1997年8月17日 (日)
カレーを食べた。
まあまあだった。
サラダを食べた。
何故か我が家ではカレーには必ずサラダがつく。
サラダはシーフードサラダということでタコが入っている。
タコは好きだ。しかし頭みたいな部分は苦いしぶよぶよしすぎてあまり好き
では無い。
氷を入れた水を飲んだ。
製氷皿から氷を取る時二つほど床に落としてしまう。
それを拾った母は「これ、洗って使えないの?」と言った。
それは止めて欲しいと思った。
***
気まぐれな君。
突然、熱くなったり。静かになる君。
僕はそんな君をいとおしいと思っていた。
気まぐれを受け入れるのが優しさなのだと思っていた。
でも君は違ったんだ。
本当はこう思っていたんだ。
もう終わりにしましょう。
もう私の役割はお終いにしましょう。
もう何も……最後にしましょう、と。
僕の髪は揺れている。
君のぬくもりはまだ感じられるけれども。もう以前のような激しさはそこに
は無い。
いつまでも君だけをと思っていたのは僕の我が儘だったのか。
認めたくなかっただけなのか。
いつかはさよならをするということを。
瞬間にして態度を変える君。
それでも僕は君を離さない。最後だから。最後だから。最後だから。
せめて僕の頬が乾くまで、それまでは、まだ君にいて欲しいから。
***
と、そこに上の妹が二階から降りてきた。
「これ」
と僕は手にしたそれを指し示す。
「もう買い換えないとね」
寂しげな僕のセリフに妹は答えた。
「新しいの上にあるよ」
なに!?
二階の鏡台の前の布袋の中にそれはあった。
さっそく取り出し下に戻りスイッチを入れる。
おー。モーター音からして違う。強力だ。
あっと言う間に僕の髪から余計な水分が蒸発してゆく。やっぱこれが普通だ
よなあ。うんうん。
***
さよなら…… 君……。
(8/18 0:40)
1997年8月18日 (月)
「THE END OF EVANGELION」、遂に二回目を見た。
今回はできるだけ好意的に見ようと努めてみた所、結構前回気付かなかった
カットを見つけて驚いた。特にラストあたりについては相当解釈が変わってき
た。もちろん、最初に見た時の感想がやはり、トータルとして見た場合の印象
ではあると思うが、監督の意図というか扱っている問題についてのあがきの姿
が鮮明に見えて正直泣けた。
もしかしたら詳しく書くかもしれない。書かないかもしれない。
ただはっきり分かったのは監督は監督なりに本気であったなということ。
どうしようもないし、本当にしょうがないな、とは思うが。
これもやはり業、なのかもしれない。
ミサトさんの言葉を借りるならば「こういう形でしか自分の気持ちを伝えら
れない」んだな、と。悲しくなってきた。その分私の気持ちは優しくなれたが。
ま、監督、頑張ってください。私は力になれそうもありませんが。
(23:24)
1997年8月19日 (火)
本屋の表で雑誌を立ち読みしていたら、半袖から出ていた腕、左右計7ヶ所
が蚊にくわれた。相当大きく膨らんでかゆい。新手の立ち読み防止策として本
屋が放ったってことは……無いか。
***
昨晩は早く寝ようと思っていたが寝付けなかった。暗闇の中、ベッドの上を
寝転がる。明るくても眠いときには問題なく熟睡できる質だが、眠れない時に
はどんなに部屋を暗くしても眠れない。
高校時代まで一日の平均睡眠時間は5時間弱程だった。眠ることが惜しくて
しかたなかった。もっとも授業の合間、特に昼休みなどは図書館で良く眠って
いたが。
大学に入って暇ができると、完全に眠り癖がついた。眠いままで活動するぐ
らいつらいことは無いと思うようになった。ついには「睡眠こそ人生の甘露で
ある」などと勝手に言を立ち上げ、無理にそこに価値を見いだすようになった。
今でも局所的には三日間起きているというのも可能だが、やはり眠り癖は抜
