ジェームズ・ハーバート
James Herbert

(著者紹介)
 英国人作家。1943年ロンドンのイースト・エンド生まれ。

「鼠(ねずみ)」 1974

「鼠(ねずみ)」 THE RATS 1974
 関口幸男訳 装幀・福田典高 サンケイノベルズ
 
 社会のゴミは死ねってか?
(あらすじ:本書背表紙より)
 ロンドンが巨大なネズミの集団に襲われた!
 核実験による突然変異で巨大化したネズミの群れが、人類に対する積年の恨みを晴らすかのように、地下鉄になだれ込み、学長を襲った。ひとたび人間の血を味わった彼ら――いまやとめどなく人肉を食らい、血をすする以外に、彼らのあくなき食欲を満たすものはない。
 壊滅の危機にさらされた伝説の街ロンドンで、血に飢えたネズミと人間との対決――勝負はついた。

(書評:2000-09-18読了)
 シカゴのバザーでたった10セントで購入。けっこう貴重本だったりして。古くさいB級ホラー小説である。書かれた時代を考えると、SFというにはお粗末すぎるかも。内容的には、社会のゴミは死ね、とばかりに、同性愛者・売春婦・浮浪者が巨大ネズミに惨殺されまくる。もちろん、その他の普通の人々も殺されまくるわけだけど、そういった「堕落した人間」とか「最底辺の人間」についての描写がいちいち細かいので、作者の変な悪意をムンムンと感じる。作者が日ごろの腹イセに、気に入らないタイプの人間を殺戮して、街を「浄化」しているとしか私には思えなかった。これを人類に警鐘を鳴らす小説であるなんて思うヤツは頭がどうかしているぞ。そんなのウソに決まっている。でもどうなんだろう、英国の作家だからこういうひねくれたノリになってしまうかな。(Psyc)


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