Q10化粧品・コエンザイム Q10・抗酸化療法のすべて


  

 

 

 

Q10(キューテン)化粧品がブームになろうとしています。

お気軽テレビ、健康情報番組が盛んに美白・お肌が錆びる・酸化する・過酸化物と騒ぎ立て、愕かすのです。Q10以外にも、お茶のパワーだの・りんごパワー・たまねぎパワーの秘密等いつも大騒ぎです。馬鹿馬鹿しくてあきあきです。また、信じ込む素人がたくさんいるのもうんざりです。今回はQ10をメインに取り上げましょう。

「何をいまさら・・・。時代遅れの薬品が今ごろ・・・。」というのが正直な感想です。
Q10とはCoenzymeQ10(コエンザイムQ10)の略です。別名ubiquinon(ユビキノン)と言います。ubiqとは、はやりのユビキタスコンピューターのユビキであり、どこにでもある・ありふれたキノンという意味です。名前のとおり、動植物に広く分布しており、不足はきわめて考えにくいのですが・・・。

ミトコンドリアの中に存在し、電子伝達系の重要要素です。といっても素人は困惑するでしょうが、呼吸の最終段階、酸素はここで使われ、エネルギーが生み出されるところです。ミトコンドリアの中にも過剰に存在し、あらゆる生命の必需品と考えても大きな間違いはありません。

ミトコンドリアの電子伝達系は、酸化と還元を繰り返し、ここでエネルギーを得るわけですが、ここから解るように、Q10は強い還元能力ももっています。ヴィタミンEよりも強いとも言われます。これに目をつける賢い人が,抗酸化作用を宣伝し、化粧品に利用したのです。お金儲けに鋭い人がいるもので、貧乏開業医とは目の付け所が違います。 

ミトコンドリアのエネルギー不足が関連する病気の連想から、50年位前に熱心に心臓で量が測定されました。年齢とともにかなり減少しているのが解りました。心不全でも減少しています。心臓にエネルギーを与えてやれば、心不全は改善します。アメリカを中心に多くの論文が発表され、心不全治療剤として認可されました。日本ではノイキノンという薬です。飲み薬です。


私も、確かに最近でも不整脈が減ったという論文を見たことがあります。しかし、それも数例の報告でした。50年前の認可当時の医学水準では、偽薬(プラセボ)も必要なく、 効いた実例を声高に叫べば「効果あり」とされた時代です。現在の水準から見れば、厳密な証明は無いと教科書にも書いてあります。私も、「ビタミン類で、害も無いことだし、ひょっとしたら効くかも・・・。」と使ってみたことはありますが、効いたという印象はありません。循環器の専門家で、重症の心不全に使う人はまず無いでしょうし、アメリカのガイドラインにも入っていません。

かなり古い、あまり使用されない薬です。(特殊な先天異常には良く効きます)。人体もQ10を作ることはできます。ミトコンドリアに多量にあり、過剰摂取もほとんど問題にならないので、大衆薬としてインターネットでも入手可能です。しかし、飲みつづけた人で、美白効果があったとは聞いたことがありません。大量に販売されてきたのに、飲んで美白に効くという効能も表示されていません。ずいぶん大量に使われた薬なのにです。皮膚から吸収するかどうかも怪しいものです。急に美白をうたいだしたのは、商売上手というものです。本来の効果にさえ、大部分の医師が疑問に思っているのです。

確かに、年齢とともに減少するのは証明できます。しかし、年齢とともに何かが減っているので、それが老化の原因だといえるでしょうか?抗加齢医学とやらに不信感を持つ人が多いのです。つまり、原因と結果を逆に考えているだけでは無いでしょうか。減ったものを単純に補えば、若くなれるのでしょうか?

閉経した女性に無理やり女性ホルモンを注射し、生理らしきものを再現したら、20台に戻ったと考えるのかということです。

減ったものを単純に補えば、万能と考えるほうがおかしいのです。
ということで、推測に過ぎないとはいえ、Q10で何か効果があるとは私にはとても考えられません。
TBSの自閉症報道のように、変化したら効果があったと声高に叫ぶ、テレビショッピング的ヒステリック言動は必ずあるものですが、科学的・医学的評価に耐えられるとは思いません。少なくとも、統計的処理くらいはしてくださいね・・・。

これから、多くのいいかげんな「健康番組」で紹介され、ブームとなることでしょう・・・。

何度も言いますが、美白の最大の敵は紫外線であり、日焼け止めを塗るしかありません。
形成の医師にも聞いてみましたが、ビタミンEもCもどんなに服用しても、皮膚には効果のあるほどの濃度に達することは無いそうです。現実には副作用で、実験的に効果のある量は服用できません。
攻撃からひたすら逃げる、平和主義がよいようです。
自身を活性酸素で攻撃している喫煙者に平和は訪れません。語る資格さえありません。ヘビースモーカーの肌は老化が急速に進むのは知られた事実です。双子のうち、一人が禁煙して20年後の差を提示します。

双子の一人が禁煙

ちなみに、医学の基準となるWHOやCDCで検索してみました。どちらも、栄養素としてさえ全く評価していません。ほとんど無視です。やっと見つけたWHOの記事では、1300の論文を検証した結果、「抗酸化療法(ポリフェノーリ・ビタミン類・Q10など)は全く効果がない。」という記載です。VCは風邪をごくわずかに軽くするかも知れないという程度です。サプリメントの摂取は薦めず、逆に過剰摂取は有害だそうです。もちろん、特に有害なのは喫煙者が一部の抗酸化サプリメントを取ることです。引用しておきます。WHOもフルーツなどで十分なビタミン等の栄養を取るのは、予防医学に重要であると記載しています。未知の物質や相互作用があり、効果がありますが、サプリメントで取ると効果が無いのです。

ビタミンE ポリフェノール フラボノイド(ワイン・お茶・たまねぎ・りんご由来) セレン。 
抗酸化療法は効果が無い。サプリメントを摂取しても効果が無い。時に喫煙者には逆に有害。
野菜・果物・穀類を多く取りましょう。それが、1300の科学論文の検証結果です。

WHO
Preventing disease with antioxidants. Summary and conclusions. Stockholm, Swedish Council of Technology Assessment in Health Care (SBU), 1997

Among the best known antioxidants are vitamins C and E, beta-carotene, selenium, ubiquinone (Q10) and the flavonoids found in wine, apples, onions and tea.

The scientific literature on antioxidants is extensive and difficult to review and interpret. In 1997, SBU, an independent health technology assessment agency, reviewed 1300 studies in the field. It found no evidence that manufactured antioxidants have any positive effect in preventing disease, except in the case of Vitamin C, where weak evidence showed that large daily doses can relieve, but not prevent, the common cold. The literature had little evidence to indicate that supplementing the diet with antioxidants can prevent cardiovascular diseases, diabetes, neurological disorders, rheumatoid arthritis or cancer. In fact, some dietary supplements have negative effects, particularly at high doses. However, there is some evidence that natural antioxidants (from fruits, vegetables, wine etc.) may prevent several diseases.

Studies have shown that a diet rich in antioxidants, which are primarily provided by fruits and vegetables, may help prevent a variety of serious diseases. However, there is no scientific evidence to show that supplemental antioxidants, beyond those found in a balanced diet that includes fruits and vegetables, will prevent disease. As of 1997, hypotheses presented in this field had yet to be scientifically verified. Controlled scientific studies have shown that high doses of beta-carotene and vitamin E supplements can create serious negative effects in smokers.

2004.6.1
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初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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