ハードSFの巨匠
ポール・アンダースン
Paul Anderson

(著者紹介)
 ハードSFの巨匠。著書多数。1926年ペンシルバニア州生まれ。

「タウ・ゼロ」 1970

「タイム・パトロール」 1960

「アーバタール・上」 1978

「アーバタール・下」 1978


「タウ・ゼロ」 TAU ZERO 1970
 浅倉久志訳 創元SF638-05 ISBN4-488-63805-8
 
 ハードSFの代表作

(あらすじ―本書背表紙より)
 50人の男女を乗せ、32光年彼方のおとめ座ベータ星第三惑星をめざして飛びたった恒星船。だが不測の事態が発生する。生まれたばかりの小星雲と衝突し、その衝撃でバサート・エンジンの減速システムが破壊されたのだ! 亜光速の船を止めることもできず、彼らはもはや大宇宙を果てしなく飛び続けるしかないのだろうか……? 現代SF史上に一時代を画したハードSFの金字塔登場!

(書評:1998-06-17読了)
 ハードSFの代表作。とはいってもそれほど科学的考証はくどくはない。けっこう気合一発ネタ。主人公が偉そうに艦内の秩序維持のために奔走するわけだが、要は「艦内で一番ケンカが強いアニキ」というのがアメリカ的で笑える。他の登場人物も魅力に乏しい。緊急事態に陥ったときここまで人は愚かになれるだろうか? また、「俺たちが見つけたんだから、宇宙は俺達のものだ!」といわんばかりのラストがうさんくささまるだし。フロンティア・スピリッツですか? こういうのはハインラインみたいにあからさまじゃないから、かえってタチがわるいと思う。

「タイム・パトロール」 GUARDIANS OF TIME 1960
 深町真理子・稲葉明雄・訳 カバー・山羊十生 ハヤカワSF228
 
 タイム・パトロールものSFの代表作

(あらすじ―本書背表紙より)
 西暦19352年、瞬間移動の研究に関連してついに時間航行の方法が発見された。だがこの時間航法こそ、人類にとって利益と害悪との両方をもたらす両刃の剣であった。たしかに、過去を知り未来を知ることが可能になったことで、人類は飛躍的な発展をとげた。だがその一方で、過去に干渉して未来を変えようとする、いわゆる時間犯罪が多発したのだ! かくて時間管理局――タイム・パトロールが設立された。時の航路を監視し、歴史を正しい軌道に保つために…… アメリカSF界随一の才人ポール・アンダースンが、豊かな想像力と華麗な筆致で描く時間テーマのSFの古典的名作!

(書評:1998-09-14読了)
 タイム・パトロールものSFの代表作。今となっては少々古くさい気がした。主人公が「選ばれた男」にしてはひどくオマヌケ。ちゃんと仕事せえよといいたくなる。自分自身歴史に全然明るくないので、読んでいる途中も読んだ後もどうでもいいよという投げやりな気分になっていた。ところで、その時代の価値観によって歴史もしくは歴史観がめまぐるしく変化しているのは事実。未来のタイム・パトロールはそれをどう調整しているんだろうか? もしもタイム・パトロールが存在するとすれば、我々の未来世界は単一の歴史観・価値観に支えられた世界ということなのだろうか?

「アーバタール(上下)」 THE AVATAR 1978
 小隅 黎訳 カバー・鶴田一郎 創元文庫SF638-3/638-4
 
 くっだらねえ……

(あらすじ―上巻背表紙より)
 遠い昔<異存在>と呼ばれる種族が建設した巨大な装置が、大宇宙のそこここに残されてた。縮潰星なみの密度を持ち超高速で回転する長さ一千キロの円筒、それは時空を超えて、超遠距離の旅を可能にする、驚くべき装置だった。人類はこれを利用して新しい星系ポイボス開拓を始めたが、他の星系へ向けて送り込んだ探査体は行方不明となってしまった。そんなとき、初の有人探査船が予定より早く帰還したものの地球政府に拉致されたという噂が流れた。その船は宇宙人を連れ帰ったというのだ。ハードSFの巨人ポール・アンダースン最高最大の傑作。

(あらすじ―下巻背表紙より)
 ポイボス星系随一の実業家、ダニエル・ブロダーセンに率いられた一行は、世界連合警備艇の追撃を振り切り、必死の思いで超空間移送装置Tマシンにとびこんだ。これでもう追手の心配はない。ただし自分たちの世界に帰る手だてもなくなった。なぜなら、彼らはTマシンで先へ行くことができても、後戻りすることができないからだ。彼らのできることといえばTマシンからTマシンへと手さぐりで移動しながら、遥かな昔Tマシンを創ったという超越的な種族<異存在>を探すことだけだった。ポール・アンダースン最高最大のSF巨編いよいよ佳境へ!

(書評:1998-10-03読了)
 ハードSFの巨匠、ポール・アンダーソンの最大最高傑作らしい。正直いって全然つまらなかった。どうもポール・アンダースンの描くキャラクターは好きになれないし、ポール・アンダースンが大好きという人とも気が合いそうにない。私の時間を返せ。

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