ハードSFの極北
スワニスワフ・レム
Stanislaw Lem
(著者紹介)
ポーランドを代表するSF作家。1921年西ウクライナのルヴフ市に生まれる。
「エデン」 1959 | 「ソラリスの陽のもとに」 1961 |
「エデン」 EDEN 1959
小原雅俊訳 カバー・野中 昇 ハヤカワSF745 ISBN4-15-010745-9
いったいエデン人って……(あらすじ:本書背表紙より)
惑星エデン――宇宙空間に巨大なオパールのしずくのように煌くその星に、6人の地球人科学者を乗せた宇宙探査船が不時着した。だが、地表で彼らが見たものは、巨大なオートメーション工場と、その大量の廃棄物、そしてエデン人の累々たる死骸の堆積だった。一つの固体が労働部分と思考部分に分かれた複体生物であるエデン人に、いったい何が起こっているのか? 地球人科学者はエデン人との知的接触をはかろうと試みるのだが……未知なるものとの出会いを豊かな想像力と哲学的視点から描き、『ソラリスの陽のもとに』『砂漠の惑星』とともに三部作を築き上げる問題作。
(書評:1998-06-14読了)
淡々とした情景描写が永遠に続くのでかなり体力を吸い取られる。内容は難解。いったいエデンってなんだったんだろう? ところで、かつてタルコフスキーの映画に衝撃を受けた私としてはこの無機質な東欧の味わいは好きです。目を閉じれば子供の頃遊んだ大阪万国博覧会跡地の残骸が目に浮かびます。朝靄の中の万博公園、そこには東欧的未来世界が広がる。有名な岡本太郎の「太陽の塔」とは違い、解体費に費用がかかるといってそのまま放置されているエキスポタワーはまさにそれなわけです。
「ソラリスの陽のもとに」 SOLARIS 1961
飯田規和訳 ハヤカワSF237 ISBN4-15-010237-6
究極の恋愛小説?(あらすじ:本書背表紙より)
スミレ色の靄におおわれ、ものうげにたゆたう惑星ソラリスの海。だが、一見何の変哲もなく見える海も、その内部では、一種の数学的会話が交され、自らの複雑な起動を修正する能力さえ持つ、驚くべき高等生物だった! しかしその知性は、人類のそれとはあまりにも異質であった。いかなる理論をも、いかなる仮説をも受け入れず、常にその形を変え、人類を嘲笑するかのように次々と新たなる謎を提出する怪物――生きている<海>。人類と思考する<海>との奇妙な交渉を通して、人間の認識の限界を探り、大宇宙における超知性体の問題に肉薄する傑作! 完訳決定版!
(書評:1998-08-08読了)
ただひたすら難解。かったるいのでかなり眠たくなる。究極の恋愛小説だとも思うので、そのつもりで読むとすんなりストーリーに入り込めるかもしれない。レムとタルコフスキーは大喧嘩したらしいけど映画と小説のどちらも私はお勧めします。