MORIVER'S SWEETEST DIARY (54)
更新日記 (54)
8月 14日(金) 人が来ない夏/パスポートを取りに行く
8月 15日(土) コミケに行く/ガチャピン宇宙へ行く/新カウンター設置
8月 16日(日) ジヲ同盟リニューアル/カウンターの結果と展望
8月 18日(火) 不調/回線/眠り
8月 20日(木) 誤字脱字/過去をいじる/タイ語
8月 23日(日) 家庭訪問/アメリカの制服
1998年8月 23日 (日)
気がついたらもう23日である。8月は終わりである。これはどうしたものだ
ろう。暦の上では夏は終わりに近づいている。しかし僕の感覚では夏は始まっ
た気すらおきてない。
夏というのは僕の記憶の中では何となくわくわくするものであった。新しい
ことにチャレンジしたり、新しい人と出会ってみたり、知らない場所に行って
みたり。とにかく何かはあった。
しかし何も無い。うーむ。
***
掲示板の方にも少し書いたことだが、バイトで行っている会社の人に、うっ
かりこのページのことを教えたら、しっかり読まれてしまった。恐縮である。
と同時にやはり恥ずかしい。思いがけず家庭訪問でも受けた気分だ。
それとは別に、数日前にバイトを辞めてしまった二人にきちんと挨拶ができ
なかったのも心残りである。井本さんと野口さん、これを見ていたらメールで
もくださいまし。
***
ガチャピンの凱旋特番は、ミールとの通信がうまくゆかず中止になったとか。
残念である。もっとも宇宙で撮った映像はポンキッキーズで随時放送されると
いう。無重力をただようガチャピンの姿に思いを馳せる。
***
新聞で読んだことだがアメリカの学校では今、「制服」を導入しているとこ
ろが増えているらしい。学校指定というより、男子ならば黒のスラックスに白
のワイシャツ、女子ならば紺のスカートに白のブラウスという大体の恰好でよ
いという。デパートの広告が写真で乗っていたが、びっくりするほど地味であ
った。男子のそれは日本の見慣れたものと同じだが、女子のそれは今なら皆敬
遠してしまいそうな古風なものである。
制服導入が進んでいるのも、一重に学校の秩序化が制服によって進むことを
期待してのことらしい。実際、制服にしてから学校での事件発生率が35%も減
少してという。アメリカの犯罪発生率は人口比で見ても日本の10倍は超えてい
るし、学校の入口に金属探知器を設置した高校もあるというから単純なことは
言えないが、それでも制服により「自分は学校の生徒だ」という意識が生まれ
ることに一定の意味はあるのだと思う。
日本で制服や校則が強化されたのも、校内暴力が全国的に問題になったがゆ
えんのことである。それは全共闘が挫折し、明確な方向性を失った不安定さが
時代の空気にさらされたためとも言えるだろう。
それをただ校則の強化で、乗り切れたのは単に時代がまだバブルであったか
らだ。課題は先送りされまくった上に今にいたっている。経済成長も行き詰ま
りを見せた今、何が目指すべきものとしてあるのかは今が混沌たる内にある。
さてそのアメリカの制服であるが、生徒にも好評であるらしい。個人主義が
行き過ぎてしまって連帯感を失った今、集団とのまとまりにかえって安心感が
あるということだろうか。最近70年代が流行っているが、この頃にひろまった
個人主義の浸透の行き着く先を見たという感じである。
しかしそんな中で日本はどっちへ行くのか。アメリカをただ真似してもしょ
うがないことは確かである。よく言われることだが、いい加減に日本がリード
したっていいものだってありそうである。日本の学生は無気力になっている場
合では無いぞよ。
***
ジヲライフ入門、ちょっとだけ訂正。ジオ日本の容量アップの件とリンク集
へ幾つか追加。
(8/24 6:44)
1998年8月 20日 (木)
私は誤字脱字が多い。
掲示板でも指摘されてしまい、今、深く反省している。
