スペース・オペラの巨人
E・E・スミス
Edward E. Smith
(著者紹介)
1890年アメリカ、ウィスコンシン州に生まれ。1965年、七十五歳でこの世を去る。スペース・オペラ界の巨人の一人。日本のテレビアニメにもなったレンズマン・シリーズで有名。
「火星航路SOS」 1931
(レンズマン・シリーズ) 「銀河パトロール隊」 1950 |
「火星航路SOS」 SPACEHOUNDS OF IPC 1931
井上一夫訳 カバー・加藤直之 ハヤカワSF155
埃のかぶったスペオペ(あらすじ―本書1pより)
地球=火星航路に就航中の惑星間宇宙船アルクトゥルース号が、突如何者かに襲われた。そして、計算士として乗り組むスティヴンス博士は、惑星間航行会社社長の愛娘とともに一切の救援の望みを絶たれたまま、未知の衛星ガニメデへ漂流するのだった。しかし、不屈の闘志と第一級の科学知識を駆使して無から有を、通信機器他多くの装置を完成、ついに救助信号を発して危地を脱出する二人――だが、凶猛邪悪な異星人の魔手がまたも彼らの行手に! スペース・オペラの第一人者が放つ、創世記のSFの活力に満ちあふれた天衣無縫大冒険!
(書評:2000-01-21読了)
1931年発表とかなり昔のスペースオペラ。たいして読むべき価値は無いだろうと思いつつページをめくっていたがやっぱりその通りだった。レイ・カミングスの「宇宙の果てを超えて」を思い出した。なにはともあれ、この時代のSFはなんだかんだいって空想(似非?)科学している。しかしながら、スペース・オペラの巨人の作品だけあって作品の密度は十分に濃い。正直言って読むのが疲れた。
レンズマン・シリーズ
「銀河パトロール隊」 GALACTIC PATROL 1950
小西 宏訳 カバー装画・真鍋 博 創元SF603-1 ISBN4-488-60301-7
レンズマンシリーズ@(あらすじ―本書1pより)
銀河文明の擁護者であり大宇宙のFBIである銀河パトロール隊の精鋭レンズマンは、強大な宇宙海賊ボスコーンを求めて銀河系から銀河系へと、驚異的な超高速無慣性飛行を続ける。ひきいるは、われらが英雄キムボール・キニスン中尉! 敵艦発見と同時に大宇宙の一角で、手に汗にぎる死闘が展開する。ボスコーンとは人間なのか? 海賊を追っての冒険は、さらにデルゴン惑星上での怪獣との闘い、不気味な車輪人間の攻撃とつづいて、レンズマンに危機せまる。スペース・オペラの決定版。
(書評:1998-08-16読了)
いわずと知れたレンズマン・シリーズ。基本的にスペオペの体裁をとっていながらハードSF風でもある。そういうところでキャプテン・フューチャー派とレンズマン派に別れるのではないだろうか? 私はどちらも好きですがスペース・オペラの最高峰はレンズマン・シリーズと一般的にいってよいと思う。ワイド・スクリーン・バロックの代表的作品でもあるので内容はメチャメチャ濃い。ところで、レンズマンと聞けば昔アニメ(CGを最初にとりいれたアニメ?)でやっていたのを思い出すのですが、そのときの2足歩行のドラゴン戦士ウォーゼルの印象が強烈に残っている。子供心にあれはカッコよかった。しかし、原作では完全なドラゴンなのでちょっと残念。でも、バン・バスカークはアニメより原作のほうがずっといい扱いを受けている。