ティモシー・ザーン
Timothy Zahn
(著者紹介)
アメリカ人SF作家。1951年生まれ。
「<宇宙戦記@>超戦士コブラ」 1985
「<宇宙戦記A>コブラ部隊出撃!」 1991 |
「<宇宙戦記@>超戦士コブラ」 COBRA 1985
野田昌宏訳 カバー・木嶋 俊 ハヤカワSF834 ISBN4-15-010834-X
SF版ベトナム帰還兵物語(あらすじ―本書背表紙より)
コブラとは、体内にコンピュータとサーボ・モーターを内蔵し、手足にレーザー・ガンやアークスロワーを組みこんだ全身まさに武器庫の超戦士だ。コンピュータと連動する視覚システムでレーザー・ガンの自動照準も可能。サーボ・モーターで高いビルもひとっとび、像ほどもある野獣を一撃で倒してしまう。この驚異的な能力がなければ、人類に突如として襲いかかってきたトロフト星人に対抗できないのだ……恐るべき異星種族と戦うコブラ部隊の活躍を描く戦争アクションSF!
(書評:1998-05-12読了)
カッコいいがただひたすら長い。後半はダレダレになってしまった。「ランボー」そのまんまといった感じの、SF版ベトナム帰還兵物語である。じゃあヴェトコンはカラスの化け物ということなのだろうか? ゴレンジャー的なコスチュームプレーがお好きな方にとっては絶対にはずせない一冊だろう。一読の価値はあり。(Psyc)
「<宇宙戦記A>コブラ部隊出撃!」 COBRA STRIKE 1991
野田昌宏訳 カバー・木嶋 俊 ハヤカワSF916 ISBN4-15-010916-8
惑星侵略シミュレーション(あらすじ―本書背表紙より)
かつての宿敵トロフト星人が、人類の植民に最適といって五つの星系を推薦してきた。だが、そのうちのひとつ、惑星クァサマには排除すべき異星人がいるという。そこで人類は五つの星系にコブラ部隊と通常人の混成調査団を派遣する。調査団が惑星クァサマで見いだした驚愕の事実とは……? 体内にコンピュータはもちろんのこと、レーザー・ガンや各種兵器を組みこんだ超戦士コブラたちの戦いを描く傑作アクションSF!
(書評:2000-09-12読了)
これまたひたすら長い。内容もぎっしり盛りだくさんである。一般的に、ヒーローものの戦争活劇には「絶対的な悪者」の存在が必要であって、だからこそ問答無用に殺戮機械・人間凶器であるヒーローが大暴れすることができるわけだが、この<宇宙戦記>シリーズはちょっと違うといえる。政治的な大義名分を掲げて戦争を開始するわけだ。著者のザーン自身がどういうふうな意図でこの小説を書いているのかはわからないけど、今回のコブラ部隊の行動はハタから見れば完全に「惑星侵略」である。圧倒的な軍事力でクァサマ人を虐殺するし、ラストは星の生態系を破壊するしと、とにかくもうメチャメチャ。クァサマ人にとってはたまったもんじゃないだろう。彼らにとってコブラ部隊の一連の活躍は、文字どおり、(宇宙から)降ってわいたような災厄に違いない。おいザーン、これってシャレなのか? それともマジなのか? ご都合主義に満ち溢れていながらも、政治的・戦略的に「惑星侵略」をシミュレートできる奇妙な一冊。まったくもってアメリカンだといえる。大宇宙においても「政治的に正しいもの」が勝つわけだね。宇宙の果てまでも進出・侵略してちょうだいな。(Psyc)