理由は幾つか自覚してもいる。あまりディスプレイを見ないで文章を打ち、
なおかつ見返すことも少なく、また、無責任でいたいという気持ちが誤字のあ
る文章をつい許容してしまう。
***
何度か書いていることでまたか、と思われるかもしれないが、スティーブ
ン・キングの「スタンド・バイ・ミー」の冒頭の一節にこういう文章がある。
『何にもまして言いたいことは、何にもまして言い難い』
そして『言葉というものは物事を小さく狭めてしまう』と続く。
文章を書くのは嫌いでは無いが、文章にしても、自分の文章に違和感を感じ
ることが多い。しかしそうだからと言って何も書かないでいると何も伝わらな
い。だからいい加減なままで言葉を重ねてしまう。誤字脱字はそうした気持ち
の現れなのでは、とも自己分析してみる。だからといってもちろん読み手に対
して失礼であることには変りは無い。
***
関係があるのかどうかは分からないが、私は字がものすごく下手くそである。
これでも毛筆4段、硬筆でも2段を取得しているが、信じてはまずもらえない
ような文字しか書けない。パスポートや定期券には自筆のサインが必要だが、
印刷されたそれを見る度に心の中でため息をついてしまう。
平行線を引くのが苦手で、書いていると微妙に波が生まれていることに気づ
く。なぜならば、手首を軸に円を描いてしまうからだ。そして左から右まで一
杯になったところで手首をちょっと右に移動する。しかるに経済動向のグラフ
のような波模様の文章の出来上がりだ。これも私の無責任さを表す一証左であ
る。
***
なぜか今日、バック・トゥ・ザ・フューチャーを見直していた。単純に面白
い。しかし、ラスト、過去を変えたことにより両親や兄、姉が立派になって現
れる部分は素直に喜んでよいものか考えてしまう。それって、今まで自分が知
っていたのと違う人間になっているのじゃないか、それでいいのか、などと心
配になるのである。過去は反省することはできても、いじることが出来るのは
常に未来であると私が思いすぎているからであろうか。
***
本屋で「40ヵ国語習得法」というブルーバックスの本を買ってきてしまう。
語学に精通している医師の本で自分のとった勉強法の紹介と、各国の言葉の比
較などがつづられている。文章は繰り返し口に出して覚えよう、語学はなぜと
思わずに丸呑みで覚えよう、楽しもう、集中しよう、目標を明確にしよう、イ
メージしよう、計画を立てよう、文法は覚えた方が学習が短時間で済むなど、
当たり前のことだけをさらっと書いてある。だが、当たり前故になかなか説得
力がある。
後半は各国語の比較。その言葉の特徴と使われている地域、アルファベット、
代表的な挨拶、数字の読み方などが書かれている。つい、「地球の歩き方」を
ひっぱりだしてきて、タイ語の数字の数え方だけ暗記してしまう。
1 ヌン
2 ソーン
3 サーン
4 シィー
5 ハッ
6 ホッ
7 チェー
8 ペー
9 カー
10 スィー
まだあやふやだったりする。指も使って覚えてみる。記憶力の低下が不安で
ある。
(8/21 1:24)
1998年8月 18日 (火)
昨日、掲示板などについ「体調悪い」などと泣き言を書き込んでしまいまし
たが、本当、ちょっと最近まれにみるだるさを感じています。精神的な意味で
の疲れというのはあったけれども、ちょっと今回は体に来ている様子。
もっとも、それでも仕事には行けてしまうし、こんな風に日記まで書いてし
まったりする。行動で判断する限りおかしいことは無いはずなのだが。何なの
でしょうね。
***
最近妹が電話を夜に占領してばかりいるのでネットにつなげられない。今も、
メールなり何なり転送してしまいたいのにできない。しかも聞きたくも無いの
に隣で話をしている。ただうるさいだけなのである。とにかく今もイライラが
募るばかりだ。
いっそ、ISDN回線になれば落ち着くのであろうか。しかしそうなると維持費
がおそらく二倍以上に跳ね上がる。それはそれで結構きつい状況である。