けていない。心地よい眠りのために生きていると言っても過言では無い。しか
るに眠れぬ夜はつらい。
あきらめてメール書きなぞしてみる。わりとメール魔なので、マメに書く。
もう結構な量になってきている。
また一回「チャット小説」というのも書いたことがある。チャットで物語を
でっちあげるのである。これもログはあるのだが公開できるレベルでは無いの
で保留。思いつきならいくらでもできるのだが、まとめるのは難しいのだ。
結局朝方に眠る。また不規則な生活が続く。
***
親父とお袋が野球を見に行っていたらしい。しかし親父が飽きて6回で帰っ
てきたらしい。つくづくデートべたな父である。森川家の伝統じゃあるまいな。
やばい。
(22:36)
1997年8月20日 (水)
今日はほとんど家にいた。
あえて人様に報告するようなことは特に何もないというのが現状です。もう
いい加減日記書くのもやめればなんて声も一部で聞くのですが……どうなので
しょうね。日記すら書かなくなったら更新しようという気持ちはますます遠の
いてしまいそうな気分でもあり。
***
ロシアの宇宙ステーションミール、また、コンピュータの故障のため生命維
持装置のみ活動という状態になってしまったとか。
ここの掲示板でNariさんが教えてくれたのですが、まだアメリカ人ク
ルーは上に残っているようです。この電算機停止で、太陽電池の方向制御がま
たうまくいかなくなったと聞きますから、また暗闇に逆戻りという状況なので
しょう。
宇宙開発技術も大分進歩したはずなのに、唯一最先端で有人宇宙ステーショ
ンを頑張っているとミールがこんな有様とは……。月ステーションへの道のり
は遠そうである。
***
親父とお袋はまだ昨日の野球の話をしている。ま、平和でいいのかな。
***
とりあえず今日は以上。
(22:05)
1997年8月21日 (木)
……何も無いということは無いとも思う。何も無いのではなく、ただ何も感
じ無いというだけではないかとも思う。何かを感じる時は、ぼうっとベランダ
に立って、洗濯物の隙間から商店街のアーケードを見ていたって何かを感じる。
近所の子猫……野良猫だ……を見たって何かを感じることができる。
近所のファミリーマートのコーナーの一角に、ケーキ用の冷蔵棚ができたと
か。今朝、クーラーのスイッチを入れたら室温が33度であったとか。この間
エヴァの映画を見に行った時、こっそり録音してきたテープを聞いてみたとか。
何かはある。
しかし何も感じない。
***
思うがままに羅列してみる。
昨晩、深夜テレビ東京で銀河英雄伝説の放送をやっていた。ビデオでは完結
しているがまったく見ていない。本は全10巻持っている。外伝は4巻出てい
るが、4巻目のものしか無い。それも後輩から借りたまま返してないものだ。
つきあいが途絶えたままもう2年近くがたった。
***
教科書をめくる。面白いとも思う。しかし時にひどくつまらない。全てが無
意味な気がする。でも仕方が無いので読む。時間はすぎる。
***
うちの母は野良猫が嫌いだ。過剰に反応して追い立てる。
僕は野良猫が好きだ。しかし、たまに車に惹かれて死体になった子猫を処理
しなければいけないのは苦痛だ。子猫の処理はゴミ処理扱いにされる。衛生局
ではなく清掃局の管轄なのだ。電話をしてひきとってもらうまで、段ボールに
入れていたりもするが。死体は本当に冷たくて固い。最初はやわらかい。ぐに
ゃりとしてまだ少しあたたかかったりする。毛並みも悪く無い。しかし翌朝に
はそれは硬直している。死。
生まれつき、片目のつぶれている猫もいる。路地の隅で小さく泣いている。
やがて死んだ。親猫がくわえてどこかへ持ってゆく。どこへかは知らない。
我が家の軒下ではよく猫が子供を産む。一度、二階の妹たちの部屋のベッド
下で子供を産んでいたこともあった。子猫は可愛い。母も悔しそうに可愛がっ
