MORIVER'S SWEETEST DIARY (42) 更新日記 (42)

3月 12日(木) 検面調書
3月 13日(金) PHS事情
3月 14日(土) 悪人
3月 15日(日) 買っちゃった
3月 16日(月) ATOK壊れる
3月 18日(水) 心は揺れる
3月 21日(土) 困った



1998年3月 21日 (土) またまた間が空いてしまう。困ったな。 19日は、大学の先輩と渋谷で飲みをしていて更新できませんでした。徹夜 になりハチ公前で野宿です。久々にワイルドな飲みでした。でも、風さえしの げればなんとか大丈夫なぐらい暖かくなってたのだと実感。 *** 昨日はおさぼり。昼間で眠っていた。これで二日の間。 *** NTTパーソナルが、PHSから手をひくとかひかないとかでもめているら しい。理由はもちろん、PHSの利用者の減少による赤字。携帯電話のNTT ドコモに吸収されるという話も聞きますが、詳細は不明。どうなるのか。身近 な問題だけに非常に気になる。 *** 新しい人から「パーマンリターンズの続きを書け!」というメールをいただ いてしまった。こういうメールを送っていただけるというのは、つらくもある のですが、実はとてもとてもうれしいです。ですからその期待に答えようと、 がんばるしか無いわけで。でもがんばってないわけで。もう更新がとまって何 ヶ月経つのやら。このままでは連載開始から1年で4話という状況になってし まう。どんな連載だ?? (15:56)
1998年3月 18日 (水) 一太郎7を何度かインストールし直すが、結局ATOKの回復はならず。諦めて 奇麗に全部アンインストールしてしまう。もっとも、アプリケーションの作動 はこっちの方が安定しているようだ。このところ、エディターとネットスケー プを立ち上げただけで、おかしくなることが多かったので、エラーが出ないく なったこと自体は正直ありがたい。 しかし。一年以上に渡って鍛え上げた辞書がなくなるというのは悲しい。打 ちやすいように略語を登録していたりしたもの全てが消えたのだ。辞書は使っ ているうちによく使う文字を優先的に表示するものだが、そうした僕の癖もま た新たに覚え直さなくてはいけない。固有名詞なども同じだ。 *** MIDIPALというところから「一から始めるエヴァンゲリオン」をリンクされ た。なんというか、もう何ヶ月も手をつけていないページなのに利用してくだ さる人がいるというのはありがたい。 http://www.midipal.co.jp/osusume/eva.html エヴァ関連のMIDIファイル集です。どうごご利用ください。 *** ファミリーマートの無印良品コーナーにある、インスタントラーメンをご存 知であろうか。小さなカップ麺サイズの玉が5つ入っている奴だ。大体のイン スタントラーメンの麺は90グラムほどなのだが、これは100円という値段 で、160グラムほどある。 別段、美味というわけでもないがこのチープな味にひかれつい、ここ数日で 2回も買ってきてしまった。卵の一つも落とせばさらにリッチな気分である。 貧しさになれてゆく自分が怖い。 しかし、一方で夕べTBSで放送していた寿司の特集番組を見て、はやく寿 司を食べに行ける身分になりたいとも思った。 今、僕の心はゆれている。 (23:34)
1998年3月 16日 (月) ATOKが壊れた。 辞書の設定がされていませんというメッセージが出るようになったのだ。 最近、ネットスケープも落ちまくる。おそらくICQのせいであろうと思われ る。 キーボードの打ち方などはすべてATOKの動作で身についてしまっている でMS−IMEだとやはりぎこちなくなる。こまったものだ。 一太郎のインストールからと思ったが、そもそもハードディスク空き容量が 足りない。メモリもそうだが、だましだまし使っていたのにも限界が来ている のかもしれない。増設か。さもなくばICQの削除か。 昨夜のブックマーク削除に引き続きろくなことはない。ここでメールまだな くなったら・・・悪夢だ。 とにかくATOKの復活にすべてを注ごう。 (3/17 3:10)