***
気がつくと最近映画を見ていない。レンタルビデオ屋にも帰りにふらりと立
ち寄ってみたりもするのだが、手に取るまではいっても借りるまではいかない。
借りてしまうと2時間は拘束され、そうなると削られるのはやはり睡眠となる。
そう、睡眠は何ものにも代え難いのである。ここちよい夢ワールドに大脳を
あそばせたいのである。
ということでおやすみなさい、みなさん。
(8/19 0:45)
1998年8月 16日 (日)
ジヲシティーズ同盟のページのデザインを全面的にリニューアルしてみまし
た。だらだらと長くて読みづらいと前々から思っていたので、やっと一仕事終
えてほっとしている、というところです。
左側に縦長のメニューを置くというスタイルはありふれた形式ですが、一度
試してみたかったのですね。かなりすっきりして使いやすくなったと自負して
います。
できれば今の青草亭のindexも、もうちょっとすっきりさせたいのですが、
まだうまいまとめ方が思い付きません。同盟と同じように各部屋の入り口を片
方によせて、新着と日記を空いたスペースに並べれば縦の長さが縮まるかな、
とも思うのですが。
***
さてカウンターをつけて24時間が立ちましたが午前2時現在カウンターは82。
そのうち5から6までは自分のカウントですから実質70ちょっとでしょうか。3
桁がコンスタントなカウント数としてずっと来ていたので、改めて実体を知る
と結構ショックですね。やはり200から300ぐらいのカウントがもらえるような
ページにはしたいな、などと考えてしまいます。
新コーナーを作りたいという気持ちもあるのですが、はやく書きかけのもの
もかなりあるのでこっちを片づけないとそれでもやってきてくださる方々には
申し訳が立ちません。
実を言えばドラクエに関してはもうプレイの方は終了しています。エンディ
ングもしっかり見ました。しかし途中で路線を「メタフィクションもの」にし
てしまったので「作品」としての完結をなんとかして目指してみたいと踏んで
います。テンションが上がったところで中断しているので、なんとかこれを殺
さずに一気にクライマックスに持っていきたいなあ、と。
エヴァ小説の方は、とにかく無理矢理でも三部で終らせます。長くなりそう
でも字数制限だと思ってばっさりと。やっと最近書き出しのシーンが浮かんで
来ました。いつも書き出しで悩むのですね。そこから先がまた地獄なのですが、
とにかく手がかりだけは出来たと。
パーマン小説は、正直言って混乱してます。書きたい要素がありすぎて収拾
がつかないのですね。つまりネタとして「こういうの」「ああいうの」と言う
のは簡単なのですが、それを物語に組み込むのが難しい。割り切って、他人の
ネタをまとめるという意識にしないといけないのかもとも思っています。
***
ただパロディを書くとオリジナルが書けなくなってきます。
これはかなり辛いです。書く前からこのことは百も承知だったので今更自業
自得なのですが、やはり頭が不安定になるのですね。自分のオリジナルに自信
が持てなくなるというか。
何か短くてもいいからオリジナルのものを書きたいとも思っています。
久々に短編、書いてみようかな。
(8/17 2:34)
1998年8月 15日 (土)
コミケに行った来た。
そう、あの多くの同人雑誌が販売され、コスプレイヤーが跋扈するあのコミ
ケットである。
パーマンリターンズに感想を送ってくださっている住谷さんという方に、も
しよかったら来ませんかと誘われ、ものは試しだとお邪魔して見ることにした。
新橋からモノレール「ゆりかもめ」に乗って、国際展示場なるところまで行
く。会場は想像以上に大きい。しかし、意外というか何というか廊下などはち
ょっと大き目の駅という感じで特に威圧感は無い。
コスプレしていた人も歩いているが、そういう人たち専用のブースはまた別