ている。親猫は子猫をしごく。塀にのぼらせる訓練、飛び降りさせる訓練をし
つこくくりかえす。同じ場所で、何度も何度も。近所のおばさんが早朝、慌た
だしい猫の動きに何事かと表へ出てくる。ぼうっと一部始終を見ていた僕が説
明すると、分かったような分からなかったような顔をして去る。
猫は近くの公園の砂場で糞をするからそこで子供を遊ばせているお母さん達
には敬遠されている。しかし、餌をあげる人もいる。僕も気まぐれに餌を上げ
たりする。かなり警戒するのでなかなか近寄らない。放り投げると食べる。む
しゃむしゃ食べる。タコの切れ端も食べる。子供を産んだばかりの母猫などは
乳を子猫に上げるために栄養をつけなくてはいけない。だから、過剰に人間に
すりよってくる。人間の足に体をすりつけ猫なで声をあげる。本物だ。しょう
がないのでたまに皿にミルクを入れてあげる。人がいなくなるとあっという間
に飲み干す。
野良猫にひっかかれると結構傷口がはれる。一度僕は蕁麻疹のようなものが
ひっかかれた腕いっぱいに広がったことがある。無視していたら数日して治っ
た。多分。
***
だからどうしたのか。
だからどうだと言うのか。
分からない。何も感じない。
ただ思うに。
僕は野良猫が好きだ。
(21:39)
1997年8月22日 (金)
どういうことか小説を書いている。書こう書こうという意思は前からあった
にもかからわず、実は一行も今まで書いていなかったことを私は告白する。す
いません。ただ一応いいわけをするとひたすら設定なりなんなりをいじくり回
してはいたので、何も考えていなかったわけでは当然ない。
書き始めると他のことを考えるのが億劫になる。ひたすらその世界に浸りき
らないと駄目なのである。その点、元サラリーマンであった赤川次郎氏や漫画
家の弘兼憲史氏などは定時に仕事を始め定時に仕事を終えるというからまこと
にすごい。
何を書いているかは内緒だ。私の中での優先順位に沿っているが、これは必
ずしもここをご覧になっている方全てに満足いくものでは無いと思う。
***
なにげなく北杜夫の「どくとるマンボウ医局記」を本棚からひっぱり出して
ぱらぱら読んでいたらはまってしまった。もちろん再読である。シリアスとホ
ラ話のブレンド具合がいい。自虐的だったり偉そうだったりするのもいい。し
かし私は北杜夫の真面目な小説は読んだことが無い。ちなみに遠藤周作も、海
と毒薬の映画を見たぐらいしか知らない。ギャグものの狐狸庵先生は、母の実
家の本棚で見つけて読んだことはあるが。
しかしつらつら思うにシリアスとギャグには通じるものがあるのではあるま
いか。できれば目指したいものだが。
***
いつの間にか政府の「省庁再編成」なんて話があがっている。詳しくは知ら
ないがここまで大掛かりは再編成というのは戦後初めてなのでは? いや、本
当によく知らないのですが……。
新聞を読んでみたがポイントはよく分からない。
とりあえず「内閣府」というのを作ってそこに防衛庁とか国家公安委員会な
どを収め、総理大臣中心(内閣中心?)の形を明確にするつもりらしい。毎日
新聞には「大統領制」とあったが厳密には大統領制は三権分立全体の構造とか
かわってくるから、これは言いすぎであろう。
もう一つは「郵便事業」の民営化の動きが背後にあるようだ。
同時に郵政省の管轄だった通信事業も「産業省」とかいう所にまとめてしま
うらしい。
しかし「職員解雇」はしない、とも言う。ずいぶん難しそうなリストラであ
る。
縦割りすぎる現在の組織構造をもう少し風通し良くすることが目的なのだろ
うか。だが、そうななると内閣の権限が強くなることはどう解釈すればいいの
か。横のつながりができれば上の力は弱くなる。いや、横を強くするにあたっ
て、より制度的には上の強くしようという試みか?
