月刊少年エース8月号読感
<追記1>

(1997年7月1日 更新)

 おかげさまで8月号読感には、さまざまな方々からお便りをお寄せいただいきました。本当にありがとうございます。
 その中の代表として小牧さんのメールを一通ここで紹介しようと思います。
 適宜私のフォローを入れさせていただきました。ご容赦ください。



文責:moriver(f7152684@nv.aif.or.jp)


Subject: 「エース8月号読感」
Date   : Fri, 27 Jun 97 17:41:26 +0900
From   : Komaki Fumiyuki 
To     : f7152684@nv.aif.or.jp


  こん**は、小牧です。「エース8月号読感」読みました。

  いきなりとばしてますね。私も貞本版についてはいろいろ思う所があるので
よろしければおつき合い下さい。
  まず第一に思ったのは貞本版アスカは良い、ということです。実を言うと私
は、アニメ版というか庵野版のアスカは嫌いでした。理由としては、第8話の
「チャ〜ンス」というセリフです。庵野監督はあれでアスカのイメージが固ま
ったそうですが、良く考えるととんでもないセリフですよね。味方の船がドカ
ドカ沈められているのに、自分の才能を示す機会としか捉えていないというの
ですから。むろん、第8話はそういうことを考えてはいけない回だというのは
わかりますが、あのセリフが以後のアスカを決定付けたような気がします。つ
まり、エヴァに乗って活躍することが全てで、それ以外のものがまるで眼中に
ない、恐ろしく視野の狭く閉塞したアスカです。(20話でも町や本部に被害
が出ましたがそれについてはアスカは何とも思っていないようでした)
  が、貞本版にはそういう部分はかなり軽減されていますよね。もちろん、評
価を与えてくれる人間の前では良い子ブリっ子しますが、端から見ててそれと
分かるのでかえって直しやすいでしょうし、シンジの忠告を聞くだけの心のゆ
とりもあります。(アニメではシンジの言葉を遮って、「エヴァに乗るしかな
い」などと言っていますからね。形としては貞本版と庵野版は似てますが内実
はまったく違いますね)


	アニメアスカと貞本アスカの比較については、私も論が弱いと思って
    おりましたので、このようなご指摘はまさに渡りに舟。

    基本的に私は上の意見に賛成です。
    アスカに限らずアニメのキャラクターは全て、「視野が偏狭」である
    と私は思います。上のご指摘の通り、アニメアスカは「エヴァにのる
	ことで自分自身の優越感を満たそう」という気持ちがかなり強いよう。
	このことは映画「Rebirth」で最も顕著に現れています。
    BGMの名から、通称、「偽りの再生」と呼ばれるあのシーンです。
	ママさえいてくれれば、対している敵が使徒だろうが人間だろうがお
	かまいなし。大暴れ大殺戮をやらかしてくれます。18話でシンジが、
	「人殺しなんてできないよ」と叫んだのともかなり対象的です。

	映画版において皆さんが「もしかしたらアスカ、夏の映画で死ぬのか
	も」と疑惑をいだかれたのも、その「優越感のみに支配されたアス
	カ」に、不安を感じたが故でありましょう(もちろん、救済の安易
	さに対する違和感もあるでしょうが)。

	アニメアスカは基本的に使徒の存在について「あんたバカァ? そん
	なの分っかるわけないじゃん!」と判断停止をしています。シンジで
	すら「使徒ってなんじゃろ」と悩んでいるのに、天才少女たるアスカ
	様は何故、このようなお言葉をのたまわれるのか。

	おまけに、アニメアスカはどうもシンジに気が無いようですし。
	20話で、シンジがエヴァに取り込まれた時も自分一人のことでくやし
	がっています。無理に「シンジのことを直接思うのは恥ずかしいから、
	ああやって自分をごまかしているのだ」と解すことも可能ですが、素
	直に見れば、やはりアスカ、ちょっと酷いっす。

	それに比べれば貞本アスカは嫌味だろうがいたずらだろうが、シンジ
	に対してはかなり心を開いているように見えます。
	ハイレグレオタードの14歳の女の子に廊下で、耳を引っ張られるとい
	う構図も(7月号)も考えようによってはかなりラブラブです。
	凶暴さも影の裏返し。貞本アスカは可愛い限りです。へっぽこですけ
	ど。


#レイとユニゾン

          踊る前   踊っている最中
アスカと  平気     照れる
レイと    照れる   平気

  う〜む、これはいったい・・・。
  ところで加持、仕事はどーした?


