OLD DIARYNEW DIARYHOMEPAGE

更新日記(101)
6月7日(月) 独居
6月16日(日) チャイムの音で
6月17日(月) 電話

2002年6月7日(月)

 一人暮らしを始めて、3ヶ月ぐらいが経った。

 前々から、希望はあったものの具体的な行動は起こさぬままでいた。2月の半ば過ぎ突如思いつき、不動産屋に駆け込み、ネットで物件を調べ、2月の終わりには既に決めてしまっていた。

 初めての不動産探しということで、色々と調べたり、それなりにすったもんだがあった。
 不動産屋には、地元密着系と、チェーン展開を行う大手もターミナル系の二種あるのだが、今回主にかかわったのは後者の方。こちらでは、どうも紹介した物件の値段により仲介料が変わるらしく、最初、次々予算ぎりぎりの高い物件を薦められ、少々参った。それはそれでいいものがあればいいのだろうが、結局のところ信頼しきれず、最終的には、ネットでいくつかの不動産・物件に直接あたり、そちらで比較して決めてしまった。

 部屋の広さ、駅からの距離、建物の新しさ、値段。結局このどれを優先させるかにかかってくるのかとも思う。結局、値段は平均、駅からは5分ちょっと、部屋の大きさは1Kと少し部屋の広さに妥協が入ってしまった。床面積はなかなかあるのだが、脱衣所が無意味に広いのが考えものである。それでも、職場は近いし、とりたてて大きな不満もなく今に至っている。


***


 しかし、つくづく現代日本は、独り者に便利なようにできている。
 自炊も、レトルトや、料理ごとの専用調味料を使えば大きなはずれも無く、割合安くできる。洗濯も、洗濯機と乾燥機に入れてただ待てばいい。やや面倒なのは、食器洗いやごみ捨てだが、これも結局は慣れなのだろう。
 天気のよい土日など、かけ布団を干しながら、少しあけた窓から入ってくる風やら隣の庭の木の葉がかさかさたてる音を聞いていると存外幸せな気分になる。

***


 FIFA。日本一勝。
 正直、あまり強くない日本チームが下馬評では日本以上と言われたロシアに善戦したのは、やはり自国のグラウンドで戦ったから、というのが大きいのだと思う。
 ニュースで、ロシアの街角の様子が映し出されていた。ロシアの敗北に、騒ぎが生じ、負傷20名、死者1名が出たという。負けにより、死者が出る。単純な因果関係は無いだろうが、勝たなければ国内に混乱が生じると考えるのは怖いことだ。映像に移ったロシアの空は曇り色をしていた。


2002年6月16日(日)

 玄関のチャイムの音で目覚めた。
 扉を開くと、夏の制服を来た警官が立っていた。

 時刻は11時過ぎ。空は夜明けか日暮れかも分からない灰色をしている。
 ご協力をお願いされる。

 交番で管理している住民カードのことだった。


***



 寝ぼけ眼で実家の住所等を殴り書きして渡した。
 ご苦労様ですと言って扉を閉めながら、こころのどこかで、なぜだか負けた、と感じていた。ちなみに私の部屋にはまだ表札も無い。


2002年6月17日(月)

 夕方、妹から電話があった。

 「お父さんが……」
 号泣に言葉が途切れる。
 嫌な予感を覚える。
 
 「お父さんが……全部デジカメの写真消したんだよ……」

***


 大学生の妹が教育実習先で取った50枚近くの写真を、父親が手違いで消してしまったらしい。
 「もう、誰も信じない。自分だけ信じる……」
 その後父に電話をかわって話しを聞く。ファイルの名前を変えようとして間違えて削除を選択してしまった、云々。
 とりあえず小遣いでもあげといたら、と言って電話を終えた。
 不幸や悲しみや不信は、この世に確かに漂い、不意に誰かにとりつき苦しませる。


 夕食は大戸屋で、サンマ定食を食べた。
 グラスビール、一杯180円をつける。一週間ぶりのアルコールは、思いの他、口の中で苦く感じられた。


TOP
1