パフォーマンスだけなのだろうか? 抜本的な改革では無いということなの
か? よく分からない。まあ、省の数が減れば、小学生も社会科で覚える負担
が減っていいのかも。私はその頃いい加減に勉強して以来ずっと関心が無かっ
たので、今なお省の名前と仕事がよく分からない。予定では2001年施行とか。
ふうん。
(8/23 0:00)
1997年8月23日 (土)
今日は雨がすごい。風もすごい。でも悪くは無い。
***
「トップをねらえ」の4話〜6話を昨夜見た。
まあまあという感じだ。一応説明すると、物語は「トップガン」と「エース
をねらえ」と「宇宙の戦士」をブレンドしたようなもの。
舞台は近未来、宇宙戦用ロボットの訓練学校(しかも女子校)。
主人公はドジだけど元気さだけはいっぱいの少女。
サブキャラには、「厳格なコーチ」(しかも不死の病を持っている)、「美
人で優雅なお姉さま」、そして「勝ち気でボインなライバル」を配置。狙いま
くりである。
特訓。やがて最強最終兵器「ガンバスター」のパイロットに選ばれ、宇宙か
ら飛来する昆虫型生物との戦いに巻き込まれる。
その間、主人公の父の死、初恋の人の死、ウラシマ効果により友人とに生じ
る年齢格差といったエピソードが挟まれ、物語は一気にクライマックスに。
ラスト、重力爆弾をかかえ敵の本拠地に乗り込む主人公とお姉さま。しかし、
空間を極度にゆがめたため二人は1万2000年後に飛ばされてしまう。失意
の彼女らが帰還した地球で見たものとは……。
ってな感じなのですが。
まあ、それはともかく。
うん……正直、告白しよう。
俺は……僕はあの「お姉さま」に惚れた。特に、33歳になったショートカ
ットな彼女に……ああいうのには弱いんだ……。大人っぽさの中にほんのちら
っと見える少女っぽさというか可愛さというか……。やっぱエヴァとか見てア
ニメの道開いたのがまずかったのかなあ……なんかなあ……。まあ、それはそ
れってことでいいんだけどね……。ちょっとどきっとしたってだけなんだけど
……。夢とかに出てきたらイヤだなあ……あ……でもそれもいいのかなあ……。
***
朝まで生テレビも見ていた。
久々に田原総一郎が司会をしていた。その隣に岡田斗司夫。香山リカや宮崎
哲也などもいる。以前見たメンバーだ。味をしめたな、番組も。
内容は「心の教育は必要か。そもそもできるのか」というような話題だった。
結論は無いが各人の持つ問題点が結構見えてきたのが面白い。
流れの前提として「上から価値観を押しつけることはできないが、今のまま
でもいいとは言えない」というのがあり、その命題を中心にぐるぐる話が回っ
ていたという感じだった。
田原総一郎はしきりに「修身教育をもう一度」と言っていた。それに一応反
応するパネリスト……話題は時に援助交際の是非に飛び……。倫理観というも
ののやっかいさを感じはしたが答えは無い。国家も否定し、会社も否定し、家
族も否定した時、一体個人として何が残るのか……。難しい。
(23:39)
1997年8月24日 (日)
今、NHKの教育テレビで「パリは燃えているか」を放映していた。
ちょろっと見た。
パリは本当に燃えていた。
手持ちを多用した白黒の画面。構図も決まっている。大写しは極端に大写し
に。ロングは極端にロング。何よりカメラが動く動く。これは何かに似ている。
「シンドラーのリスト」である。かなり「パリは燃えているか」を意識してお
手本にしたでは無いか。そう感じた。最後はカラーになって今のパリが映った
りしてるし。
***
今日はいい天気なので布団を干す。その隣では父が気まぐれで作った梅干し
も干されている。ベランダに裸足で出ると足の裏が熱い。まだ夏は続いている。
(8/25 0:17)
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