生真面目マッドSF
ルーディー・ラッカー
Rudy Rucker

(著者紹介)
 アメリカ人SF作家。1946年ケンタッキー州生まれ。

「ソフトウェア」 1982

「時空の支配者」 1984

「空洞地球」 1990

 


「ソフトウェア」 SOFTWARE 1982
 黒丸 尚訳 カバー・横山えいじ ハヤカワSF840 ISBN4-15-010840-4
 
 おっ、面白くない!

(あらすじ―本書背表紙より)
 明るい陽光、パームツリーと白い砂浜。隠退老人たちのリゾート天国、フロリダで余生を送る元天才ロボット学者のコッブは、自分とそっくりの男の訪問を受けた。月にいってくれれば、代償に新たな肉体を提供するというのだ。月では、かつてコッブに自意識を与えられ、人間に対して叛乱を起こしたロボットたちが、独自の都市を築いている。いぶかしく思いながら招待に応じたコッブは、いつしかロボット同士の大抗争にまきこまれてしまった! マッドSFの鬼才ラッカーが、奇想天外な大騒動をポップなタッチで描いたディック記念賞受賞作登場!

(書評:1998-06-13読了)
 おっ、面白くない! ドタバタコメディーを気取っているがそう笑えないし、ハートウォーミングというわけでもない。じゃあ結局なんなのといえば脳がソフトウェアになるんだぜというだけ。くだらん本を相手にしている暇はない。私の時間を返せ。

「時空の支配者」 MASTER OF SPACE AND TIME 1984
 黒丸 尚訳 カバー・横山えいじ ハヤカワSF1092 ISBN4-15-011092-1
 
 暇つぶし暇つぶし…

(あらすじ―本書背表紙より)
 自前の会社が倒産して以来、いささか人生に退屈していたぼくの前に突然、拇指サイズの小人が出現した! 小人は悪友のハリイ・ガーバーで、自分が時空支配装置を発明したことを告げるために未来からやってきたのだという。これで世界はぼくらのもの、と喜んだまではよかったが、時間と空間をもてあそぶうち、危険な寄生頭脳をこの世に招き入れてしまった! 鬼才ラッカーの奔放なアイデアが大爆発する、ポップなSF狂騒曲。

(書評:1998-09-19読了)
 肩の力を抜いて読むことができるドタバタコメディー。とはいってもあんまり体質にあわない。ラッカーは嫌いっていうわけじゃないけれど、大好きにはならないだろう。「ソフトウェア」は全然面白くなかったけど、これはまあまあだった。なにもすることがないときのいい暇つぶしにはなる。

「空洞地球」 THE HOLLOW EARTH 1990
 黒丸 尚訳 カバー・横山えいじ ハヤカワSF942

黒人=日に焼けた白人?

(あらすじ―本書背表紙より)
 1830年代、南北戦争前のアメリカ・ヴャージニア州の少年メイスンは、ひょんなことから殺人をおかしてしまった。逃げまわるメイスンが出会ったのは、なんと崇拝する作家エドガー・アラン・ポウ。この奇矯な天才との運命的な出会いが、メイスンを脅威の旅へいざなうことになった―地球内部にひろがる広大な空洞を探検する冒険旅行へと! 鬼才が自由奔放な想像力で先達ポウに挑み、SF界の絶賛を博した傑作、ついに登場。

(書評:1998-09-03読了)
 エドガー・アラン・ポーの作品をモチーフにして、地球空洞論説に対してを真面目なアプローチをするハードSF。それと同時にポーがいた時代背景である黒人奴隷制へ焦点を当てる。しかし、「白人が日焼けしたら黒人」というラッカーの発想には度肝を抜かれた。オイオイ、これって1990年に発表されたんだよね。こんな本を喜ぶのは「アンクル・サマー」だけだと思うのですが…… それはともかく、「ラッカーは『空洞地球』くらいしか面白いのはないよ」と私の友人はいっていたが、確かにその通り、この本は面白くなくはなかった。

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