にいるらしく会場はそれなりの賑わいはあるものの妙な節度が感じられる。押
し付けがましい売り子が闊歩し、サークル特製のそろいのスタジャンを来た、
さわやか系の男が、細い腕でパンフレットを抱えた女の子に声をかけまくって
いる大学の学園祭と比べれば、いかがわしさはあまりない。もちろん、ちょっ
と本を眺めると、身も蓋もないエッチ描写のあるページが飛び込んで来たりも
するが。
全体としてはそれでも「学園祭」のノリという雰囲気でくくってよいかと思
う。かえって僕の方があやしい人物ではないかと思えてくる。
ただ、目的もなくぶらつくにはちょっと上級者にならないときつい感じだ。
やはり参加するという形で来るのが一番落ち着くと思う。少なくとも一人で来
ていたら気疲ればかりが先行していただろう。参加しているサークルに入るか
少なくとも顔見知りぐらいになっていると楽しいだろうなと思った。
何人かの人と少し酒を飲んで帰宅する。結局一冊も本は買わなかったが、ま
あとりあえずコミケには行って来たぞ、ということで。学生時代を思い返し、
ちょっとなつかしさを感じた。社会人の参加が多いというコミケだが、やはり
こういう雰囲気を楽しみたいという気持ちが多いのだろうと想像してみる。運
営はボランティアで主にまかなっているということだが、これからも是非継続
していてもらいたい。
***
ただそれとは別に、自分の意見や作品を載せるという意味では、ネットの方
が手軽な気もしていた。印刷所に入れる手間や料金、他人の文章を編集したり
する作業と比べるとネットの方がかなり簡略化できると思う。
それでも著作権を無視したマンガなどのコピーがネット以上に黙認されてい
ることは捨て難いが。この辺りもいずれは住みわけが始まるのかもしれない。
***
先日yahooニュースを見ていたら「ガチャピン、宇宙へ行く」との記事を見
つけた。ソ連のミールに乗り込むという。テレビでは30日に放映とか。もちろ
ん中身はロシア人なのだろうが、ガチャピンはこれまでもスキューバダイビン
グからスカイダイビング、登山とあらゆる冒険行為を制覇している。白銀をさ
っそうと滑降する彼の姿には男惚れさせられた。
宇宙にまで出かけたガチャピン。20世紀最大の冒険家の名こそ彼にふさわ
しいと思う。しかしムック、君はこのままでいいのかい??
***
カウンターがどうにもならないので、外部のサービスカウンターを実験的に
index.htmlにくっつけてみました。面倒なので、初期設定も5万から始めます。
実際にはもう少しいっているとは思うのですが、ここは少し謙虚になって、と
いうことで。
今日はとりあえず実験ということで、その内各部屋にも同等のものを貼り付
ける予定。
サービスの提供は「ちゃっとまにあ」というところのもので、無料でカウン
ター以外にも掲示板やチャットも提供しているとのこと。カウンターの文字も
色々選択できます。サービスよすぎて、有料化したり回線パンクなどするよう
だと困りますが、当分お世話になろうかと思っております。
(8/16 1:59)
1998年8月 14日 (金)
カウンターが動いていないので正確なところは分からないが、このところ来
訪者の数が激減しているようである。もちろん、帰省の時期であったり、お盆
休みをとって、ネットにつなぐ暇もなく旅行などに出ている可能性もあるが、
やはりここは素直に、コンテンツの更新がとまっていることが原因と思いたい。
前は、一日に誰かは日記のバックナンバーを読んだ形跡があったのだが(つ
まり新しく来た人が一人はいたということ)、3日ほどバックナンバーを見ら
れた後すら無いのである。
だが、それは当たり前のことだ。僕のページにあるコンテンツはそれほど何
度も読むような内容では無い。小説関係は味わって欲しいという、ずうずうし
い欲望もあるが、それとて、一度ダウンロードしてしまえばお仕舞である。
ちなみにGeoでは、ファイルの中に勝手に「窓が出る」命令を書き込んでし