1998年3月 15日 (日)  買っちゃった。  PHSを買っちゃった。  新宿さくらやで買っちゃった。  最初はヨドバシカメラで買う予定だった。深い意図は無く、後で商品割り引 きに使うことのできる「ポイントカード」がたまるから、その方がいいかな、 と思った。それだけである。実際、電化製品の多くはヨドバシカメラで買って いる。ついでに言うなら今使っているパソコンもヨドバシにて購入の品である。  13日の日記で述べたように、下の妹と買いに行くことになった。ヨドバシも さくらやもあちこちにある。しかし、その妹が新宿がいいというので、新宿へ でかけた。もっとも新宿がよい積極的理由があったわけではない。妹が前にそ こでパンフをもらってきた、とそれだけの縁のようである。  今日は昨日ほどでは無いものの天気はよく、街は人でにぎわっていた。正直、 人混みは苦手なのだが、ちょっとアルタ前に展示されていた自転車などを見て から、東口にあるさくらやとヨドバシへと行く。  さくらやは角地であるということもあって、PHSの大々的なセールスをし ている。店員の数も多い。展示エリアも広い。  一方ヨドバシの方は、アルバイトのような感じのお姉さま二人が、眠そうな 目をして座っているのみ。客の姿も無い。もはや勝ち目が無いと諦めているの か。  そんな状況なので、最初の予定を変更、さくらやの店員に話しかけることに した。20代の男の店員だ。  さすがに詳しい。アステルの機種が並んでいたので、一応目星をつけていた 商品のことを尋ねてみる。新製品だというのでなかなか売れているようだった。  他のDDIやNTTの機種についても尋ねてみる。NTTはビジネスマン向 けを狙っており、住宅地では強いらしい。ただ東京ではアンテナ数ナンバー1 はアステルであるらしい。DDIについては予習していたのと同じような答え が返ってきた。DDIはとりあえずここ、と言った感じの加入者が多いだけに 解約者も多いという。  ついでなので、携帯電話についても尋ねてみる。NTTドコモは、エリアが 広いのはいいのだが、加入者が増えすぎて、新宿など繁華街では回線が込みす ぎて、ノイズが入ったり、つながらなかったりといった状況らしい。  機種を何を買うのかで、妹ともめた。同じ機種に目星をつけていたのだが、 それでは紛らわしいのでは無いか、どっちかが変えろ、と言い合っていた。し かも色までお互い譲らない。  もういい。そう決断し、店員に「これを二つください」と言ってしまう。  妹の奴はシールでも貼ればよいのだ。  そう言うと  「私はシールなんて汚いから貼らないもん」との返事。  結局、とりあえずこっちがストラップを付けることで区別することにした。  妹は未成年ということで親の承諾がいるらしい。僕も25なんだし、俺の承 諾じゃ駄目なのか、と内心思ったが、面倒なのでなりゆきにまかせる。店員の 携帯電話で妹は我が家と会話をさせられた。その店員は、IDOを使っていた。 ***  さくらやのポイントが欲しかったので、まとめて僕が料金を払う。新製品な ので、一台3000円ちょっとした。まあ、電化製品はなるべく新しいものに した方がよいというから、多少の出費は仕方ない。  家に一度試しに電話してみる。  「確認しただけだから」とだけ家にいた母に告げ、すぐにしまってしまう。  ウェンディーズに入り、妹と説明書を読んでいる。とりあえず、番号登録と 留守電ぐらいは使えるようにならないと意味が無い。  それにしてもウェンディーズもまたえらい込みようで、店員も、こっちがま だコーヒーを飲んでいるのに、さっさとトレイを回収に来る。さっさと出ろ、 という無言のプレッシャーを感じまくる。  妹が「こんなに早くファーストフードから追い出されるのは初めて」などと つぶやく。そんな妹の隣では店員の女の子がテーブルを片づけていた。はっと し、思わず僕はその子を見てしまう。なぜだか、彼女も僕の方を見ていて、視 線が合う。瞬間にして冷たいものがそこに流れた。  店員の子はそそくさと店の奧へと去った。私は飲みかけのアイスコーヒーを 持って店を出た。冷たい風が吹いていた。 ***  家に帰ってみると、母がなにやら怒っていた。  どうも、僕がかけた電話は切れていなかったらしく、母は10分ほどそのま ま受話器を持っていたらしい。僕の上着のポケットに入っていた電話のマイク が拾った、ウェンディーズの店員の「いらっしゃいませ、ありがとうございま した」の声が聞こえていたいう。  なぜ、そんなになってまで電話を切らなかったのも不思議な話だが、ともか く無駄に10分以上もつながっていたことになる。  なにやら前途多難な感じではある。  ちなみに妹からはまだ立て替え代金を貰っていない。 (22:15)
