軽妙洒脱
フレドリック・ブラウン
Fredric Brown

(著者紹介)
 アメリカ人SF・推理小説作家。1906年米国シンシナティ市に生まれる。1972年、66歳で逝去。

「発狂した宇宙」 1949

「火星人ゴーホーム」 1955

 

(短篇集)

「未来世界から来た男」 1961

「宇宙をぼくの手の上に」 1951


「発狂した宇宙」 WHAT MAD UNIVERSE 1949
 稲葉明雄訳 カバー・加藤直之 ハヤカワSF222
 
 パラレルワールドSFの代表作

(あらすじ―本書背表紙より)
 第一次月ロケット計画は失敗に終わった! 不運にも墜落地点にいたSF雑誌<サプライジング・ストーリーズ>の編集者キース・ウィントンの遺体は、粉微塵に吹き飛ばされたのか、ついに発見されなかった。ところが、彼は生きていた――ただし、なんとも奇妙な世界に。そこでは通貨にクレジット紙幣が使われ、身の丈7フィートもある月人が街路を闊歩し、そのうえ地球は、アルクトゥルース星と熾烈な宇宙戦争を繰り広げていたのだ! 多元宇宙ものの古典的名作であると同時に、“SF”の徹底したパロディとして、SFならでは味わえぬ痛快さと、奇想天外さに満ちた最高傑作。

(書評:1998-05-XX読了)
 多元宇宙ものの古典的名作。特になんにもいうことのないお気楽な内容。ハラハラドキドキしながら素直に楽しめる。面白いのでぜひご一読を。

「火星人ゴーホーム」 MARTIANS, GO HOME 1955
 稲葉明雄訳 カバー・加藤直之 ハヤカワSF213
 
 ユーモアSFの代表作

(あらすじ―本書背表紙より)
 カリフォルニア州の砂漠の中の一軒家で、SF小説の原稿に苦吟していた小説家ルーク・デヴァルウは、世にも不思議な体験をした。奇妙な緑色の小人が彼を訪ねてきたのである。「やあ、マック」と小人はなれなれしく彼に話しかけた。「ここは地球だろ?」驚いて口もきけない彼に、小人はおりから夜空にのぼっていた月を指さした。「月が一つしかないもんな。ぼくんとこには二つある」太陽系内で月を二つもっている惑星といえば、ただ一つ限られてしまう。するとこの小人は……火星人なのだ! 痛烈な風刺と軽妙なユーモアをもって描く鬼才ブラウンの古典的名作ついに登場!

(書評:1998-07-05読了)
 「発狂した宇宙」と並ぶブラウンの最高作。ハチャメチャにブラックなドタバタ喜劇。個人的には「発狂した宇宙」のほうが好きだけど、この「火星人ゴーホーム」も面白かった。どちらもお勧め。

短篇集

「未来世界から来た男」 NIGHTMARES AND GREEZENSTACKS 1961
 小西 宏訳 カバー・松田正久 創元SF705-A
 
 古き良きSF?

(解説―本書1pより)
 読み出したらやめられないおもしろさ、というきまり文句がぴったりの短編集です。それもそのはず、奇抜な着想と語り口のうまさでは定評のあるブラウンが、趣向の粋をこらした作品ぞろいだからです。不死身のアメリカ大統領の秘密とは? 悪魔から魔法のパンツをもらった好色漢は? 超光速で空間を飛んだ宇宙船隊の行方は? 火星人の手から地球を救ったロバの話とは? タイム・マシンで大もうけをたくらんだ男の運命は? 20世紀の三大発明とは? 戦慄と幻想の世界が、あなたの目前にいきいきと展開していきます。

(書評:1999-12-27読了)
 短篇集というよりショートショートの詰め合わせといった感じの一冊。古き良き時代のSF・ファンタジーといえばいいのか、とてつもなく古臭い感じがして、丁寧の読もうという気が少しもおきなかった。それなりに面白いけれど暇つぶし以上の価値はあんまりないだろう。

「宇宙をぼくの手の上に」 SPACE ON MY HANDS 1951
 中村保男訳 カバー・司 修 創元SF797
 
 ブラウンの第一SF短編集

(解説―本書1pより)
 当代きってのSF短編の名手ブラウンが描く奇想天外なお話のかずかず。月に思いをよせるハツカ鼠、いとも善意に満ちたベムたち、ゴキブリの思念投射に惚れこんだ男、サンドウィッチの中の宇宙船等々、奇抜な着想と豊かなファンタジーにいろどられた全九編の物語の饗宴はいかなるSF嫌いの読者をもSFファンに変えてしまう不思議な魔力を持っている。前集「未来世界からきた男」「天子と宇宙船」に並ぶSF名短編集である。

(書評:2000-04-08読了)
 一番最初に発表されたSF短編集だからか、フレドリック・ブラウンらしい、アイデアあふれる面白い佳作がたくさん収録されている。序文の中で、フレドリック・ブラウンがSFというものに対してどのように考えていたのか、ということがわかるので、なかなか興味深かった。なにはともあれ、暇つぶしにどうぞ。

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