Titan A.E.
(2000-06-16公開)

破壊、滅亡、そして……

出演(声):John Leguizamo, Matt Damon, Bill Pullman, Drew Barrymore and Nathan Lane

監督:Don Bluth and Gary Goldman

プロデューサー: David Kirschner, Don Bluth and Gary Goldman

脚本:John August, Joss Whedon, Ben Edlund and Randall McCormick

備考:Twentieth Century Fox 1時間35分 PG

公式サイト:http://www.afterearth.com

(あらすじ)
 地球はエイリアンに破壊され、その歴史は幕を閉じた。しかし、負けず嫌いのティーンエイジャーであるケイルは、伝説の宇宙船タイタン号を探すために、宇宙に向けて冒険をすることになった。タイタン号には、人類を救う何かが秘められ、彼の父親がそこで生存しているかもしれない。凶悪なエイリアンの追跡や、味方の裏切り行為をしりぞけ、果たしてケイルは人類に新世界をもたらすことができるのだろうか?

(感想:2000-07-02)
 スターウォーズと同じように、これを「SF映画」とすることに異論があるとは思うが、まずまずの出来映えだと思う。とにかくCGを駆使した映像が圧巻。それを見るだけでも映画館に足を運ぶ価値はあるのではないだろうか。アメリカじゃ映画はたった5ドルだもんな。

 内容としては、大人にも通用するアニメとして製作されたからか、人間ドラマの中で、無理やりにでも「お涙ちょうだい」というような場面が多い。全体的にもっとドライな作品だったら私はもっと好感をもっただろう。「『スターウォーズ』と『マトリックス』の融合」と大々的に宣伝していたテレビのコマーシャルは少々いいすぎ。

 エイリアンによって地球が破壊されるところからこの映画は始まる。ほんの一握りの人間は宇宙船で脱出できるが、いったいどれだけの人間が死んだのか? オープニングからかなり豪快な展開である。エイリアンの攻撃のどさくさの合間に、主人公の父親は息子(主人公)を脱出船に乗せ、自分は一人タイタン号に乗りこみ宇宙に飛び立つ。

 それから十数年が経過し、主人公は宇宙で肉体労働者としてやさぐれた日々を送っていたが、ある日、父親の親友だった男が現れ、タイタン号を探す旅に出ることになる。主人公の右手にはタイタン号の座標が埋め込まれていのだ。タイタン号には人類を救う秘密が隠されているという。そして、さあ出発だといったところで、エイリアンが来襲し……

 とまあ、こんな感じでストーリーが素早く二転三転するので、見ていて飽きない。もうちょっとマシな方法でタイタン号の座標を息子に残しておけよという気もしないでもないが、それはそれで許せる範囲である。とはいっても、わざわざコウモリみたいなエイリアンがいる星に行って、その星の衛星に手をかざすところは、正直いって失笑ものだった。

 こういう映画にはけっこうめずらしく、主人公がとにかく弱い、おまけに頭も悪い。単なる力だけの肉体労働者という設定そのまんまである。と思っていたら、突然ヒーローらしい活躍をしたりする。他のキャラクターもこんな感じで、ちぐはぐな性格・行動のキャラクターがいろいろと登場する。実は敵だったり、実は味方だったり、実は善人だったり、実は悪人だったりと、とにかくめまぐるしい。ストーリーは二転三転して結構だが、上映時間が1時間半くらいの子供向けアニメ映画で、キャラクターを二転三転させるのはやめていただきたい。すごく居心地が悪かったぞ。ところで、一番よくわからないのは、敵のエイリアンだ。なんなんだいったいこいつらは? なんで地球人を敵視しているんだ? こればっかりは最初から最後まで、なにもかもが謎すぎて、なにもコメントできない。まあ、こういう映画で、細かいところをつっこむのは「やぼ」というものだ。

 味方の裏切りがあったりと紆余曲折を経て、主人公はとうとうタイタン号を発見する。タイタン号に行きつくまでの小惑星群のシーンくらいから映像がとてつもなくすごくなる。ここの映像は大画面で見ることをぜひお勧めする。果たしてタイタン号には、いったいどのような秘密が隠されているのであろうか? カンのいい人なら見ている途中でラストがどうなるのかわかるはずだ。ラスト手前の展開はかなり日本のアニメに影響を受けているに違いない。無理やり観客を感動させようとする魂胆がミエミエ。そして、最後の最後まで観客をハラハラさせて、ストーリーは怒涛の結末へ……

 それなりに見ごたえのある映画なのでネタばらしはしたくない。一言だけいうとすれば、なかなかホッとするラストだった。ウダウダとケチをつけたくもなるが、そう固いことをいわずに、ご家族でお楽しみくださいといっておこう。(Psyc)


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