ウォルター・テヴィス
Walter Tevis
(著者紹介―ハヤカワSF683「ふるさと遠く」あとがきより)
1928年2月28日サンフランシスコ生まれ。1965年から1978まで、オハイオ大学で英文学の教授として教鞭をとり、その後フルタイム・ライターとなる。映画「地球に落ちてきた男」「ハスラー」の原作者として有名。1984年8月9日、肺がんのために他界。享年56歳。
(短編集)
「ふるさと遠く」 1981 |
短編集
「ふるさと遠く」 FAR FROM HOME 1981
伊藤典夫・黒丸 尚訳 カバー・木嶋 俊 ハヤカワSF683 ISBN4-15-010683-5母子相姦とインポテンツなダメダメ短編集
(あらすじ―本書背表紙より)
アリゾナの公共プールの管理人が、奇跡の訪れに気づいたきっかけは、浅い海のにおいだった。晴れわたった砂漠の町のプールに、なぜ潮の香りが……? 名作の誉れ高い表題作のほか、悪魔に論文を代筆させた大学教授の物語「学者の弟子」、未来の自分と電話で話した男の数奇な運命を描いた「受話器の向こう側」、時間を超越した、ふたりだけの世界に住みついてしまった恋人たちの話「据え置き家賃」など、映画『地球に落ちてきた男』『ハスラー』の原作者として名高いテヴィスが、都会的ユーモアとウィットをまじえて軽妙かつロマンティックに描きあげた傑作SF全13篇を結集!(書評:1999-09-12読了)
「ふるさと近く」と「ふるさと遠く」という二部に分かれたいかにもアメリカという趣のある短編集。あまりSFぽくはないショート・ショートの寄せ集めといった感じ。前半の「ふるさと近く」は著者が離婚してニューヨークで孤独に生活を送りつつ、インポテンツに悩みセラピストに通って自分の深層心理に潜む母子相姦コンプレックスに気がついたからかもうどうしようもなくダメダメ。読んでいるとこっちの気分が滅入ってくる。「ふるさと遠く」はそういうのがないからややマシといえる。私自身がもっと年をとったら印象が変わるかもしれないがなにはともあれこの著者の作品はおそらく二度と読まないだろう。はっきりいってたいして面白くなかった。