	するどいご指摘です。アスカとは踊る時照れている。しかし、綾波と
	では照れていない。なぜなのか。
	まあ、シンジと綾波の相性が抜群にいい、ということなのでしょう。
	踊っているうちに夢中になり……照れも忘れる、と。
	一方、アスカは自らの華麗さを誇示しまくりですから。恥ずかしいの
	も自らの踊りの下手さ加減を必要以上に意識してしまうせいなのでし
	ょう。

	しかし、綾波の横に並んだだけでどきどきしてしまうシンジ君。
	重症です。イニシアチブは完全に綾波に。
	気持ちの分かる勝ち気な少女。一方、何を考えているか分からない寡
	黙な少女。どっちに人は恋するものなのか……。

	それにしても加持君。謎ですね。
	やはりスパイの仕事は自分で自由にスケジュールを組める仕事なので
	しょうか。結構あこがれです(^^;



#秘密特訓

  アスカとシンジ特訓す! アスカの男嫌いという設定はどこに?
  が、真の見所は加持&ミサトでしょう!
  アニメと違って、ミサトはちゃんと拒絶してます。しかも別れたのは加持側
に原因があるもよう。二人の過去も変更か?
  ところでリツコさんの出番がすごく少ないような・・。「人のつくりしも
の」もカットされていたし。これで「使徒侵入」が削られたらもう。でも削ら
れそうな気がするなぁ。メインストーリーから外れているし、チルドレンの出
番もない番外編みたいなものだったから。


	確かにアスカの男嫌いという設定は弱いですね。アスカはもてない男
	から見た嫌味も込めた理想の少女という説もあります。まあ、同時に
	視聴者に「俺が男の良さをおしえちゃる」と闘志を燃やさせる要素も
	あるようで(ああ、下僕軍団から強烈な反論が来そう(^^;)。

	精神分析の説の中には「女性の男性観は父親への感情に左右される」
	という説があります。大雑把なことを言えば女は全てファザコンとい
	うことになるのかもしれませんが(男はマザコン?)、アニメアスカ
	と貞本アスカの男性観を類する大きな手がかりにもなるかと思います。

	アニメアスカの父親は実質、母親を捨て愛人(後の後妻)に走った男
	です。アスカはそんな父親を慕いたい一方で強烈に嫌悪しているので
	は無いでしょうか。子供がいらない(22話)という発言も、家族に対
	する不信が裏にあるように思われます。男の欺瞞を支えるような家族
	なんていらない、と。

	一方、貞本アスカには最初から父がいません。ある意味、アスカの男
	性観は未発達なままなのです。こう考えると貞本アスカの加持への気
	持ちは多分に「父親を求める」という要素に支えられたものだと考え
	ることができます。
	そんなアスカに対し貞本加持はあからさまでは無いにせよ、アスカを
	それなりに見守ってあげています。8月号で、シンジにアスカの元へ
	行くようにうながし、なおかつこっそり確かめに行くのも、加持がア
	スカの父親代わりとしての役割を自認しているようにも思えます。

	そうなると問題となるのはアニメアスカの加持に対する気持ちですが
	これも父に対する感情の投影と考えることもできそうです。
	これは貞本エヴァとは異なり、「決して自分に関心を持たない男性」
	として加持を求めているのかもしれません。父親がそういう人間で
	したから。しかし、父親よりかは多少ましなわけで、アスカは普通
	なら父親が占めるべきポジションに加持を据えたがっているわけです。
	そう考えると22話で精神汚染後、加持の名を呼ぶアスカの気持ちも少
	しは理解しやすくなるでしょう。
	また、ここから派生して、アスカがシンジを挑発するのも「自分に振
	り向かない男性」であることを確かめたいからなのかもしれないと想
	像することもできます。きっと、シンジがアスカを無視すればする程
	アスカはシンジに好意を持つようになるのでしょう。今度のゲーム、
	「鋼鉄のガールフレンド」におけるアスカの態度もこうした思考の上
	に成り立っているものと予想します。

			***

	加持、ミサトの関係もアニメ版とは大分違いますね。
	アニメではミサトが「父の呪縛に気付いて逃げた(ここでもファザコ
	ン論は登場する)」ということになっていますが、貞本エヴァでは、
	どうも加持に対し怒りを覚えたことも原因にあるよう。
	貞本加持はアスカへの対応から分かるようにかなり優しい人物のよう
	ですから、きっと過去のミサトへの態度もその優しさ故に傷つけたも
	のであると思われます。その誤解が解けた時、二人はくっつくのでし
	ょう。
	アニメミサトと加持がくっつくシーン(15話)では、結局ミサトの一
	方的な告白に加持が答えるという形をとっています。まあ、こういう
	どろどろな状態の方がよりリアルであるのかもしれません。貞本版は
	或る意味健全である一方この「どろどろ」感が薄いのが最大の欠点で
	あります。まあ、子供がどろどろで大人もどろどろですと、救いが無
	いと感じてしまうものですから。これは趣味の問題としか言えません。

			***

	リツコ、影薄いですね。
	アニメエヴァでも無類の非道女性を演じていましかたら。貞本エヴァ
	では意図的に彼女の存在を弱めているのでしょう。しかし、今後ダ
	ミープラグの話をするにはかかせない人物ですから。全てはこれから、
	でしょう。

