椎名 誠
Makoto Shiina

(著者紹介―集英社文庫「アド・バード」裏表紙より)
 1944年6月東京生。作家。東京写真大中退。「本の雑誌」編集長。世界の辺境地区への冒険をライフワークにしている。88年「犬の系統」で吉川英治文学新人賞、90年「アド・バード」で日本SF大賞受賞。

「アド・バード」 1990

「アド・バード」 1990
 集英社文庫 し-11-19 ISBN4-08-748592-7
 カバー・たむらしげる AD・平野甲賀

「地球の長い午後」へのオマージュ

(あらすじ―本書背表紙より)
 マサルと菊丸の兄弟は、行方不明の父親を探しに、マザーK市へと冒険の旅に出た――。そこは、異常発達した広告が全てを支配する驚愕の未来都市だった! 赤舌、地ばしり、蚊喰い虫……珍妙不可思議な生物たちの乱舞。どこかなつかしさを誘う歌声。椎名誠独自の世界を打ちたてた記念碑的長編。「夢見る心を忘れない読者なら絶対にこの小説の虜になる」(目黒考ニ氏)。第11回・日本SF大賞受賞作。

(書評:1998-10-29読了)
 全体的に最後まで楽しく読めた。いつまでも少年少女の心を持つ大人のためのSF小説といえばよいのだろうか、子供向けSFのようでありながら実はそうではない。広告戦争によって崩壊した世界という皮肉なアイデアは見事。でも、本編とあまり関係ない話が長々と途中で挿入されるので読んでいてけっこうイライラする。私にとって特に心にじんと響く内容でもなかったが、一読の価値はあると思う。


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