まうのでもしソースをいじれる人は(IEの人はソースを開くだけで可能)、
HTMLから下のタグ命令は全部消しておくと便利かもしれません。
実はジヲ日本の方の容量が4メガになるという情報があります。9月1日か
ら始まるそうですが、そうなるとこのGeoの方のコンテンツは3メガぐらいし
か無いのでそっくり引越しも可能です。ただ、ジヲ日本の方も将来的に、Geo
と同じように窓が出るようになる可能性が高いので、完全引越しは控えた方が
よいかとも思っています。
最近仕事の関係でホームページを見て回ることが多いのですが、ジヲで作成
されて立派なサイトが多いのには嬉しい限りです。どの雑誌を読んでも、紹介
されていますし、今更私が紹介することに意味は無いのも承知なのですが、
時々ホームページの作成法を質問されるので、思い切って作ったというのが事
実。色々な職種の人の専門知識が気軽に読めるようになるといいなと思ってい
ます。
ちなみに何を作っていいのか分からない人にはとりあえずテーマで分類して
コメントをつけたリンク集から始めるのがお勧めです。これ、利用する側とし
ては便利なのですね。沢山あるページの中から厳選されたものだけあるという
わけですから。個人ページの場合はまっさきにリンク集を見るほどです。
yahooとか定番ものしかないとちょっとがっかりしたりするのですが(^-^;
***
懸念であったパスポートの申込、ついに昨日行ってきました。
定番である「地球の歩き方」のタイ編とバンコク編を買い、巻末の情報を参
考にする。ちなみになぜかバンコク編にはパスポートの取得方法がかかれてい
なかった。もうそんな事は知っているだろうということだろうか。
必要な書類は「戸籍謄本」「住民票」の二つ。それから身分証明できるもの
がさらにいる。普通は免許証や健康保険証でOKだ。手続きは最近変わって、
印鑑は不要になった。面倒なだけですからね。
あとは官製はがきが一枚いるが、これは申込場所の近くで普通売っているの
でその場で買えばいい。あとは顔写真だが、僕は近所のスピード写真で700円
で撮影した。申込書のそばの写真屋では1500円する。どっちがいいかは好みだ
ろう。白黒での1500円するがこっちの方がかえって奇麗に見えたりするし。
僕の場合、本籍も現住所も中央区にあるので、新富町駅近くにある中央区役
所で取得する。確かどちらも300円ぐらいだった。家族全員を収める書類も作
れるが、パスポート取得のためには別段自分だけの情報さえのっているもので
あればOKだ。
東京にはパスポートの申込場所は新宿の都庁と、有楽町の交通会館の二つが
ある。新富町から有楽町までは歩いていける距離、ということで、有楽町へ向
かうことにする。
昨日は雨だった。幸い折り畳み傘があったからよかったが、時々、お店の軒
先でうらめしそうに空を眺めている人を見ているとなんとなく悪い気もしてく
る。ましてやそれが女の子であったりしたら「入りませんか、送りますよ」と
声の一つもかけたくなるが、二人組だったので諦める。さすがに3人は無理だ
し、一人は抜けるとなったら、僕が抜けてしまいそうで怖くもあった。
交通会館は名前に反して結構おしゃれな建物だ。有楽町のすぐ駅前にある。
クリスマスには奇麗なツリーが立ち並び、あやしげな宗教団体らしきスーツ姿
の男が手相をみさせてくれと近寄ってくる。何度か話もしたことはあるのだが、
それはまたの機会に。
ということで中に入ると旅行代理店がずらりと並んでいる。OLらしき二人
組みの女性が(やたらと見る組み合わせ)「あら安い」なんて言いながら通り
すぎてゆく。見るとハワイ4日間で、2万5000円とある。安いのかな。
よく分からないので、インフォメーションとかかれた受け付けのお姉さんに、
パスポートの申込場所はどこでしょうか、と聞いたらちょっとだけ顔をあげて
機械的に「階段を上がって右です」とかなりの早口で告げられた。
