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更新日記 (90)

11月 26日(金)妙
11月 28日(日)円高




1999年11月 26日 (金)  友人から呼び出されて突如夜中に会ったりする。  大体の友人にはこのページの存在が知られているので、下手なことを書くと 突っ込まれる。  別れ際にぼそっと「そういえば、最近ポエっちゃってどうしたの」など言わ れると、不意に自分が客観的に見えてきて非常に恥ずかしくなる。  「なんかダークな草野心平って感じ?」  言い得て妙ではある。  もっとも幸か不幸か自分の中に、まだ一定の殻だか核だか分からないものが あって、大概の場合、そこで気持ちはなんとか収まるので、他人が見て「イタ イ」と感じる状態も自分としては平気であったりする。これは私に限った話で は無いと思うが、本当にやばいのは黙りこくってしまう場合である。何か言っ てる間はまあ、OKだ。とは言えやはり見てて心がざわざわしてしまうような文 章は、それでそれではた迷惑なのかもしれない。自分のページとは言え、もう ちょっと公共の中にいることを意識した方がよいのでは、と反省もしている。 (11/27 4:30)
1999年11月 28日 (日)  昨日の新聞の朝刊によるとニューヨークの外国為替市場で、円相場が101円 台の値になった、とのこと。  実に4年ぶりの円高であるという。  背景には、ヨーロッパの統一通貨基金であるユーロの値下がりがあるらし い。アメリカの投資家は「ヨーロッパより日本の円を買っておいた方が得」 と考えたということだ。  「1ユーロ=1ドルの壁突破か」、という内容もあるので、実際にはその辺 りで安定させてしまいたいという腹づもりがあるのかもしれない。ついでに、 日本も100円=1ニューイェンと名づけて、全て統一させてしまうという手も ある。  もっとも、自国の通貨を発行するということは、その国の経済を国家がコン トロールすることができる、ということも意味するわけで。特に昔のように、 金(ゴールド)との交換が最終的な価値として通貨に与えられているわけでは 無い現状では、結局、一番強い国の通貨発行権に経済が左右されてしまう危惧 がある。つまりはアメリカに。  「アメリカは人種のるつぼ。世界中の国の人間が集まって社会を作っている 特殊な国家であり、実験的である、ということも含め、アメリカは世界そのも のだとも言える」とする論がある。  これにはある種の説得力がある。  特に日本のように、在日韓国人・琉球人・アイヌを数に入れてもやはり、数 的には圧倒的に日本人が多い国から見ると、「少なくとも日本は世界そのもの なんて言えないよなあ」と感じてしまう。  しかし、人種のるつぼではあってもやはりアメリカは国語は英語。流れとし てはヨーロッパ、それもアングロサクソンの影響の強い国だ。アジア系・アフ リカ系は今でもマイノリティである。多くの問題を抱えているが故に、それを 乗り越えようという意思も育てているという点は素晴らしいが、「アメリカ= 世界」という見識はやはりおかしい。  そういう認識はあっても、経済的にも軍事的にもアメリカが強いことは現状 では事実だ。アメリカのドル札は、自国の通貨の弱い国でほど幅を聞かせてい るし、海外のあちこちに米軍基地がある。  だからこそ、ヨーロッパは利害の一致としてアメリカに対抗するべく統一通 貨による経済共同体を組んだのだろう。  もし、世界の通貨が統一されたらば、各国ごとの輸入規制が難しくなる。ア メリカでさえ、日本車を締め出すために「輸出入不均衡」など言って輸入規制 をしているぐらいである。安い外国の商品が大量に国内に入ることによって、 国内の産業が育たない、という現象はいわゆる20世紀初頭に各国が嫌という程 経験している。  そもそもアメリカは全てがアメリカになってしまうことを望んではいないと 思う。国家は、国家で在り続けるためには外国が必要だ。人が人であるのに他 者が必要なのと同じように。  第二次大戦に参戦するまではアメリカは大きい国ではあっても、まだヨーロ ッパから見れば「田舎」であった。それを戦後、ヨーロッパの疲弊の中、ソ連 と争うことで国力をつけていった。  今、アメリカはソ連を失い、その変わりに地域の民族紛争に「人道主義」 として介入している。アメリカ=世界では無い以上、自らを世界の警察官と名 乗ること自体はおかしい。おかしいのだが、そういう立場がなければアメリカ という国は自らを定義することもまとめることも難しいのだろう。世界が本当 にアメリカになったら、もはや国家としてのアメリカは存在しない。第一、そ れでは共産主義になってしまう。  国が国である中で、ユーロと対抗するようにある日本。原子力・核を制御す ることが国力であるとばかりに世界が核保有を目指す中で、ジレンマを抱きつ つ原子力電力に依存している日本。軍事技術ではない分野でのミサイルならぬ 人工衛星打ち上げ用ロケットを開発しようとしている日本。  有人衛星の自国での打ち上げを隣の中国に先に抜かれているのに、なぜ円高 になるのか。どうも喜べないものがある、というのが実感だ。 (8:20)

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