（著者紹介）
　1925年コネティカット州生まれのロシア系アメリカ人SF作家。

「銀河遊撃隊」　STAR SMASHERS OF THE GALAXY RANGERS　1973
　浅倉久志訳　カバー・里美ちあき　ハヤカワSF415
　
　スペースオペラの傑作パロディ

（あらすじ―本書1pより）
　若き天才科学者ジェリーとチャックは、ある日たいへんな新物質を発明した。ちょっとしたいたずらから粒子加速器の中に放りこんだチーズが、どんなものでも瞬間的に移送できる驚くべき新物質に変貌していたのだ！　すぐさま二人は、この新物質から画期的な航法チュダイト放射器を完成させた。ジェリーとチャック、それに愛らしい学長の娘サリーの三人は、実験のため747専用ジャンボ・ジェット――イーグル号にのりこんだ。だがこの実験飛行が、やがて銀河狭しと繰り広げられる一大冒険への旅立ちになろうとは……　抱腹絶倒、スペースオペラの傑作パロディ！

（書評：1999-12-13読了）
　スペースオペラ、特にE・E・スミスの作品のパロディ。パロディ作品らしくスペースオペラというジャンルに見られがちな、差別的偏見、好戦性、異星生物の生命軽視、そしてプロットのご都合主義といったものが、うまい具合にユーモアというオブラートに包まれている。主流ないし本流というものが存在していないとパロディというものは成立しないのは当然であるが、SFの中にはかなりひどいものがあるというのもまた事実だと思うので、こういった斜に構えた皮肉な作品があるということは個人的にうれしい。スペースオペラのファンなら絶対に読まねばならない傑作だろう。けっこう笑えます。