都筑道夫
Michio Tsuzuki

(著者紹介)
 日本人作家。1929年東京生まれ。

「未来警察殺人課」 1979

「未来警察殺人課」 1979
 徳間文庫103-4 ISBN4-19-567359-3 カバー・畑農照雄

B級SF推理活劇

(あらすじ―本書背表紙より)
 人類がこの新しい地球に移住してきてからすでに数十世紀が経過しているが、ここではもう殺人事件は起こらない。予防医学の発達で、コンピューターとテレパシストによって殺人願望を持つ人間は事前に発見され、矯正不能と判定されたものはひそかに処分されるからだ。その執行者が各国の警察3課、即ち殺人課である。さて、東京の殺人課に属する星野刑事の活躍ぶりは?
 俊才がSFスタイルで描く活劇推理集。

(書評:2000-07-03読了)
 A・ベスターの「分解された男」と小松左京の「エスパイ」を足して二で割ったようなストーリー。パクリといってもいいだろう。同じ主人公が活躍する短篇が7話収録されている。今読むと、とてつもなく古臭く感じられた。各話とも推理小説的な味付けがなされているが、どれも謎解きが複雑というか、強引というか、ご都合主義というか、いいかげんというか、ちゃんと集中して読んでいないと、ラストで混乱してしまうようなものが多い。

 ところで、作者自身は他愛もないエンターテイメントとしてこの本を書いたと思うのだが、この小説の舞台はオーウェルの「1984」も真っ青の恐怖社会なので、私は思わずびびってしまった。おまけに、主人公は確信犯的な権力の犬。読み方によってはとてつもなくダークな小説である。まあ、所詮はB級小説なので、それでいいのかもしれないが。(Psyc)


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