反道徳・悪趣味
フィリップ・ホセ・ファーマー
Philip Jose Farmer
(著者紹介)
アメリカ人SF作家。1918年インディアナ州生まれ。
「恋人たち」 1961 | 「太陽神降臨」 1968 |
「恋人たち」 THE LOVERS 1961、1971
伊藤典夫訳 カバー・佐藤道明 ハヤカワSF378 ISBN4-15-010378-X
悪趣味(あらすじ―本書背表紙より)
大きな茶色の瞳、口紅を塗ったように赤くふくよかな唇、そして低く魅力的な声……地球から40光年余りも離れた惑星オザケンの調査に赴いたハル・ヤロウは、そこで地球人そっくりの美しい娘ジャネットと恋におちた。だが、前回の調査ではこの惑星にはバッタから進化した昆虫生物ウォグしかいないはずだった……彼女はいったい何者なのか? すでに絶滅したはずのヒューマノイド型生物の最後の生き残り? それとも……? 厳格で禁欲的な社会に育った一成年と美しい異星人との恋を通し、それまでタブーとされていた“性”をテーマにとりあげ、一大旋風を引き起こした傑作。
(書評:1998-05-16読了)
テーマは1つ。そのテーマをいってしまえばネタばらしになってしまう。「1984」のような絶対管理社会に宗教がからんだような世界でのストーリー。決して壮大さはないがどことなく異様でポップな雰囲気が面白い。ラストもけっこうしゃれていて笑える。悪趣味だと思うけどこういうストーリーは好き。
「太陽神降臨」 FLESH 1968
山高昭訳 カバー・真鍋 博 ハヤカワSF279
やっぱり悪趣味(あらすじ―本書背表紙より)
頭に角を生やした大男が扮する太陽神は狂おしく叫び、さし招く女神に突進する。ドラム、角笛の響きは最高潮に達し、娘たちの欲情の叫びは耳を聾す。祭典はクライマックスに達した! 毎年国中の若者の中から選ばれるこの儀式の主役太陽神に、この年は800年の旅を終え地球に戻ってきた宇宙船<地球号>の船長スタッグが祭りあげられた。手術で植えこまれた角で欲望の奴隷となった彼は、否応なく異教の性的な儀式の主役を演じ続けていく。一方、他の隊員たちは船長を救いだそうとしていたが…… 鬼才ファーマーが奔放なイマジネーションで描く、めくるめく異様な世界!
(書評:1998-09-25読了)
エロチックかつバイオレントな内容。もうハチャメチャ。殺人ベースボール小説でもある。個人的にファーマーの、変でポップで大真面目な作風が大好き。「恋人たち」と同様お勧めいたします。とりあえず、フィリップ・K・ディックとフィリップ・J・ファーマーの、SF界の2人のフィリップははずせない。