かんべむさし
Musashi Kambe

(著者紹介)
 関西出身のSF作家。1948年生まれ。関西学院大学社会学部卒。

「サイコロ特攻隊」 1977

 (短篇集)

「社長室直属遊撃課」 1982


「サイコロ特攻隊」 1977
 ハヤカワJA94
 
 隠れた傑作

(あらすじ―本書背表紙より)
 東南アジア諸国はAJAF(反日連合軍)を結成し、突如、対日断交・経済封鎖を宣言した。経済大国ニッポンはさらに何者かによって、次々と原油を満載したタンカー、貨物船を撃沈され、完全に生命線を断たれてしまった。やがて苦悶のすえ、悪夢のような解答をたたきだした。陸防中将伊藤瑞穂の建案“特攻作戦”はたちまち日本全土をヒステリックな狂気に駆りたて、無作為抽出によって選ばれた人々が続々と死地に赴くのだった! 日本SF界のホープかんべむさしが権力エリートの、また権力に操られる人間の悲惨な喜劇を描破した傑作処女長篇SF。

(書評:2000-01-17読了)
 時代遅れという感は否めないが、この作品が発表された当時以降日本はバブル崩壊に向けて突っ走ったことを考えると非常に皮肉な内容である。一般的に佳作または小品といったように評価される作品の中に私好みのものがあることが多い。これもそういったものの一つ。まぎれもなく隠れた傑作だろう。バブルがはじけ永遠に続くかと思われた日本のイケイケドンドンな好景気も今となってはショボショボであるが、この作品が提示した日本の危うい現状は今もなお是正されていないと私は考える。でも、キューバはこれと同じようなことをアメリカにされているんだよなあ。機会をみてこの本はじっくりと解読したいものだ。かなりお勧め。

短篇集

「社長室直属遊撃課」 1982
 講談社文庫AX234 ISBN4-06-136234-8
 
 サラッと読んでポイッ

(あらすじ―本書背表紙より)
 ユーモアと超現実! かんべむさしの破天荒SF傑作集。社内運動会の騎馬戦でチームを組んだ社長と課長と三千代と俺が、試合後も人馬一体となってしまって離れない……「社長室直属遊撃課」。40すぎの素人読書家がとりあげる10冊の本の珍書評……「読書日記」。収録11篇のどれも満足度保証付。

(書評:2000-03-06読了)
 サラリーマンが出張先に向かう途中新幹線でサラッと読んでポイッと捨てられるよなSF短篇集。もっとも今時暇つぶしにSFを読んでいる人なんていないかもしれないが。私は同じ作品を何度も何度も読み返す人間ではないので短篇集やショート・ショートというものををサラサラと読んでしまうと、なにやらもったいないような気がしてしまう。収録されている作品の中で「車掌の本分」というのがあるけど、そういえばこれ中学の国語の教科書に載っていたな。内容は悪くないので暇つぶしにどうぞ。

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