	ただ私の予想では、以後の展開は
	「静止した闇の中で」→「奇跡の価値は」→「嘘と沈黙」
	であり。
	「使徒侵入」はカットされる危険、大です。


#アスカのこの後予想

  今回はアスカがクローズアップされていますが、貞本氏はアスカにはあまり
思い入れがないらしいので、次のエピソードではファンへの義理は果たした、
とばかりにアスカが閑職に回される可能性は否定できません。  
  で、今後を予想する上で重要なのはやはり同居するか否か、でしょう。同居
しなかった場合、閑職は間違いなしでしょう。が、もし同居するのなら、シン
ジの時と同様に家族として認められる儀式が行なわれることでしょう。アニメ
では、一緒に暮らそうと誘った訳ではなく、なんとなくアスカが居座ってしま
いました。物語後半、ミサトのアスカへの態度が冷たいというか、まったく気
にかけていない、とは良く言われることですが、アスカが葛城家において、家
族の一員でなく「勝手に居ついた他人」だったのなら当然ですよね。


	そうです。「アスカはミサト・シンジと同居するのか」はラブコメ展
	開を望む読者にはどうしても見逃せないポイントです。

	アニメではなぜユニゾン後も同居し続けたのか謎ですが、貞本エヴァ
	の場合、2巻ラストのエピソードもありますし、おざなりにはできな
	いでしょう。

	アニメにおけるアスカとミサトの関係は、加持とミサトがくっつくあ
	たりからおかしくなって来ます。先に述べたようにアスカは加持に父
	の面影を見ている可能性が大きいですので、「パパを奪った嫌な女」
	という感情をミサトに向けた結果でしょう。
	それまでは姉妹のような仲良くやっていたのに……。

	貞本エヴァでもミサトとアスカは姉妹のようになるのではと予想しま
	す。実際二人は勝ち気な所やがさつな所、実はインテリという共通点
	も持っていますし。
	仲良くやって欲しいものです。

	で、どうやって同居が始まるか、ですが。
	私は「使徒が攻めてきてネルフ本部にも被害。アスカの部屋も使用不
	能。しかたなくミサトの部屋に一時同居。なりゆきでそのまま」
	の可能性が一番高いと思っております。ちょっと、同居の儀式が弱い
	ですけれども。まあ、わりと自然ではあるかな、と。



> おそらく、「シンジは綾波が好き。綾波の気持ちは分からない。そんなシ
> ンジを見てアスカが知らずやきもきする」という流れになるのではと推察
> される。

  逆に仲良くなったアスカとシンジを見てレイが嫉妬する、などという流れに
・・・はならないかも。レイのキャラクター上ね。でもレイは結構シンジを気
にしているし、シンジも気にかけているので。それにタオルのシーンとかでは
赤くなってたものの、それ以外のシーンでは異性だと意識していないようなの
でね。レイに関しては意識してた。


	レイの嫉妬……せいぜい「とまどい」ぐらいかもしれませんね。
	嫉妬と言えば7話でミサトが学校に来た時、教室にいる綾波が机の上
	で頬杖をつきながら、窓から目をそらしている姿が気になります。
	見ようによっては騒いでいる男子(シンジも大雑把にくくられる)
	に対して嫉妬しているようにも見え……。
	まあ、「スキゾ・パラノ」によれば綾波の出番を入れるのを忘れ、
	あわてて挿入したシーンとのことらしいですが。

	上の「タオルのシーン」うんぬんは、シンジのアスカに対する気持ち
	のことと推察します。
	シンジのアスカに対する気持ちが現在「見守る」という風になってい
	るのが意外でもあり今後の波乱を予想させます。
	15話のアスカのキスは相当、シンジをバカにしたものでありましたが、
	貞本アスカの場合はおそらく相当事情が違うことに……くう、どきど
	きでんがな(^^;


閑話休題

  アインシュタインはユダヤ人です。


	ばふーん。自爆。そうです。その通りです。ユダヤ系は髪も黒いです
	からね。金髪碧眼のアーリア系とは違いますね。まあ、ギャグ説、と
	いうことで勘弁願います.。(^^;;;


では!

	では!(^_^)/
	お便りありがとうございました。
	また何かありましたらよろしくお願いします。



 他にも、望郷傭兵さん、ZOEさん、朝霧さん他からも好意的なメールをいただきました。この場を借りてあらためて感謝します。本当に、ありがとうございました。(^_^)
 特にZOEさん。綾波度100%というエヴァページをやっている方なのですが、以前メールのやりとりをした時、あの「綾波論」が確立できたということで、本当に感謝しております。今回の論考も基本的な部分で賛同をいただけて嬉しかったです。


<おまけ>
 貞本エヴァのことについて語り合う場、として、以下の伝言板を紹介させていただきます。

 「今月のエース」伝言板(in "No Fear!"

 "No Fear!"は知る人ぞ知る有名ページですから、あらためて紹介するのもおこがましいのですが。
 ちなみに管理人のTakeoさんはアスカよりです(^^;
 現在無断リンク中。ご容赦のほどをm(_ _)m



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文責:moriver(f7152684@nv.aif.or.jp)(感想、叱責等、一言でもお願いします)
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「新世紀エヴァンゲリオン」は、(C)GAINAX/Project Eva.,テレビ東京,NASの作品です。

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