なんとなく面白くないなと思いながら階段をあがると、場所が分かった。か
なりの混みようである。もう時期的に今からパスポートを取る人は少ないかと
思ったがあにはからんや。
とにかく、台の上で用紙に記入を始める。悩んだが、思い切って10年パス
ポートを申込むことにする。色が5年のものと違うらしいが、よく分からない。
書類も昔は2枚書く必要があったらしいが、今は1枚でいいようだ。しかし、
署名を日本語にするか英語にするか迷ったので、2バージョン作る。結局、日
本語の方にした。隣で書いていた女の子が漢字で書いていたからだ。
写真も、免許申込場所にあるとの同じ、さくっと所定の大きさに切ることが
できる器械があった。2枚くりぬく。見ると、さっきからはさみで何か作業を
していた若い男がこちらを見ている。どうやら器械の使い方が分からず僕の動
作を観察していたらしい。切った写真を持って去ると後ろで、その男が器械で
さくっと写真をくりぬいていた。
葉書はどこで買うのか分からないので相談という窓口に行って効いた。奥の
扉を出て右と言われた。受付の女性よりも親切な口調で、30前半ぐらいのポ
ロシャツを来た眼鏡をかけた男性が教えてくれた。男性の方が全般に親切に思
えるのは僕の偏見であろうか。単に僕に男性としてのセックスアピールが無い
からだと言われたら実も蓋も無いのだが。仕方ない。差別はどこにでもあるも
のだ。
葉書売り場で、最初、パスポートの代金となる収入印紙を買おうとしたら、
そこのおばちゃんに、「印紙は受け取りの時でいいんだよ」と言われた。申込
用紙を持っていたから気づいたのであろう。親切によって我が身が救われてい
るというのもまた事実だとかみしめる。まあ、よくある間違いなのだろうが。
そして並ぶ。列は一列で、申込の部屋を出て廊下にずらっとはみでている。
前にいるのはノースリーブの女の子で、紺色のパスポートを手にしていた。更
新なのであろう。写真の背景は青色で、写真屋でとったらしき模様。やはり女
性の方が気を使うのであろうか。用紙に貼った自分の写真を見ると心なし顔が
右に傾いている。ややためらいを感じた。
列は整理券をもらうため。戸籍謄本と住民票をホッチキスでとめられ、身分
証明書は何を持っているのかと聞かれて開放される。
整理券のナンバーを見ると100人以上も間があるが、ものすごい勢いで次の
番号がアナウンスされてゆく。伊達に14もの窓口があるわけではない。読み上
げた次から次へと人が自分の整理番号を表示した窓口へ行く。そのわりに、待
合室があわただしく感じられないのは、やはりじっとしている人の数の方が多
いからだろう。非常に洗練されたシステマチックな窓口だと感心した。
で、自分の番になる。書類を渡し、初めてですか? と尋ねられそうだと答
えるとスタンプを書類に押してゆき、番号の書かれた青い紙を渡された。受け
取りは来週の金曜21日だという。8日間で発行ということだ。
表に出るとまだ雨だった。近くの中華屋で850円の八宝菜定食を食べる。味
はまあ「八宝菜だな」という印象以上のものではなく、値段の割にはボリュー
ムが足りないなと思いながらも昆布の出しのきいたスープだけはやや気に入っ
ていた。
有楽町の改札に定期券を通すとキンコーンと音が鳴り通せんぼに。日付を見
る。明日まで有効なはずだ。もう一度通す。結果は同じ。おかしい。
そこで、駅員のいる窓口に行って定期を見せる。
「あの、これ改札を通らないんですが」
駅員はちらりと僕の定期券を見てから、顔をあげ、抑揚の無い声で言った。
「これ、範囲外の定期券ですね」
そう、有楽町は通勤区内にある駅ではそもそも無い。
「あ、ぼけてました」
無意識に両手で頭を抑えながら、ひねりの無いセリフを吐いて僕は券売機へ
と向う。しょうがない。暑いんだから。ねえ……。
(8/15 1:21)
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