、短編“THE RUN”で〈インパルス〉誌にデビュー。処女長編『伝授者』で注目され、第三長編『逆転世界』でイギリスSF界の若手作家の代表と目される。作家活動は長いが、どちらかといえば寡作。

「逆転世界」 1974

「逆転世界」 INVERTED WORLD 1974
 安田 均訳 カバーイラスト=加藤直之 カバーデザイン=矢島高光
 創元SF655-03 ISBN4-488-65503-3

んなアホな! そっ、そんなオチだったんですか!

(あらすじ―本書1Pより)
 〈地球市〉と呼ばれるその世界は、全長1500フィート、七層に区分された、要塞のごとき都市だった。しかも、年に36.5マイルずつ、レールを敷設しては移動していく、動く都市である。そして印刷物は、この世界の伝説の故郷とされる惑星“地球”での生活を扱ったものばかり……。この異常な世界に生まれた主人公ヘルワードは、成人とされる650マイルの歳(とし)となった日、初めて都市の外に出ることを許された。だがそこで彼が見たものは…… 月も太陽も、教えられていたような円形ではない、いびつに歪んだ世界だった! 英国SF協会賞に輝く、鬼才の最高傑作。

(書評:1999-10-06読了)
 これをSFといわずしてなにをSFというのか、奇想天外な傑作。クラークの「都市と星」みたいな感じで保守的なギルドに対抗して恋人とともに都市の人々を外界に導くといったようなストーリーかなと思ったが、見事にその予想を打ち破られてしまった。かなり無理があるハチャメチャな内容(実際ラストでは、主人公自身があまりのムチャさに思わず「つっこみ」をいれてしまっている)だと思うが、著者自身が確信犯的にやっていると思うので私は十分納得できる。なにはともあれ、この本に間してはグダグダいうより読んでいなかったらとにかく読んでくださいというのが一番いいだろう。超お勧め!


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