1998年3月 14日 (土)  パソコン通信時代からの知り合いの結婚式に出て来ました。  今もお酒が入っていて、ちょっとふらふらです。  しかし。  一つ大変まずいことがあります。  遅刻してしまったのです。それだけならまだしも、そのためにご祝儀を渡し そびれてしまったのです。これはかなりまずい。なのに、引き出物をもらい、 食事をして帰ったのですから、ほとんど極悪人です。  近くのコンビニにご祝儀袋を求めて入ったのですが、どれも「一般用」とい う祝儀袋しか無い。きっちり「非婚礼用」と書いてある。  仕方ないので、「後で書留で送るか」と自分を誤魔化しながらワインをがぶ 飲みしていた。一応新婦さんの方にはその旨伝えたのですが……酔っていたし な。  とにかく明日送ろう。  今日は寝よう。  うむ。 (3/15 2:16)
1998年3月 13日 (木)  父親が携帯電話を買うという。上の妹もPHSから携帯に変えたいらしい。  という訳ではないが、下の妹と僕はPHSを買おうかなどと話している。  インターネットで何か情報は無いかとさぐる。またしてもyahooを頼る。簡 単な調べ物の場合はやはりここが便利だ。  いくつか見た中でKansai PHS Janker's Pageのリンク集がなかなかまとまっ ていたので、ここを頼りに主にNTTパーソナル、DDI、アステルの3社の 比較をしているページを探して回ってみる。 ***  以前より、DDIが一番よいと言われていたが、最近ではどうもそうでは無い ようだ。DDIの電話機は、他の2社と違い出力が強い。つまり、中継アンテナ から離れていても通じるということだ。実際、PHSの利用者の半数がDDIを 利用しているらしい。我が妹も同様だ。  しかし、DDIはその出力が大きい変わりに中継アンテナの数は少ない。それ ほど多く立てなくとも、エリアをカバーできるからだ。このことが、DDIの利 用者の増加に伴いアダになってしまった。一本のアンテナを使って話せる人の 数には限りがある。なのに台数が増える。こうなると、かえって回線がいっぱ いで「かかりづらくなる」という現象が生じる。  実際、去年の半ばすぎ辺りから、DDIの解約者が続出しているらしい。大部 分は携帯に乗り換えたのだろう。PHSの利用者全体が減少の傾向にあるので、 それは間違いない。  そんな状況下で、一社だけ着実に利用者数を伸ばしている会社がある。  アステルである。  アステルは、PHSの発売開始当初から出遅れていた。DDIとNTTが独自のP HS開発技術を持っていたのに対し、アステルには、両者ほどの戦略基盤を立 てる材料が無かった。  結果として、アンテナ数が少ない、アステル対応の機種も少ない、といいこ と無し。アステルのPHSを使っているなんて友達には知られたくない、って な状況に陥っていた。だいたい、アステルってどういう意味だ?  起死回生のチャンスは、DDIの自爆と表裏一体なすかのように訪れた。まず、 アステルは加入者全員に、家庭内でPHSを使いやすいようにするアンテナを 無料でレンタルするサービスを始めた。これが、「家ではPHSの電波が届き にくい」と悩むユーザーに大いにウケた。続くようにしてNTTも同じような サービスを始めたが「新規加入者のみ」を対象としたため、昔からのユーザー からかえって反発を買ってしまった。  そしてさらに、アステルはアンテナ数の増加を鬼のように始めた。ここ一年 でおよそ三倍。逆に言えば、今までがあまりにも貧弱だったということだが、 DDIなどは最近、設置数が増えていないということもあり、ますます、勢いは アステルのものに。  