更新日記 (73)
5月 21日(金) 罪と罰
1999年5月 21日 (金)
夏だ。
そう思えるほど、昨日今日と暑い。家族の者が言うには昨日は「7月上旬の
暑さ」だったそうな。ということはやっぱり夏だ。
***
日記を読んでくださる方とはもう2週間ぶりになります。その間にもちょこ
ちょことですがカウンターは回っていたので、「何か書いてないか」と確認さ
れに来ている方が実質10人以上はいたことを承知しております。
で、5月9日に試験があると書いたわけで、どーなったんだとメールを送って
くださる方もその間いました。気にかけてもらい、本当に恐縮であります。
そして今はもう21日。ざっと2週間近くが経とうとしております。
この間何をしていたのか、と申しますと、およそ生産性の対極の世界におり
ました。具体的に言うと本を読んで、ビデオを見て、ゲームしてともう、あり
とあらゆる意味においての「消費者生活」です。働きもしません。何でしょ
う、堕落の二文字がとても似合う感じです。
まあ、お疲れだから休んでるんでしょう、という優しいフォローの言葉もあ
るかもしれませんが、そんな格好いいものではありません。とても悩んでおり
ます。ぶっちゃけた話、試験には自信は無いし、この先どうするべんか、思い
ながらベッドに転がってドストエフスキーの「罪と罰」など読んでいるような
状態なのです。ちなみに試験といってもあくまで一次試験で、その後二回試験
がさらに続くのでこんなところでぶつぶつ言って主人公のラスコーリニコフに
共感したり、反発したりしていてはもちろんダメダメです。
ちなみに、なぜ急にドストエフスキーなんぞを読んでいるのかというと、多
少の伏線があります。
試験が終わった後、急に小説が書きたくなってエディターにむかってみたの
ですがうまく言葉が出てきません。それ以前の問題としてシーンがあまりうま
く浮かびません。試しに書いてみてもなんだかしっくり来ません。で、これは
小説を最近読んでいなかったからだ、と思い、まず父親が買って来て家におい
てあった大沢在昌の「北の狩人」を読みました。上下巻のとても厚い新書で
す。
これは題名の通り東北出身の純朴そうな、でも実は腕ききの刑事が父親を殺
した犯人を非番の日に、東京で探していると不良っぽい東京風にあかぬけた女
子高生と出会うラブラブになるという、とても馬鹿っぽい、けれどもそれを必
死に隠そうとする一応ハードボイルド作品です。まあ、それでも一日で読めま
した。
そのまま勢いで天童荒太の「永遠の仔」も読みました。ハードカバーで上下
巻。幼児虐待で施設に入った2人の男の子と、1人の女の子が、「女の子の父を
殺した」という絆で結ばれるものの、結局ばらばらになり10数年後再会する…
…というようなお話です。男はそれぞれ弁護士、刑事に、女の子は優しい看護
婦さんになっているのですが、周囲では次々に人が死んでゆく……3人の関係
やいかに……そしてそれぞれの親子関係、トラウマはどうにか解決するのか…
…。
トラウマ関係には強い私なのでこれもさらっと読みました。その間に地下鉄
サリン事件の治療に携わった人の回顧記録「緊急招集」などのノンフィクショ
ンや、「もてない男」という、或もてない大学教授による「恋愛できない男を
馬鹿にするな」というすごい自己開陳の書などを読みました。
この辺りでドライブが加速して、ユージュアル・サスペクツという映画を見
たり、以前でも紹介したカードワースというゲームのシナリオを100本近くダ
ウンロードしたり、ネットを徘徊+毎日新聞でニュースやらコラムを読んだり
しているうちにドストエフスキーまで来てしまいました。
「罪と罰」はまだ上巻の途中ですが、面白いです。もともと新聞連載してい
たものであるせいか、最初は横道のエピソードも多いのですが、それも或程度
まとまった単位で読み手を満足させるためのサービスなのでしょう。
話は簡単に言うと、インテリで頭でっかちなイヤミな貧乏な男が、大学も金
が払えずに辞めてしまい、体も精神も疲れまくった末に、気に食わない金貸し
の老女を斧でぶち殺してしまい、さらに悩みまくる、というものです。
なんとなく刑事コロンボや古畑任三朗のような雰囲気もあります。というか
もしかしたらそっちが真似したのかもしれません。
犯罪を犯した後、色々友人をふまえて「あの事件はどーたらこーたら」と語
りあうのを横で聞いたり、気に食わない奴に「あの犯人が僕だったらどーす
る」などを馬鹿なことを言ったりして、結構エンターテイメントしておりま
す。
それはともかく読みはじめて私はしまったと思いました。頭でっかちになっ
て口先ばっかりで、実際は金も稼がずごろごろしていて、もう堕落の一途をた
どっている青年の状態……って俺? と、もういきなりシンクロです。なんと
なく先の筋は知っているのですが、今は続きが気になってしかたありません。
なお、この本、人物名がやたらと多くてしかも覚えずらいので、メモをしな
がら読んでいます。まるでマップを書きながらRPGしているようです。
というのが森川の近況です。ご心配なく……と言っても駄目でしょうね。と
りあえずラスコーリニコフは嫌な奴です。ちなみに美人の妹と心配症の母親も
いて、妹は金持ちのオヤジと婚約しそうなので、ラスコーリニコフはさらに、
いらいらをつのらせています。もう、泥沼……。
(17:34)
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