アイラ・レビン
Ira Levin
(著者紹介―ハヤカワNV286『ブラジルから来た少年』あとがきより)
1929年ニューヨーク生まれ。ニューヨーク大学を卒業。長編作品のほか、戯曲数篇、短編小説、抒情詩を書いている。映画にもなった『ローズマリーの赤ちゃん』(1967)の作者として有名。
「ブラジルから来た少年」 1976 |
「ブラジルから来た少年」 THE BOYS FROM BRAZIL 1976
小倉多加志訳 カバー・村山潤一 ハヤカワNV286 ISBN4-15-040286-8SFファンも楽しめるかもしれないサスペンス小説
(あらすじ―本書背表紙より)
南米に隠れ住むナチスの残党がひそかに会合を開いた。席上“死神の使い”メンゲレ博士は、二年間に65歳の男94人を殺すことをメンバーに命じた。ナチス戦犯を追うユダヤ人組織の設立者リーベルマンは、この情報を偶然入手し、調査を開始する。が、戦慄すべき真相に肉迫した時、彼の背後にもメンゲレの魔手が迫っていた! 悪魔の頭脳が生み出した想像を絶する世界制覇の陰謀――鬼才が贈る謎と恐怖に満ちたサスペンス巨篇。
(書評:1999-09-26読了)
けっこうヘンテコなつくりの作品でサスペンス小説だけど最初から終わりまでダッーっと一気に読ませるといった感じではない。読みにくいと思う人もいるのではないだろうか。クローンやナチスの残党というSFのお約束ネタを扱っているわりにこの小説はなんだか物足りなかった。もっとも、それは自分がSF小説好きであるからかもしれない。それはともかく、私は最初の時点でコケてしまった。世界制覇のための重要な会議を一介の日本旅館でやるとはとうてい思えない。で、ちゃっかり盗聴されるし…… それ以外にも全体的にメンゲレ率いるナチ側がちょっとマヌケな感じ。しかしながら、一読の価値はあり。