追い打ちをかけるように、CMやキャンペーンの展開に熱を入れた。それは、 高校生以下、中学生などをターゲットにした戦略だった。榎本加奈子も折れそ うな足でけんけんぱっ、である。  それでも、未だに半分近くのシェアをDDIは占めているし、未だ、25パーセ ントはNTTだし、そもそもPHSの加入者は減る一方。携帯は熾烈なシェア合 戦を展開中なのに対して、どうにもビジョンが見えてこない。ドラえホンやら 「位置確認サービス」などを使い、「お子さまに持たせておきましょう」とい う方向で頑張ってはいるが、どうなることやら。   ***  というような事情をおよそ、ネット放浪の末理解した。  翌日、妹はヨドバシカメラで3社のパンフレットを入手してきた。  とりあえず、応援という意味でアステルにしようかなどと話している。 ***  ブックマークの半分がなぜか消えていた。なんてこったい(涙)。 (3/14 0:07)
1998年3月 12日 (水)  昨日(11日)は、大学の時のゼミの教授の家に行っていた。卒業後2年も経 っているというのに、現役の学生と混じって飲んでいるのだから、我ながらい い根性である。 ***  そこで、後輩の一人から文芸春秋のコピーを貰った。「酒鬼薔薇聖斗」の検 面調書が掲載されたあの号である。本当は、別の人のためにと持ってきてくれ たものなのだが、奪う形でいただいてしまった。  全体で60ページ強の分量がある。最初の14、5ページに立花隆の解説があ る。調書を読んでの感想と、これを公表することの社会的意義などについて書 かれていた。立花隆は一貫して、少年の行動が理解できない、と述べていた。 しかし、この調書を読んで、わずかに人間らしい部分がのぞけてほっとした、 と言う。  最後には、既に新聞などで発表されて僕も知っていた、家庭裁判所の審判に よる処分決定要旨がのっている。これを初めて僕が読んだときは「まあ、こん なもんだろう」とわりに納得したのだが、今回、供述調書を読んでからは「こ ういう決定以外出せないだろう」というぐらいに強く納得した。 ***  読みながら、僕が感じた一番の感情は「ちくしょう」というものだった。悔 しいというのではない。ただ、こういう状況がある、ということになぜだか無 性に腹立たしかった。  少年の供述は実になめらかに見える。もちろん、検察官がまとめたものだか らそう見えるだけなのかもしれない。だが、全体を通して強く「よくできた物 語」という感じがしてしょうがない。  これが小説やドラマのシナリオならば、むしろ、贅肉がおとされていて、な おかつディテールも細かく「うまい」と思うかもしれない。  例えば、小学校6年生の男子を殺す箇所の描写実に細かい。首を閉めたがな かなか死なず、近くの石を拾ったら、半分土に埋まっており取り出すことが出 来ず、右手で首を閉めながら、左手で自分の靴紐をほどいた……こんな描写は 文学的ですらある。  ただそれ故に深い闇を感じる。あまりにも表面上の行動や動機が言葉で説明 され、自分で自分の心理を説明しすぎているように思うのだ。そして、多分、 少年はその闇に半ば気づきながらあえて無視しているのだ。そう思えて仕方な い。  僕の得意な精神分析的用語を使わして貰えば、少年は自我の働きが強すぎる。 自分の行動や精神状態を、意識できる心で、意図的にねじ曲げたりできる。そ して、そうした強い自我の心に対する無意識の反発が、極度な行動……殺人に 至る猫殺害などの行動……に走らせている。あくまで、想像だが、そういう印 象を受けた。だが、少年は、そうした衝動についても「わかりやすい動機」を 用意する。実際、調書の中でもそうした発言が度々出てくる。  校門に首を置いたのは、捜査を攪乱するためで、学校に恨みがあったとかい う声明文の言葉は、自分の本当の気持ちでは無い、と述べている。おそらくそ の通りなのだろう。だが、なぜ、「学校に恨みがある」という偽の動機を設定 したのか。それは、分からないままなのである。恨みでは無いのかもしれない。 でもなぜ「学校」が出てくるのか。学校と自分。家族。近くの人気の無い山。 少年の心の複雑さに対して、実際の少年の世界はあまりにも狭い。  