SF御三家
アイザック・アシモフ
Isaac Asimov
(著者紹介)
1920年旧ソ連スモレンスク市郊外にあるペトロヴィッチの町に生まれる。3歳のときにアメリカに移住。19歳の時にSF小説化としてデビュー。アーサー・C・クラーク、ロバート・A・ハインラインと並ぶSF御三家の一人。著書多数。その中でもロボットものSFが特に有名。アシモフに関して私の友人は「ロボットものSFの作者らしく、アシモフは自分のロボットを何台も持っていたそうだ。ハインラインも2号3号を持っていたらしい」といっていた。私にはなんのことだかさっぱりわからない……
「神々自身」 1972
「宇宙の小石」 1950
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(短篇集)
「わたしはロボット」 1950 「火星人の方法」 1955 |
「神々自身」 THE GODS THEMSELVES 1972
小尾芙佐訳 カバー・木嶋 俊 ハヤカワSF665 ISBN4-15-010665-7
泣く子も黙るハードSF
(あらすじ:本書背表紙より)
西暦2070年。研究室の試薬ビンを手にした化学者フレデリック・ハラムは驚愕した。タングステンが入っているはずのビンには、我々の宇宙には存在しないプルトニウム186が入っていたのだ! それは<平行宇宙>からタングステンとの交換に送られてきたらしい――<平行宇宙>ではタングステン186が、我々の宇宙ではプルトニウム186が無公害でコストゼロのエネルギー源となる。かくて<平行宇宙>とのエネルギー源の交換がエレクトロン・ポンプを通して行われることになった。だが、この取引きには恐るべき罠が隠されていた! 米SF界の巨匠が満を持して放つ最高傑作。(書評:1998-08-17読了)
アシモフの最高傑作との呼び声高い作品。1973年度ヒューゴー/ネビュラ賞両に輝いた泣く子も黙るハードSFである。スピード感に溢れるなにかしらの活劇が一切ないままに3部構成で延々と400ページ以上のストーリーが続く。かなり読み飛ばしたしとにかく疲れた。とりあえず、科学者による似非科学者批判の本。「オカルト嫌いの科学者」と「科学嫌いのオカルト信奉者」はこの本を読むべきなのかもしれない。
「宇宙の小石」 PEBBLE IN THE SKY 1950
高橋 豊訳 カバー・若菜 等 ハヤカワSF577 ISBN4-15-010577-4
初心忘れるべからず
(あらすじ:本書背表紙より)
のどかな郊外の歩道を歩いていた仕立屋シュワルツは、急にめまいに襲われた。次の瞬間、彼は数万年の時を越え、銀河紀元827年の未来にいたのである! その時代全銀河はトランターを中心とする銀河帝国に支配され、人類発祥の地である地球は、辺境星域に浮かぶ放射能まみれの小石にすぎなかった……遥かな未来にタイムスリップし、恐るべき陰謀に巻きこまれた男の脅威の冒険を、巨匠がミステリタッチで描いた不朽の名作。(書評:1998-09-29読了)
毒にも薬にもならんといえるかもしれないけどこういうハラハラドキドキでソフトな作品をたまに読むのは気分がいい。これは正しいお手本のような作品なので初心に戻れたような気がした。舞台となる世界観や登場するガジェットがいくらカッコよくてもちゃんとストーリーができていない作品はやっぱりダメですね。暇つぶしに最適の一冊。
短篇集
「わたしはロボット」 I, ROBOT 1950
伊藤 哲訳 カバー・真鍋 博 創元SF604-6
ロボット三原則
(解説:本書1pより)
西暦2003年、しゃべる可動ロボットを世に出した人類は、その50年後にはポジトロン大脳を持つ読心ロボットを誕生させた。人間自身よりも強く信頼がおけ、しかも人間に絶対服従する、すぐれた種族としてのロボット。しかしロボットが人間に近づけば近づくほど、人間はロボットに危惧の念を抱いていく。いつしか世界政治はロボットに運営されるのでは? 奇怪で恐るべき未来への警告が聞こえてくる。SF界の巨匠アシモフがおくる、人間とロボットの織りなす連作短編集。(書評:1998-07-16読了)
この作品はあまりにも有名。小学生の頃読んだことがあるけど今読み返してみてもなかなか面白かった。お気楽な内容でありながらさりげなく知的な興奮と刺激に満ちあふれています。
「火星人の方法」
THE MARTIAN WAY AND OTHER STORIES 1955
小尾芙夫・浅倉久志訳 カバー・佐藤弘之 ハヤカワSF492
良質(収録作品)
「火星人の方法」(1952) 「若い種族」(1952) 「精神接触」(1952) 「まぬけの餌」(1954)
(解説:本書背表紙より)
火星植民地は長年の苦労の末、ほとんど自給自足できるようになった。ただしいまだに地球に頼らなければならない物がある。水と食料だ。特に水だけはどうにもならない。ところが地球は余分な水はないといって、その供給を制限するというのだ。地球には1.5トン×1000の6乗トンも水があるというのに! そこで火星の人々がとった火星ならではの方法とは……? 表題作のほか、何一つ異常が認められないにもかかわらず、殖民団全員が病死してしまった謎の惑星ジュニア――その秘密を探ろうとする科学者たちと完璧な記憶力を持つマーク少年の活躍を描く「まぬけの餌」など傑作四中短篇を収録。(書評:2000-01-24読了)
アシモフの最高傑作の一つといわれるだけあって表題作「火星人の方法」はけっこういいお話。やっぱりアシモフの作品はちゃんとしたSFだと改めて納得。「まぬけの餌」もなかなか面白かった。暇つぶしにどうぞ。