更新日記 (89)
11月 17日(水) 活路
11月 24日(水) 「無名のランナー」
1999年11月 17日 (水)
行動を起こすことで見えないものが見えてくることがある。
自分がしたことは、どうなのだろう、と気になる。気になると、それに関わ
りのある事柄を知らずに求め、例えば街を歩いていて、気づかなかった広告に
目がいったり、テレビで何気なく見逃していたシーンが記憶に残るようになっ
たりする。
で、前回、15日の日記で「ユーザー参加型のネットワークゲームにはまだこ
れはというものが少ない」と書いたところ、「本当にそうか」と逆に気になっ
てしまった。
元々、ゲームをあまりやらない。
やらないというか下手だ。アクション系は小学生女子以下だし、パズル系は
何度か繰り返せばそこそこ面が進む程度。ロールプレイングゲームにしたとこ
ろで、ドラクエ3を半年以上かけて終わらせたような男である。
ただゲーム雑誌は好きだったりする。
ゲームを作るのは何なのだが、制作者の話は面白いと思うのだ。ゲームも持
っていないのに攻略本を買って見て、インタビュー記事やら周辺雑学を読み、
「なるほどー」と思ったりする。
本屋に行くのが日課なので、昨日も仕事帰りに寄って見ると、ふとTECH WIN
というパソコンゲーム雑誌が目に止まった。
そこには、ネットワークRPGを作成するゲームの紹介があった。
ぱらぱらとページをくってみると、写真がある。
斜め上から見下ろすような3D形式のマップを作成し、そこにイベント、キ
ャラなどを配置。そこにインターネットを経由して複数のキャラが参加できる
ようになっている。
「DIABLO」や「Ultila Online」に近い。
(そういう有名ゲームがあるのです)
ドラゴンクエストが元になって、「RPGツクール」が作成されたがごとし、
である。
じっとそれを眺めて見ていると、やはり私が書いていたような文字だけ、と
いうようなものは、技術的にも発想的にも3周ぐらい遅れているのかもなあ、
という思いにとらわれる。
そもそもこんなに単純なシステムで、誰でも思い付くはずなのに、面白いも
のが無かったというのは、つまりは、そのシステム自体で面白いものが作りに
くいからなのではないか、などと思えてきたのだ。
だが、その一方で「例え、アイデアが既に誰かが考えていたものでも、それ
を徹底的に推し進めたかどうかで評価は変るのではないか」という思いがあ
る。これは事実だと思う。となると、やはりその対象にかける熱意とか、時間
とか労力とか、そういうところが結局は問題になるのではないか。
例えば、古い形式の短歌の方が、できの悪い映画よりも感動はすることもあ
るし、その方式が、その人にとって一番いい表現であれば、もはや一般的な解
として、**の方が優れた表現携帯だ、とは言えなくなる。小説家が映画監督
をしても失敗した例はあるし、逆だってまた真なり、である。
無論、幾つかの表現形態も自家薬中にしている人もいるし、これもまた一般
論的なことは言えないが、やはり、基本となるジャンルはそれほどは無いとい
う人の方が多いのだろう。
自分にとって何がいいのかは難しいが、とりあえず書くことだけは比較的他
の手段と比べて、まだ苦痛にはならないし、少なくとも音楽では無いことは確
か、だ。鼻歌ぐらいは歌えるが。
ということで、やはり書くことでもうちょっと何とか活路を見出そうと思
う。
***
今日、会社を休んでしまう。土日出勤が続き、今日代休をとらずして、いつ
取るのだ、と思い立っての行動だったが、朝いきなり休みの電話を入れる姿を
見て我が妹は「さぼっているようにしか見えない」と一言。確かにそんな感じ
だ。情けなくはある。結局今日は半日寝ていただけだし。ふむ。
(11/18 1:20)
1999年11月 24日 (水)
「無名のランナー」
無名のランナー。
今日も大地を、あいつは走る。
胸を張り、二本の足に力を込めて。
風を浴び。
まっすぐな目で、あいつは走る。
あいつはあの日、ヒーローだった。
大勢の人間のまなざしを受け。
ブラウン管をにぎわし。
子供たちの声援と。
思惑を抱いた大人たちの笑顔の中で。
あいつはあの日々を走っていた。
しかし時間は全てを流す。
移り行く時代の中に埋もれ。
かすかに残った記憶の隅であいつを思う時でさえ。
多くの人は、苦笑を持って
そんなこともあったけとつぶやきかえすだけ。
だが確信はある。
あいつは今でも走っている。
かわらぬ目で、大地を踏みしめ。
太陽を浴び。
誰のためでも無く。
誰に惑わされるでも無く。
ただ我がために。
生きるために。
あいつは走る。
呼吸を荒げ。
鼓動を高鳴らし。
ただ生きることが本能であると。
自分自身の証しのために。
走り続ける。
記憶の中で。
思い出の中で。
僕の中で。
あいつの名を唱えよう。
エリマキトカゲ。
変らぬままにあいつは、今日も走る。
焼けた大地を。
誰のためでもなく。
己のために。
生きるため。
きっと今も走り続けている。
(11/25 2:01)
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