そして「恨み」。学校が対象では無いなら少年の「恨み」は一体誰にかけら れたものなのか。  少年は声明文を書くことに喜びを感じていた節がある。30ぐらいの男性に 見えることを意識して書いたという、その行為は一体どういう気持ちから、生 じたものなのか。  言葉というのは不思議なもので、物事を割り切って、わかりやすくしてくれ る反面、本当にあった色々な感情やイメージを殺してしまうことがある。少年 の言葉使いは巧みだ。だが、それ故に、少年は自分の心に浮かぶ豊富なイメー ジを殺してしまっている。その事が、少年を他人に共感を感じない原因の一つ になっている気が僕には強くする。  そして、そういう感覚は、他ならない僕自身にもある。だからこそ、僕は、 彼のほんの一部分にせよ「分かる」と思い、かつ、「ちくしょう」とも思う。 そういう意味で、少年は決して僕にとっては理解不能な「モンスター」では無 い。もちろん、あくまで僕自身の心の中では、という限定つきでだが。 ***  よく、スプラッターや過激な映画を好む人ほど、実際にはそうした攻撃性を 見せないという話がされる。必ずしもそうで無いのは、事件が起こる度に家宅 捜査されあふれ出るビデオの山を見れば明かだが、そういう説にも「一理」は ある。  想像の世界で、攻撃性を遊ばしてしまい、それ故に現実にはそれは出さずに 住むという考え方もできるのだ。激しい恋愛ものを好む女性ほど、かえって現 実にはしっかりしているという場合もある。しつこいが、そうじゃない場合も あるが、自分のイメージの中で欲求を消化してしまうということは確かにある のだ。 ***  少年のイメージはある意味豊かなものがある。しかし、同時にそれが語られ る時、なにか小狭いものも感じる。それは何なのか。彼の心にうごめくそれは、 ああいう形でしか表せなかったのか。その点についてのみ見れば確かに彼は 「不幸」であったのかもしれない。 ***  だが、分からないことも多い。前にも書いたことだが、おそらく僕はこの少 年のような奴が身近にいたらひどく嫌悪するだろう。なぐられたりした経験の 一つもあれば、恨みや、あまつさえ、死ねばいいのにぐらい思うかもしれない。 医療少年に入ってだけで、何年かしたら出てくることに嫌悪を抱くかもしれな い。 ***  それでも、と思うのだが。  それでも、やっぱり無視するのはどうかとも思う。僕の頭の中ではこの酒鬼 薔薇の事件はオウムの問題ともつながってくる。強いて言えば、最近頻発する ナイフの事件にもつながる。なんなら援助交際という話題にまで広げてもいい。  一言で言えば時代の空気、だと思うのだが。もう少し具体的に考えれば、共 通して感じるのは「よりどころの無さ」である。漠然とした不安。頼りたい気 持ちもあるのに頼れない。壁だと思って手をつくと、ぐにゃりと曲がり、転び そうになる感覚。  みんな、そうなのだろうか。それとも自分だけなのだろうか。そんな所で、 既に不安の種が生まれる。不況だから、そう思うのか? それは違うと思って いる。こういうした感覚はバブルの頃からあったと思う。違うかな。僕もまた 不安の虜にいる。  だが、経済の問題ではもはや無いと思う。間違っていると言われるかもしれ ないが、これは僕の中では確信に近い。間違っていれば、また景気が回復する ころみんなは幸せになるだろうし、僕はただの馬鹿ということになるのだろう。 そうあってもよいとも思うが。多分違う。そして僕は密かに誰かに「馬鹿じゃ ない」と言われたがっている。そして、ほっとしたいと思っている。しかし、 これもおそらく無理なのだろう。やはり、考え続けるしか無いのだろう。「ち くしょう」と言いながら。きっと。 ***  そんなことを思いながら、調書を読み終えた。最後の決定により、少年は医 療少年院に入ることになり、今は、おそらく東京のどこかにいる。手垢のつい た言い方だが「同じ空気」を吸っている。そして、今日の雨も見ているのだと 思う。不思議な世界ではある。 (3/13 1:22)

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